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ズルズル引き摺る

ドンドンドンッ!と

叩かれるドアに

アキラの肩が僅かに揺れ

マダムしらっとドアを振り向く。


「はいはーい

どちら様ですか?」


凛は嬉しそうにドアへ

駆け寄り開ける。


「あれ?」


凛がドアを開けると暗がりに

人の姿は無く目の前には

大きな荷物がある。


「お晩でございますっ」


何処からかしわがれた

老婆の声が聞こえる。

見ると大荷物の下に小柄な老婆。


「大ちゃんっ何をしてるのっ

ちゃんとご挨拶しなさいっ」


老婆の声にドアの影から

小松ちゃんがおずおずと顔を出す。


「ばあちゃん俺嫌だよ。

怖いよ入りたく無いんだよ。」


ドアの端に掴まる小松ちゃんの

頭をパシッと叩き中へと

蹴り入れる小柄な老婆。


「人様のお家に何て事を言うの

大ちゃんっ」

ぷりぷり怒る老婆も後から

入ろうとするが背負った大荷物が

引っ掛かり入れない。


「大丈夫ですか?」


荷物から身体が浮き上がり

じたばたする老婆を凛が抱え

アキラが荷物を降ろす。


「・・何て重さだ。」


老婆はよいしょッ!と

立ち上がると顔を上げた。


「ま~ま~お初にお目に掛かります。

私は大ちゃんの祖母で

小松玉と申します。」


老婆が丁寧におじきすると

凛とマダムとアキラも頭を下げる。


「こんばんは玉さん、

え~と大ちゃんというのは

小松さん?」


凛が尋ねると玉は

横で頭を抱えて竦み上がっている

小松ちゃんをパシッと叩く。


「大ちゃんっ

自己紹介もしてないのっ」


「ごめんなさいっ

今更だけどオレ小松大っていいます。」


「宜しくお願いします。

天野凛です。」


「菱アキラです。」


「狐神スヤコだよ。」


「えっマダム狐神っていうの。」

「知らなかった。」


凛と小松ちゃんが顔を

合わせる。


「ま~ま~それじゃあ

玄関先って言うのも何だから

中へ入りましょ。どうぞどうぞ」


玉はそう言うとズイズイ中へ

入って行く。

嫌だ嫌だと床に張り付く大を

ズルズル引き摺る玉。


「はいはーい

玉さんこっちがいつも使ってる

部屋です。」


凛が部屋のドアを開ける。


マダムも部屋の中に入っていき

アキラが玉の大荷物を抱えて続く。


「お、重いっ腰が砕ける。」


ヨロヨロと荷物を抱えるアキラ。

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