見てしまった
鉄ゲタ男の眼前でユラユラと
お玉を揺らす凛。
「フン、退け」
蔑む様に顎を上げて見下げてくる鉄ゲタ男。
「お前こそどっか行け」
あぁん!?という表情で対抗する凛。
「凛、止しな。下手に手を
出すんじゃないよ」
マダムが心配そうに凛の手に触れる。
マダムの手を優しく握る凛。
「マダム大丈夫?
九十九針飛ばしたの?頭痒くない?」
「痒いっちゃ痒いね」
フッと緊張が緩むマダム。
鉄ゲタ男が間合いを詰める。
小松ちゃんは隙あらば
飛び掛かろうと床に手を
着いている。
マダムは凛を巻き込みたく無いと
手に力を込める。
凛はお玉をブンブンしながら
鉄ゲタ男を威嚇するが
正直どうしようかと思っていた。
あぁこれが夢ならいいのに
でも現実感凄いから違うな
とか考えていた。
ふと鉄ゲタ男の後ろにある
壁の染みに目がいった。
(あれ?あんな所にあんな染み
あったかな。油染みかな?
・・何だかだんだん大きくなって)
次の瞬間ドス黒い何かが
目にも止まらぬ速さで
飛び出してきた。
真っ直ぐに鉄ゲタ男目掛けて
手にした黒い刃で襲い掛かる。
「うおぉっ」
声を上げ何とか反応した鉄ゲタ男は
刀で攻撃を防ぐが
切り返す隙も無く
ただただ防戦一方。
身を翻すがドス黒い何かの刃は
迷いが一切無く速く強く重い。
金属音が鳴り響き
ジリジリと下がっていく鉄ゲタ男。
「驚いたねありゃあ・・」
マダムが口を開くと
凛がキュッと手を握り返した。
「血塗られ」
凛が呆然と呟き
床に伏せた小松ちゃんは
見てしまった怖さに震えつつ
両手で目を隠しながら
指の隙間から見た。




