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新世紀革命テロリスト じゃすてぃす武田  作者: 一条人間
レッツ・ジャスティス・これは序章に過ぎないのだ
9/15

遅めのハロウィン祭り!弐

「ヒッヤハー!動くなよ!動けば俺のカボチャ頭が吹き飛ぶぞ!」

 勢いよく部屋に突っ込み、ジャックオランタンの仮装のジョニパッチ。これが作戦の最終段階だ。


「なんだお前は!ここが何処か分かっているのか?」

「わかってるさ、少しでも抵抗してみろ?俺の頭はドカーンだ」

 年の候を感じさせる厳格な老人が護身用の銃を手にするより速く背後に回りその首を腕でホールドする。締め付けはしない、緩く拘束する程度だ。

「いつの間に後ろに!私を脅迫するつもりか!?」

 目的と言ったらそれしかない。最高指揮官執務室にいる人物と言えば限られる、そう彼は極悪帝国ジャアック戦術最高指揮官マボボ・テシンハンだ。


「そんなとこだ。ま、助けを求めるなら好きにしろ」

 俺はこいつを脅迫する。その為に何を望むかも無く、脅迫の目的なんて作戦の過程であることに過ぎないが。

「それならもう呼んだ。5分としないうちにお前は刑務所行きだ」

 勝ち誇ったように笑みを浮かべるマボボだがこれには勝ちも負けもない。捕まればそこで作戦は完了だからだ。


「じゃあそれまで少し話をしよう。あんたたちの事についてだ」

「なんだ、話とは」

 拘束を解き椅子に座らされ、怪訝そうな顔をするマボボ。当然だ脅迫すると言って捕まることも恐れず、話をしてくる。不可解の塊でしかない。

「俺はこの国の在り方は間違っていると思う。弱者から搾取して成り立つ国があっていいと思うか?」

 ジョニパッチの声に熱がこもる。彼は搾取されてきた街の結末を幾度となく見てきた。それが何を意味するか実行する本人たちが知らないはずがない。


「間違ってはいる。だがそれしか皆をまとめる術はなかったのだ。あの時は……」

「あの時?国の概念が壊れた大戦の事か」

「そうだ、あの中で傷ついた人々を導き、再び希望を持たせるには……」

 


~回想 正義の為に悪となりて~


  第1~12話「世界の為に何ができるか?」ダイジェストでお送りします。


 世界はその時、戦乱の炎で包まれた。

 一つの独裁国家が世界に攻撃と共に宣戦布告したのが事の始まり。

 地を焼き空を焦がし、絶え間なく繰り返される戦火によって人々は平和の日々から一転、阿鼻叫喚の地獄へと変わってしまったのだ。


 宣戦布告を皮切りに各国が戦争を始め、その果てに訪れたのは空虚の静寂。

 200にも及んだ国は全て壊れた。互いに対立する国家の飛び火を受け、兵士として国を奪われ、何もかも戦争によって壊された。


 そして最後に勝ち残った国家も勝利の代償として、全てを失ない潰えた。


 生み出したのは平和でも統合でもなく、ただの惨劇。

 残された世界で生き残った者はその結末に抗うことなどできない。

 ただ結末を受け入れることで、自分が生きている事を身に刻んでいた。


 意味もなく死ぬことができないように、本能は生きることを渇望する。

 戦争は多くの生命を奪い、わずかに残った人々も焦土とし荒廃した中、人々は絶望の日々を終わりなく過ごした。


 そんな中人々を再び統合し、争いのない世界を造ろうと立ち上がった者たちがいた。彼らは真の意味での争いのない世界を実現した。


 その後の結果がこれだ……1、2、3!!!


