ポツリポツリ
「まーまー座って。」
凛は戸惑うゼムをちゃぶ台の前へ座らせる。
「私はやつらの手先として
来たのだぞ?なのにどうして。」
困惑するゼム。
「お姫様みたいな人に
襲われてなかった?大丈夫?」
凛の言葉にギクリと青冷めるゼム。
「な、何故それを・・」
ゼムの薄青い瞳が困惑に揺れている。
「あとあのカバみたいな竜。」
ゼムは思わず膝を着いた。
その拍子に懐の『海苔巻き揚げせん』の
袋が落ちた。
「あ、それ好きなの?
私も好きで箱買いしてるんだ。」
凛は部屋の隅の箱から
海苔巻き揚げせんを取り出した。
「誰も・・誰にも信じて貰えず、
見放されていると思っていた。
私は見守られていたのだな。」
ゼムは肩を震わせている。
「凛、連れてきたのは
一体誰何だい?」
訝しげに眺めていたマダムが尋ねる。
「夢で見た男の人だよ。」
あっけらかんと答える凛に
苦い顔でアキラと目を合わせるマダム。
「アタシは心配で仕方ないよ
何でもかんでも当たり前みたいに
アッサリ受け入れちまうね凛は。」
コメカミを揉むマダム。
部屋のドアが開いて
玉が御盆を抱えて入って来た。
「まぁ先ずは食べなさい若者よ。
腹が減ってはなんとやらよ。」
玉がおむすびや煮物や梅干しを並べると
凛が花柄のポットから御茶を注いだ。
見慣れぬ料理に手を出しかねる
ゼムだったが恐る恐る口にすると
塞きを切ったように貪った。
詰め込み過ぎて噎せるゼムの
背中を凛が叩く。
「凄い勢いだね。
食べれてなかったのかい?」
マダムの問いかけに
おむすびを持ったゼムの手が止まる。
口元に米粒を付けたまま
ポツリポツリと語り出した。




