ベッタベタ
「何してんだい、さっさと行くよ。」
マダムはイライラと店内を見ている。
「アキラくん、これは?」
凛が手に持った御札をアキラに見せる。
「それは火の用心なので台所へ、
感謝感激はメニュー表へ
全員整列はドアの前で
お願いします。」
次から次へと御札に
文字を綴り凛へ渡すアキラ。
「はーい」
言われた場所へ御札を
貼っていく凛。
「何をしてくれているんだい!?
店の中が御札だらけだよ!?」
歯噛みしながら見守るマダム。
「オレにはこんな事くらいしか
出来ないので、迷惑掛けた
お詫びです。気にしないで下さい。」
窓の所へ進入防止の御札を貼るアキラ。
凛も嬉々として御札を貼っている。
「ふざけんじゃないよ!
大いに気にするね!
・・あ~あ~そのランプシェードは
アンティーク何だよ、
台無しじゃないか。」
他にも一発逆転だの空中殺法だの
思いつく限りの言葉を書き連ねている。
凛が灰皿に『1日1箱』を
貼り付けに来た所を捕まえて
コメカミをグリグリするマダム。
「凛、あんたが遊びで
やってるのは分かっているんだよ。」
「イテテっマダム後でっ
剥がすからっ良かれと
思っての事だから。」
「は~敵わないね全く。」
呆れながらコメカミから
手を離し好きにさせるマダム。
漸くして気が済んだのか
ようやく御札を貼り終えた二人。
店の中は御札でベッタベタだ。
「すみません、ブーツ迄
頂いてしまって。」
アキラが裾を捲ると
ツヤツヤした皮のブーツが見える。
「ふん、凛にと買ったんだけどね
サイズを間違えたんだよ。
その鉄ゲタは煩くて仕方ないからね。」
腕を組んで鉄ゲタを見るマダム。
「それじゃ行こう
マダムは久し振りじゃない?」
凛がドアを開けて徒歩0秒の家に招く。
「まぁ何しろあれが居るからねぇ。」
凛がウキウキと垣根に消えると
マダムとアキラもそれに続いた。




