バフンムフン
フェキリオが地面に手を翳し念じると
ユラユラと立ち上る幾つもの影達。
やがて人の形になると禍々しい雰囲気を放つ。
「まぁ10体も居ればいいかガラリア。」
フェキリオが手を擦りながら
青いローブへ引っ込める。
「充分よ。一体だって
良いくらいだわ。
なんたって元勇者様が
居るんですもの。」
赤毛をブワリと逆立てて
舌舐りするガラリア。
「来たか。」
ゾイアスが金髪の男を
乱暴に付き出す。
金髪の男は膝を着き
ぐっと顔を上げるが諦めたように
視線を落とす。
「ゼムお前に役目をやろう。
討伐隊を率いて怪しげな奴らを
捕えろ。」
フェキリオが肘を着き
吐き捨てるように命じる。
「・・分かりました。」
ゼムが小さく呟くとガラリアが
髪を掴んで揺する。
「畏まりましたフェキリオ様でしょっ
相変わらず口の利き方がなっちゃ
いないわねっ!」
ふんッ!と手を放すガラリア。
「ふふん止せガラリア。
こいつは妙な力であの
ダックスドラゴンを操ったんだ。
案外神託の勇者というのも
眉唾では無いかも知れんぞ。」
ニヤニヤと言い放つフェキリオ。
「本当におかしな事も
あるものよね。
あの凶暴なダックスドラゴンが
何だって勇者何かに・・」
ピィッと笛を吹くと
カバの様な竜がピョンピョン
やって来た。
ガラリアは試しにゼムを
襲うようカバ竜をけしかけるが
ゼムの傍に来たカバ竜は
バフンムフンと顔を近付けるだけだ。
ゾイアスですら凶暴なカバ竜には
及び腰で近寄らない。
「まぁ良いわ。
このガラリアがせいぜい
勇者様の活躍を見届けてやるわ。」
身を翻し背を向けるガラリア。
ゼムは黒い小さな物をカバ竜に
与えている。
懐に見える袋には
『海苔巻き揚げせんお徳用』とあった。




