対決
「ぶおおおおおおおおおお!!!」
「くっ…」
バグワームの大きさはとてつもない。それは、マンション5階部にまで届く。
更にはマイク〇のブロック200個の深さまで潜る…そんなとんでもない化け物を相手に目の見えない僕がどうしたら。
幸いここの地盤は硬いのが救いか…地面に潜らないのは助かる。
が、潜らなかったところでこの化け物をどうにかできる訳では無い。ただこの化け物を後退させることができるならば…
「おらぁっ!」
「ぶおおおおおおおおおお!!ぶおおお!!!」
案の定腐った卵をぶつければ見境なく暴れ回るようだ。それを利用しない手はない。
「それ、もう1発だ!!」
「ぶおおおおおおおおおお!!!!」
バグワームは確か柔らかいところがあったはず。多分…ここら辺か!…当たった感触はあった。しかし、狙いは外れてしまったようだ。
やつはすぐに反撃をしかけてきた。っ…!1発1発があまりにも重い!!これを何度も受けたらまずい…!
「次はこれだ!そらよ!」
「?」
「殺虫剤入りの肉団子だ。殺虫剤も買って置いて正解だったな。さぁ…苦しめ!」
「……にちゃにちゃ…ペッ」
「なっ!?効いてない!?いや…毒を吐き出したのか!」
やつの防衛本能なのだろうか、ともかく殺虫剤は効かなさそうだ
すると、町からか車が出る音が聞こえた。恐らく、女優のサラを逃がしているのだろう…ああ、そうしてもらった方が安全だ。
と、思った矢先バグワームのけたたましい雄叫びが聞こえた。これは…卵の匂いが取れたか!?
バグワームは音のしてる方へ向かった!まずい、ガソリンの匂いをたどってるのか!このままだと…
「早く逃げろー!車は捨てるんだ!!」
「ぶおおおおおおおおおお!!」
「!?うわああああ!!!!」
「っ!?間に合わなかったか!?」
車を噛み砕く音が聞こえる。中の人は!?
「いたたた…」
良かった、全員脱出したか。と、安堵するのも束の間…バグワームは車を捨てたようで、地面に落ちた人々に襲いかかった!
「わぁぁぁぁああああああああぁぁぁ!!!!!助けてくれぇぇええええ!!!」
「くっ!離せ!!その人達を離せ!!」
無我夢中でバグワームに攻撃した。しかし、努力は虚しく叫び声は食べられる音と共にかき消された…
「そんな…」
「あ…あ…っ…」
「ぶおおおおおおおおおお!!!」
「サラさん!逃げるんだ!」
しかし、彼女は足がすくんでるのか走る音は聞こえなかった。くそっ!!守れないのは…なにも守れないのはもううんざりなんだ!神でも誰でもいい…!!どうか僕に守れる力を!
「うぉぉぉぉおおおおお!!!!」
「キャッ!?」
「ごぶっ!!!」
「行っけええええええええええええ!!!!!!あぁああああ!!!!!」
「ぶおおおおおおおおおお!!!?????」
「はぁ…はぁ…」
「あ…あなたは一体…」
「行けっ!!!!早く!!!」
「っ…」
…走り去る音が聞こえた。これでいい。僕は君を守れそうにない…だって鳴棍は折れてしまったから。
これ以上更なる犠牲が増えるくらいなら…
「ぶおおおおおおおおおお!!!!!!」
「がふっ!!!」
くっ…ダメだ…意識が…とお…く…
ーしばらくして僕は倒れたところと同じ場所で目が覚めた。
…僕は喰われなかったのか?はっ!それよりもバグワームは!?町は!?
ボロボロになった体を引きずり町へと入った。しかし、そこは町とは思えぬほどに静かになっていた。
僕の頭の中に最悪な考えがよぎる。けれど信じたくなかった僕はその考えを振り払い人を探す。
…でも、そこの町から出てくる匂いは血と瓦礫の匂いだった。血の匂いの元へ行くと…そこにあったのは残飯と思わしき人の亡骸だった
「あっ…あっ…そんな、嘘だ…嘘だ!!!…嘘だと…誰か言ってくれ…」
人の肌を求め彷徨う。今まで行った場所に…。もちろん武器屋にも
でも、どこにも…人の肌はなかった。
何故こうならなくてはならない。何故人間は再び死ななければならなかった。
何故…僕はまた…1人にならないと行けない。
ふと、武器屋の机の上に手を置くと…そこには点字で書かれた手紙と鍵があった。これは一体…あの時間で点字を書くことはできたのか?いや、それよりも…解読を。
''キンコノカギヲタクス''
…それだけ書かれていた。確かサラの言った通りだと店の奥だったか。
こんなこと今することだろうか…でも…僕は…
店の奥を進むとドアに突き当たった。それを開ける…その部屋は狭かった。まるで倉庫みたいな…そんな感じだ。
僕は足元に気をつけながら目的のものを探す。…そして、見つけた…託された金庫を。
…金庫の鍵を開けた。そして、中に手を入れて出てきたのは…店主が売らないと言ってた鳴棍と一通の手紙…どうやらこちらの手紙は点字ではないようだ。
誰に読んで貰おう…そうだ、サラが…いるじゃないか。早く迎えに行かなきゃ…僕は店の外へと出た。
しかし、再び意識が遠のいていく…僕は…なんと…弱いの…だろう…か。
ドサッ…




