6.
管理人が言うにはこうだ。何らかの不具合によって同時に同じページにアクセスしていた6人の男女が何らかの理由でなりの世界に吸い込まれてしまったようで、なりのページには勝手に彼らの動作や会話が次々に表示されているようだった。管理人自身も書き込むことで会話しているようで、状況はわからないらしい。他に迷い込んだものは居ないようだが、これが原因でアプリのプログラムが崩れ始めているという。
「私たちはどうすれば……?」
さっきのケモ耳女性がまたもや声に問いかけたが、今度は助けを求めるかのようだった。少々時間がかかり帰ってきた言葉は、
「このなりきりを最後まで進めれば、なにか変わるかも知れませんね。」
という、単なる予想のような答えだった。しかし、今私たちが頼れるのは会話ができる管理人だけなのだから、この言葉を信じるしかない。
管理人はこの掲示板へのアクセスができないようにするためにパソコンをいじると、ひとつの課題を残してこの場からログアウトしてしまった。そして、この課題とは『自己紹介』だった。くれぐれも個人情報を言わないうにと2回も念を押して言っていた気がする。こういう時になんて言えばいいのかわからないが、自己紹介を始めてみようと思う。
「……ぁ、あの。初めまして、#目猫です。」
なんと言えばいいかわからなかったので、皆わかるだろう自分のユーザー名を名乗る。すると、聞こえたのは凛とした男性の声だった。一瞬驚くが、周りの様子は普通にしっくりきているようで、どうなっているのか全く理解出来なかった。