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5・魔獣語

『3・身体の変化』についてですが、投稿後、改めて設定や今後の展開などを考え直した結果、主人公を『猫科の獣人』から『狼の獣人』に変更しました。

 白虎の寝床があるこの洞窟だが、どれくらいの広さなのか、どういった形状なのか、と言った事はよく知らない。

 洞窟に入ったり出たりした時は、白虎に咥えられていたから、見た範囲は狭いし、中に居る時も寝床から動いていなかったからな。

 とりあえず、洞窟の全体図くらいは把握しておきたい。

 じゃあ、動き出すか。

 まずは見える壁まで……って、あ。

 何となく入り口の方向に振り返ると、そこにはこちらを見る白虎がいた。

 …………。

 ヒョイッ。

 若干の沈黙の後、白虎に咥えられ、寝床に戻される。

 ですよねー。

 こんな赤ん坊がどっか行こうとしていたら、そりゃそうなるわな。

 でも、ちょっとくらい良くないですか?

 という思いを込めて俺を囲んでいる白虎を見上げる。

「ガウ。ガルゥ。(駄目でしょ。あなたはまだ幼いんだから)」

 はあ。やっぱり駄目か……。

 赤ん坊だって動いても良いと思うんだけどなー。

 ……………って、ちょっと待て。

 俺、今、すっごい大事な事を流さなかったか?

 白虎、喋ったよね?

 え?え?……ええ!?

 い、今迄も白虎は喋る、というか鳴いてはいたけど、こんな事無かったぞ!?

 何で言葉の意味が分かるの!?

 お、落ち着け。落ち着くんだ、俺。

 えっと確か、落ち着くには素数を数えれば良いんだっけ?

 2、3、5、7、11、13、17、19、23、29、31、37、41、43……。

 ……

 …………

 ………………はっ!

 ヤバイヤバイ。

 素数数えすぎて、軽く意識がトリップしてた。

 まあ、おかげで十分過ぎる程に落ち着いたが。

 それじゃあ、今の状況を整理して、もう一度考え直すか。

 まず、何故かは知らないけど、身体が動く事が判明したから、洞窟探検に行こうとした。でも、白虎に見つかって寝床に戻された。

 問題はここから。

 不満気に見つめる俺に掛けた白虎の鳴き声が、俺を諭す言葉に聞こえたのだ。

 今までの一週間の間にも、白虎は鳴き声を上げていた。

 でも、さっきみたいに言葉が重複して聞こえてきた事なんてなかった。

 ぶっちゃけ、摩訶不思議過ぎる。

 もしかして、急に動ける様になった事と関係あるのか?

 いや、それよりも。

 今の俺には、とある疑念が思い浮かんでいた。

 その疑念を確かめる為に、自分の知識を漁る。

 霧島黄金として生きてきた16年間の経験と学習の成果を、全部掘り起こすつもりで思い返す。

 …………やっぱり、あった。俺の頭の中に、聞いた事も喋った事も無いはずの、まったく未知の言語に関する知識が。

『魔獣語:知恵の高い魔獣の間で使用される言語。特定の音や文字の組み合わせではなく、発する音の高さ、イントネーション、間などを駆使し、意味を表す。このため、鳴き声が違う魔獣の間でも会話が成立する』

 しかも、こんな概要だけじゃない。

 どんな音を組み合わせればどういう意味になるのかも、発声の仕方も、聞き取りの仕方も、全てが日本語と同じぐらい、いやそれ以上の知識がある。

 白虎の言葉の意味は、何の抵抗も躊躇いも無く理解出来た。

 それは、英語のリスニングした時の様に、無理やり意味を理解しようとしたのではなく、まるで使い慣れた日本語を聞いた時みたいだった。

 だったら日本語と同等レベルの、それに関する知識を持っているはずだと思ったんだが……予想が当たったな。

 ったく、何でこんな事を俺が知っているんだか。

 ま、これで白虎とも会話が出来るんだし、それはいっか。

それに、そこら辺の諸々も白虎なら知っているかもしれないし。


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