信じない
「本当に見えていないらしいね。」
マダムが窓の外の毛皮の男を見ると
キョロキョロしたり悔しそうに
石つぶてを窓へ向かって
投げつけたりする。
石は窓に当たる事も無く掻き消える。
毛皮の男が驚く様子も無いので
石は弧を描いて落ちただけの様だ。
部下達に当たり散らした後
毛皮の男は銀色の狼に乗ろうとして
振り落とされ噛みつかれそうになり
慌てふためいて逃げて行った。
暫く外の様子を眺めていたマダムが口を開く。
「一体どうなっているんだい。
アタシは現実主義だからね
UMAだの何だの非現実的なのは
信じないんだよ。」
えぇっという顔で小松ちゃんが見る。
「そもそもマダム自体が
非現実的・・」
マダムがジロリと小松ちゃんを見る。
「いいえ何でもありません。」
口を噤む小松ちゃん。
「それにしても玉おばあちゃん
凄かったね~びっくりしたよ。」
凛が膝の上にちょこんと座る玉に抱きつく。
「昔ね体術をねちょっとばかり
会得したのよ。」
エヘンと小さく胸を張る玉。
「凄かった。このごぼうも
とんでもない堅さだった。」
アキラがまじまじとごぼうを見つめる。
「大ちゃんっちょっとお台所を
お借りして皆様にごぼう料理を
振る舞いなさいっ。」
不満そうに口を尖らせる小松ちゃんだが
玉がごぼうをぶるんっと振るうと
慌てて支度に取り掛かる。
「え~玉おばあちゃん
ごぼう食べちゃうの?」
「お野菜なので食べて何ぼです。
八百丸自慢のごぼうをとくと
ご賞味あれ。」
ふふふんっと仰け反る玉。
「玉おばあちゃん可愛い~。」
凛が玉にスリスリする。
「凛っ目上の方に失礼な
態度を取るんじゃないよ。」
諌めるマダム。




