ダブルサラ
その後、少しの間魔法の鍛錬を付けてもらった後イムの家に再び戻った。
そして、僕はこの質問をした
「そうだ、さ…じゃなくて僕のバトルロボは」
「それならば知り合いの修理屋が預かっている。もうすぐ彼が届けてくれるから心配しなくてもいい」
「そうですか…」
「ところで、妻から聞いたのだがあのバトルロボの名前はサラというらしいじゃないか((((」
「あっ…それは…」
「妻のファンなのか?((((」
そーなりますよねー((((
素早く名前を決める時にサラという女性の名前が頭の中にちょうどあっただけだから…と正直に話しすか?
…でも、夫の前でファンではないと同然のことを言うのもなんか気が引けたのでファンだったと嘘をつかせてもらうことにした。
幸いなことにそれ以上そのことについて追求されることは無かった。危ねー危ねー((((
しばらくは休む予定だったので、僕は2人の家で時を過ごした。
2人のする話はとても面白く、楽しい時間を過ごすことが出来た。そんな時…
「む、呼び鈴か。誰だ?」
「ワシじゃよ」
「来たか。空いてるから入ってくれ」
少しして、1人の老人が家に入ってきた。傍らにはサラもあた。
「!良かった、直して貰えたのか」
「はい。ご心配をおかけしました」
「ありがとうございます。えっと…」
「ラーグでよい。敬語は苦手なんでな、タメ口で構わんぞ…」
「そ…そうか。ともかくありがとう。とても腕がいいようだね」
「当たり前じゃ、わしの腕を甘く見るでないぞ」
「ラーグ、ちょうどお茶菓子を妻が用意してくれた。食べていくか?」
「ああ、いただくとするかね」
サラはあの後修理に2日半かかったらしい。僕は知らなかったが、どうやらサラはまだ発表されてない新型のようで、手探り状態で直したゆえ時間がかかったようだ。
「君、新型なんだね。初めて知ったよ」
「私はそのことについては知らないので。」
「ところでお主がなぜ未発表の新型を持っておるんじゃ?」
「あー、それはね…かくかくしかじか」
「つまりは拾ったと言うことじゃな。それはまぁなんと運がいい。このバトルロボは今売られている最新型よりもはるかに優秀な型じゃ。もし売られていたら人気になってるじゃろうて」
詳しい事情は分からなかったが、とにかくうちのサラがすごいことはわかった
「良かったな、サラ」
「はい」
「呼びましたか?(((((」
「あ、いや違います(((((」
「君、呼び方分けたらどうだ?」
まぁそうなんだけどなんと呼べばいいのか分からないんだよね。1回1回女優のサラさんと呼ぶのはさすがにめんどくさいし…
あー、名前考える時間があったらなぁ
「これ言うのは野暮かもしれんがの……もっと別の名前つけられんかったのか?(((((」
「そもそもの話、女優のサラさんと会う前提では作ってないから(((((」
「私と会なかったとしてもサラという名前の人は沢山いる気がするのですが……(((((」
「下の名前は付けてるのか?」
「はい、アラークです。」
「なら、バトルロボの方はそちらで呼べばよかろう。妻に関しては…頑張りなさい(((((」
どう頑張れっつうんだよ!?
やれやれ…と思ってると、イムが途端に別の話題を切り出した
「さてと…ヴェスペ君、君と話がある。一緒に来てくれ」
「は、はぁ」
「君たちはのんびりしててくれ」
「かしこまりました」
書斎……
どこかの部屋へと僕は招かれた。確信はないが、本のような匂いがしたことから恐らく書斎のようなところだと僕は思った。
そして、彼は話を始めた
「…少し仕事の話をしたい。引き受けてくれるなら相応の報酬を出そうとも思う。」
「仕事ですか……?」
「ああ、君にとある武術大会に参加して欲しいんだ」
「武術大会?」
そういえば、僕はこの家の付近の町について聞いていなかった。そのことについて聞くと、その町はバトルタウンという名前らしく腕っ節自慢の人々が集まり武術大会を開いているらしい。
武術大会とは言っても、無制限の無法地帯であるらしく人殺しも行われているようだ。しかし、問題なのはそこではないと言う。いや、充分やばくないっすか(((((
「負けた人間が死ぬのは広告などにも書いてあり、そこに集まる人々は本来ならばそのリスクを犯してまで金が必要な人々。合法かどうかは怪しいが、何年と続けられてるのを見るあたり法の目をかいくぐっているのだろう。」
「地元の警察を買収しているとか…」
「恐らく。だが、本当に問題なのはこの先…大会の優勝者は賞金を受け取り悠々と暮らすはずだ。しかし、調べてみたら優勝者はいなくなってることが判明した」
「いなくなってる……?」
「ああ。このことが匿名のタレコミで判明し、今までの件を含めて警察本部が捜査を入れることになった。ところがどうだ、警察の調べでは証拠は何一つ出ず、捜査は非常に難航しているらしい。これまで囮捜査、強制捜査等を断行したが…全て空振りのようだ」
「証拠隠滅ですか。」
「そこで警察本部が取り出した手は一般人による捜査協力。だが…」
「それは犠牲をも厭わない警察による最終手段。この捜査を軽々しく協力すれば警察本部は手柄を挙げられるが、協力した人に命の保証はない…と。」
「ご名答、私も同意見だ。だが、君達ならば武術大会も安全に優勝出来、生きる可能性も大きいと思う。…この仕事を君はやってくれるか?」




