episode1~小説家~
episode1「小説家」
とある日の照った昼の時、男性小説家が執筆中だった。
小説家「えっと、水の中には、おぞましい生き物がいたと」
恐らく、ホラー系の小説だろう、そんな感じで執筆を続けていた。
と、出版社の若い男性編集者が、部屋に入ってきた。
編集者「鹿野先生、出来ました?」
小説家「あとちょっとかな」
編集者「そうですか。楽しみですね」
すると、編集者が座り、持っていた袋に入っていた肉まんを取り出し食べだす。小説家は振り向き、その姿を見て
小説家「それ何?」
編集者「え?、肉まんですけど?」
小説家「いや、それは分かるけど、俺書いてるんだけど」
編集者「あぁ、気にせず書いてください」
編集者は笑顔で言う。小説家は少し怒り気味に
小説家「いや気に障るんだよ」
編集者「そうですか」
しかし、編集者は食べ続ける。一旦前を向くが、集中が切れた小説家がペンを置き
小説家「よし、一旦休憩しよう」
まだ編集者は食べながら
編集者「そうですか」
小説家は呆れながらも、一旦休憩に入った。しかし、編集者は黙って肉まんを食べてる。小説家は黙って編集者を見つめている。
編集者「なんですか?」
肉まんを食べるのをやめ、小説家に聞く。
小説家「いや、私の分はないのかね?」
編集者「いや無いですよ」
小説家「は?」
編集者「いやだから、先生の分は買ってないですよ」
小説家は唖然とする。これは勝手な想像かもしれないが、普通肉まん買って、私のところに行くのなら、一個だっていい、買ってくるだろ、そう思い
小説家「いや普通買ってくるでしょ?」
編集者「なんでですか?」
小説家「ん?、え?」
二人の間には、変な間が続く、すると、編集者が水を差すように一言
編集者「子供じゃないんだから」
小説家「えぇ」
すると、編集者がキレ気味になり
編集者「分かりました。残ったの上げますよ」
小説家「要らないよ」
編集者「何がしたいんですか」
遂にキレた。小説家が慌てて
小説家「いや、なんで君が口付けたものを、俺がほいほい食べなきゃいけないんだよ」
編集者「そうですか。よし、パチンコ行ってこよう」
と編集者が立ち上がる。
小説家「ちょっと待って」
編集者「なんですか?」
またキレ気味に言う。
小説家「いや、君仕事中でしょ?」
編集者「えぇ」
小説家「それでパチンコ屋行くの?」
編集者「いつもの事ですよ。それじゃ」
編集者が部屋を出ていく。
小説家「はぁ、出版社変えようかな」
~終~