パッツン
「つまりだ。貴様は
今はもう絶えたハズの
妖術使いや体術の使い手や
針を飛ばす者にやられ、
其奴らは何処から現れ
眼前で消えたとそう言うのだな。」
青いローブを着た前髪の長い若い男が
蔑むように毛皮の男を見る。
赤毛の女がしなだれ掛かり
男の前髪を紅色の爪先で
くるくるしながら
ため息をつく。
「それで?狼族の王子の
服従の宝石が割れて?
王子は逃げ出しちゃった訳?」
跪く毛皮の男は視線を上げる。
「そうなのです!
フェキリオ様、ガラリア様
こうなれば一刻も早く
討伐隊を編成し恐れながら
このゾイアスが隊長として
陣頭指揮を取り奴らを
一網打尽に・・」
両手を掲げ揚々とアピールする
ゾイアスの頬がピリッと裂けた。
指先を揺らすフェキリオ。
「ゾイアス~言い訳をするなら
もっとマトモな嘘をつけっ
間抜けな貴様の事だ、
自分の失敗を誤魔化したいんだろうが!」
フェキリオの怒りにゾイアスが
ひれ伏す。
「フェキリオ様決して
そのような事はッ!」
ガラリアはフェキリオの
前髪を更にくるくるしながら
腹立だしげに言う。
「つまりあんたはあれよ、
あの御方が勇者だの従者だのを
根絶やしにしてこの地に
等しく混沌をもたらして
下すったのを実はきゃつらは
生きてました~とこう言いたいわけッ!」
ガラリアがぐっと身を乗り出す。
「ガラリアっ痛い痛いっ
前髪が指に絡まっているっ」
オタオタと髪の絡まりを
解こうとするガラリアだが
面倒になってもう片方の手で
スパッとフェキリオの前髪を
切り落とす。
パッツン前髪になるフェキリオ。
「うわっ私の前髪がっ
貴様のせいだぞゾイアスッ!」
ゾイアスは大きな身体を
丸めてひれ伏している。
「まぁ面白いじゃないの
もし話が本当なら討伐隊を組めば
良いわ。隊長にはそうね、
居るじゃない神託を受けた
元勇者が。」
ガラリアが猫のように
ペロリと舌を出した。




