episode9~不動産屋~
episode9「不動産屋」
とある若いカップルが、不動産屋に訪れる。少し老人の社長が出てきて
社長「いやー、来てくれてありがとうね。いらっしゃい」
彼氏「あの、新しい家探したくて」
社長「いいですね、あっどうぞどうぞ」
三人は椅子に座る。
社長「えっと、どこら辺がご希望ですか?」
彼氏「えっと、どこだっけ」
彼氏は彼女の方を向く、彼女は笑顔になり
彼女「ほら、新」
彼氏「あー、新宿です」
社長は笑顔で
社長「なるほど、新宿ね。少しお待ちくださいね」
社長は近くにあるロッカーからファイルを出し、そこから四、五枚の紙を抜き取り、カップルに持ってくる。
社長「えっとね、一件目はね、新宿駅から徒歩10分のマンションで、家賃が4万だね」
カップルは、笑顔で見つめ合って
彼氏「いいですね、そこ」
だが社長は、暗い顔をし
社長「ですが、そこ事故物件ですがよろしいですね」
色々と準備を始めようとする社長。
彼氏「ちょっと待ってください」
振り向く社長。
社長「どうかされましたか?」
カップルは苦い顔をし
彼氏「事故物件だったら、いいです」
社長は暗い顔をして
社長「そうですか」
明らかにテンションは下がっていた。そのまま
社長「じゃあ、二件目です。えっと、ここは家賃7万円で、新宿駅から徒歩18分です」
彼氏「でもそこは事故・・・」
社長「事故物件ではないです」
社長は明らかにテンション低めに言った。
彼氏「じゃあ」
彼氏は彼女を見て
彼氏「そこで決めます」
社長「あー」
驚くカップル。
社長「そこ熊が出るんだった」
彼氏「は?。熊?」
社長「えぇ」
彼氏「あの三件目は?」
社長「そこよく強盗入られますよ」
彼氏「嫌だなそれ。防犯システムとかないんですか?」
社長「強盗に壊されたんで」
彼氏「四件目は?」
社長「じゃがいも星人が襲ってきます」
彼氏「は?」
社長「殺されますよ」
彼氏が彼女を見る。彼女は首を横に振る。
彼氏「五件目は?」
社長「あぁ、そこ事故物件と関係なく、幽霊沢山出ますよ。幽霊パラダイス」
彼女が首を横に振る。彼氏は彼女に
彼氏「じゃあやっぱり、一件目しかないか」
彼女は首を縦に振る。彼氏はテンション低めに、
彼氏「じゃあそこで」
社長はテンション高めに一件目以外の紙を破り捨て
社長「ありがとうございます!」
すると社長は奥に向かって
社長「おーい、新宿の連続殺人事件の現場、売れましたー」
そのまま、奥へと消えていった。カップルはお互いを見つめ、前を見て
彼氏「部屋探しって、こんなに大変だったっけ?」
彼女「さぁ」
彼氏がため息をする。
~終~