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迷い無し
ガンッガンッガンッ
血塗られの容赦ない刃が
幾度となく鉄ゲタ男に降り下ろされる。
迷いも無く息切れもせず
勢いも止まらないのは
怪異だからだろう。
攻撃を言葉にすると
「憎し、憎し、憎し!」
って感じだ。
全身ドス黒く乾いた血で真っ黒で
闇を感じる暗黒な黒さ。
心理の読めない無機質な
世の理を超えた攻撃を
受け続ける事は鉄ゲタ男にとって
トラウマものだろう。
あの速さの刃を本当によく
素早い刀裁きで防いでいると思う。
本来相当な手練れなのだろう。
防ぐのが精一杯で他の動きは
出来ないみたいだ。
「凛あんた、あれを使役してんのかい?
恐ろしい子だねぇ。」
違う違うと首を振る凛。
よいしょと立ち上がるマダムは
店の有り様を見てやれやれと
ため息をつくと倒れた椅子を
起こしたり片付けを始める。
伏せたまま指の隙間から
状況を見ていた小松ちゃんにも
声を掛ける。
「ほらあんたも立ちな怪我はないかい。」
「マダムごめんなさい俺・・」
「何て事は無いさ。」
髪の乱れを直しつつ頭を掻いているマダム。




