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「「ハァ…ハァ…」」二人とも洞窟を出ると緊張の糸が途切れたのか疲れ果てていた。
「二人ともお疲れさま、思ったよりも早かったわね」
「今回は一発で撒くことができたからな、なんとかなったが…つかれた~」
「ん、フーしっかり」
「うおぁ!つめたっ!」フィリアがポーチから出した水筒をフレアのほっぺに押し付けると彼はその冷たさにビックリしていた。
「それで?石は?」
「じゃじゃーん、この通り、ちょっと大きすぎるかもしれないけど大丈夫?」ライガは袋から鉱石を取り出して両腕で抱えた。
「うん、大きい分には問題ない」
「じゃあ、百花草も探して戻るわよ」
「そっか、もう一つあるんだった…」 フレアは先の出来事でお腹一杯のようだった。
「時間があまりないのよ、少しは根性見せなさい」 「へーい…」
百花草はその名の通り一本に百個の花が実っていて、その一個一個は色が少しずつ違っている。そのため全体は虹色に見えて美しく、また冬以外では見つけやすいことから贈り物に用いられることが多かった。ライガたちは一度丘の木まで戻り、それを目印に先ほどとは別方向で森を進んでいった。時間の短縮のため全員身体強化魔法を付与していた。そしてしばらく進むと川が見えた。そして川に沿って足丈くらいの草が生えてありそこに百花草をはじめいろいろな花が群生していた。ちなみにこの川は学校や村に流れる川の下流部であるが、下水道の水は村で管理しているスライムによって綺麗にされてから流されているため透き通っていた。
「おー、いっぱいあるじゃねーか!全部取っていきたいぜ!」
「だめよ、必要な分だけにしないと怒られるわ」
「ちぇ~」 フレアは少しつまらなそうにしていた。
「いくつ必要なの?」
「ん、予備も含めて2本あればおーけー」
「余計な分は取らないんじゃなかったのかよ…」
「予備の分は別、それにもし使わなかったら別に使う」
「へーい」フレアとライガは草むらに入り互いに一本ずつ百花草を抜いてフィリアに渡した。
「ほらよ、ちゃんと根元から抜いたぞ」
「ん、ありがとう」
「はい、リア」
「ライもありがとう」
「さあ、材料も集まったことだし早いとこ戻りましょ」 四人は帰路へついた。
フレアとフィリアが並んで先頭を行き、その後ろをライガとエレナの二人が歩いていた。「
レア、機嫌悪そうだね…」ライガがフィリアと話しているフレアを見て、エレナに小さい声で言った。「そうね、さすがに少し急ぎすぎたかしら…」 エレナは少し気にしていた。
「でも時間なかったんでしょ?」
「まあ、そうだけどね…それでも少しはレアやあなたのことも気を使うべきだったわ…ごめんなさい…」
「いいっていいって!みんな僕にペース合わせて落としているから時間ギリギリになっているんだし、僕も言えた口じゃないよ!」
「そうだけど…」
「レナらしくないよ!とりあえずレアにも謝ってきたら?」 ライガがそう言うとエレナは幾分か顔を綻ばせていた。
「そうね、そうするわ」エレナは前の二人に追いついてフレアに話しかけた。
「レア、ごめんなさい」
「あ?なんのことだ?」
「もう少しあなたの気持ちを考えるべきだったわ、洞窟に入るのも」エレナの声は少ししょげていた。
「気にするな、次から気をつけろ、だが、次はレナに入ってもらうからな」
「わかったわ」 二人は仲直りで握手をしていた。その後は全員元の調子を取り戻したのか談笑し、夕暮れのころに村に着き各々の家へと入っていった。