疲れ知らず
ガツッガツッガツッ
疲れ知らずな怪異の血塗られは
ひたすら鉄ゲタ男に黒い刃を
振り下ろしている。
黒い刃を防ぎ続けた鉄ゲタ男の刀は
刃こぼれして当たる音も変わって
きていて何だか砕けそうだ。
息が上がり片膝を付く鉄ゲタ男
圧倒的な力の差があり
祓うとか祓わないじゃなく
祓えないしむしろ
関わらなかった方が
身のためだったんじゃないか。
祈祷師や陰陽師や何とか道士も
こんな感じだったのかと
凛が見ていると
「凛、そこはもう良いから
窓の辺りを掃いとくれ。」
「はーい。」
凛が箒と塵取りを持って移動すると
後ろから小松ちゃんが
ゴミ袋を広げて付いて来る。
主にマダムが飛ばしまくった
九十九針の掃除だ。
「あ、小松さん
それ普通のゴミ袋じゃない?
私違うの取って来るよ。」
そう言うと凛は家に戻り直ぐ帰って来た。
血塗られの一方的な攻撃は続いており
鉄ゲタ男の息はぜーぜーと上がっている。
振り上げられた黒い刃の一撃を
必死に見上げた鉄ゲタ男
カッとかっ開かれた血塗られの目に
鉄ゲタ男の瞳が恐怖に揺れた。
「ほ~らほらほら
チョコチップメロンパンだよ!」
凛がガサガサとチョコチップメロンパンの
入った袋を振るう。
ピタリと血塗られの動きが止まり
凛の持つチョコチップメロンパンを
目で追いかける。
「ほらほら~ほらほら~」
右へ左へとチョコチップメロンパンを
揺らす凛。
それに合わせて血塗られの体も揺れる。
鉄ゲタ男は疲労と恐怖で
刀を握ったまま膝を着き
固まっている。
「ほらーっ」
開けたままのドアから
自分の家に向かって
チョコチップメロンパンを
ぶん投げた凛。
同時に血塗られもすっ飛んで行く。
「ああ~」
崩れ落ちるようにその場で
仰向けに倒れ込む鉄ゲタ男。
疲労困憊で天井を見つめる
男の目には涙が滲んでいた。