 ~ダイジェスト終了~


「で、あんたらはこの国を造り、希望を与えたわけだ」

「そうだ、だが人の心とは無情にも余裕が生まれると誰かを卑下しなければ生きていけない。だからある制度を作った」

 謎のドラマっぽいダイジェストを挟み真実の扉が開かれた。


「それが唯一国統合法だ」

 この法律は極悪帝国ジャアック以外の街や国、集落があった場合それを自国に取り込むか、反乱できないようにある程度の勢力を奪うというものだ。

 それにより、多くの街や集落が消えていった。過剰な搾取によって。

「それが沢山の人を苦しめているのは分かってるんだよな?ならどうしてそれをやめない」

 疑問はそこだ、この制度を作って問題が浮上して既に10年以上経っている。だが違う法律に変えるわけでもなく、今もこの搾取は続いている。


「私は進言したさ、何度もこれでは今までと何も変わらないと、同じ過ちを繰り返すと。しかしな、ジャアック戦闘員、皇帝共々みな平和なんて思想はもうもっていなかった。あるのは力による蹂躙」

 マボボは良心のある人物だ。しかし、建国者の決定は絶対だ。世界を統合するという目的は歪曲し、自分が世界の王になるに変わっていたのだろう。


「だからこの国の現状を正すには皇帝をどうにかしなければならない。そうするのであれば私も少なからず協力しよう。どうだ?悪い話ではないだろう」

「確かにな、だからと言って安易に手を組めばあんたは反逆者だぞ?」

 革命に内部の協力者は必須だ。だからと言って今この数分で話をしただけの人間を簡単に信用して手を貸すなどあまりにも虫が良すぎる。


「なら私の持つ情報を君に渡すというのはどうだろうか?」

『却下しなさい、その程度の情報私がすぐに入手できる。オーバー』

 この提案にコンマの反応で通信を入れてきたアマネ。全く連絡がないからもう作戦に対して口出ししないのかと思っていたのだが。


『俺たちの作戦において、重要な布石がが増えることは望ましい。だが今の状態で必要なものは限られる、わかってるな?オーバー』

「ダメだな、逆に俺からの提案は飲めるか?」

 通信でも言った通り成すべきことに必要なものだけでいい。それがあれば作戦の成功率はぐんと跳ね上がる。

 ジョニパッチはマボボに耳打ちをし、協力してほしい事項について話した。


「本当にそれでいいのか?」

「ああ、それがあれば十分だ」

 提案の内容に少し驚きを隠せない表情をしているマボボ。内容は作戦の断片であって、そこから全容を想像するのは難しい。だが不確定な要素は確率を上げておくのがいい、そのための協力だ。


「少し待て、あと何分ある?君の事を見誤っていたよ」

「別に、初めから捕まる予定だったしな。あんたの意向で無罪放免とかになっても困る」

 何やら資料を作っているようだが、もう警備の来る時間がそこまで迫っていた。

 思想に感化されて情が移ったっというべきか、それとも自分の意志を託せる人間に賭けるのか。疑惑が晴れ信用するまでにいささか早すぎると思うが。今日の敵は明日の勇者だ、要は俺は勇者。


「総統!お前そこを動くな!!!」

 時間は悠長に待ってはくれず、武装した機動隊が扉を蹴破って侵入、ジョニパッチを取り囲んんだ。

「いいか?抵抗しようなんて考えるな、さっさと行くぞ」

 抵抗なんてせずその流れに身を任せる。手錠をされ銃を突き付けられながらその場から引き剥がされる。テロ未遂で有罪確定だ。


「待て!そいつは私には何もしていないよ。あまり厳しい罰は与えないでくれ」

「ですが、反乱因子は極刑に処すのが決まりです」

「ならこれを彼に渡させてくれ」

 執務室から連行される直前、マボボがジョニパッチを擁護した。その意図は分かるが渡してきたその本が意味が分からなかった。


「……”熟女100選 これで君もババ専だッ!!”……」

「すまないな、手間取らせてしまって。私は大丈夫だからこの人を丁重に有罪にしてやりなさい」

 なんでこの本くれたんだろう。きっとこれが重要な意味を持つのだろう。そんな事は絶対ないと思うがそう信じたい。


「じゃあ行くぞ、このカボチャめ」

「……これジャアック・オランタンです」

「なかなか面白い冗談だな、法廷で証言すれば刑が軽くなるかな」

 渡された本の意味がわからないまま連行されていった。

 最後の最後で疑問がさらに増えてしまった。まあ作戦は成功、これで裁判に持ち込み、そこからはあいつらの仕事だ。


読んでいただきありがとうございます。

最近燃え上がる恋情が少し冷めて冷静になった感じですね、うん愛して欲しいけどそんな人都合よく見つからんわ!

てわけで今回はシリアスな回だったのです

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