鳴る世界
「解析完了、お店の奥にもうひとつ鳴棍があります」
「へ?」
「…」
「マスター、鳴棍は特定の周波数の音を出すと反響する特徴を持ちます。たった今試した所その反響が店の奥からありました」
「そうなんだ…」
「やるねぇ。けど、あの鳴棍は売れないな。悪いけど買うならこっちだけだ」
「しかしなぜ」
「いい…。おいくらですか?」
「マスター?」
「6万円だ。」
…そして、僕は売られている鳴棍だけを買って店を出た。当然かもしれないが、サラはこのことに疑問を感じていたらしく
「マスター、なぜそちらにしたのですか?店の奥の鳴棍の方が高い性能を持ちますよ」
「サラ…君には分からないかもしれないけど人ってのは触れられたくないこともあるんだよ。その鳴棍は…きっとあの人にとって触れてほしくない記憶なんだよ」
サラは理解が追いついていないようで、僕に何度も疑問をなげかけた。進化を遂げているとは言ってもまだ感情を理解するのは難しいらしい。
さて、この町でやる用事は済んだか。魔族も来なさそうだし次の町まで…
「わぁぁぁぁ!!!」
…余計なこと考えないようにしようって決めた矢先にこれだよ((((
まーじでこの作者頭おかしいんじゃねぇの?…っと、そんなこと言ってる場合ではないか。助けなきゃ
「サラ、戦闘準備」
「はい。戦闘プログラム実行します」
僕らは声が聞こえた方へ向かうことにした。町の人達は当然ながら大騒ぎだ
「ここだな…」
「ああっ!貴方は!お願いです、お助け下さい!!」
「いやあなたなんすか((((」
「マスター、来ますよ」
「お、おう。どんな魔物だ?」
「解析プログラム実行します…解析完了。種族はバグワーム」
「バグワーム!?バグワームと言ったらバカでかいあの!?」
「はい、そのバグワームで間違いありません」
「ぶおおおおおおおおおお!!!!!!」
こいつめっちゃ強いんだよねぇ〜あはは。…泣いていいかな((((
具体的にどのくらい強いのかっていつと車を顎で噛み砕けるくらい強い。
…うん、虫っぽくねぇなこいつ。
「サラ、町に被害が出ないようにとりあえず外に…」
「下腹部の破壊をします」
「もう始めてるぅぅううう!!((((」
「ぶおおおおおおおおおお!」
くっ…あまりにも不利すぎる。こっちは目が見えないというのに
ここはやはりサラに任せるしかない。僕が相手をするには条件が悪い
「発射…」
「ぶおおおおおおおおおお!!」
押してるのかどうなのか分からない…!どうなんだ
「うっ!!!」
「ぶおおおおおおおおおお!!」
「サラ!?」
「エネルギーの低下を確認…残り50%」
「半分だって…!」
僕の知ってる最新型のバトルロボだと1回のチャージで5日間は持ち堪えられる充電量があるらしいが、それをもう半分減らしたのか!
やはりこのようなところで対峙する相手ではない…!なにか対抗策は…
「ぶおおおおおおおおおお!!」
「マスター!!」
「うおっ!?あぶねっ!!」
なにか対抗策…音…ダメだ。やつは聴覚がない。
その代わりにやつは高い視力と嗅覚で獲物などを追う習性が…ん?高い嗅覚?そうか!!
「サラ、少し辛抱してくれ!僕は探し物をしてくる」
「かしこまりました。」
急げ…あれさえあれば。
「すみません、探しているものが…」
時は経ち…
「出力さらに低下…残り…がが…20%…」
「ぶおおおおおおおおおお!!」
「何とか間に合ったか!」
「ぴぎがが…ま、マスター…」
まずい、急がないとこのままではサラが。
本当に成功するかは分からないが一か八かの賭けだ!頼むから当たってくれ!
「くらええええ!!!せいやっ!!!」
パキッ…という音が鳴った。どうやら当たったらしい、僕が探してきた腐った卵が。
「ぶおおおおおおおおおお!!!???」
「 よし、効いてる!はっ、そうだサラ!もういい、下がって休むんだ」
「了解がが…しました…ぴぴ…」
そしてバグワームは怒り心頭なようで、けたたましい雄叫びをあげた。
これでいい、僕は町の外へ出た。当然バグワームも僕の後を付けてくる
さてと…ここからが問題だ。僕はこのバカでかいバグワームを相手にどう対処するべきか、恐らく腐った卵はもう効かないだろうからな…




