銀河自動販売機777
(この情報は9割虚偽、1割のでっち上げで成り立っています。その点を踏まえて閲覧ください)
極悪帝国ジャアックとは世界に唯一存在する国である。世界大戦により国という概念を壊し、それに乗じある人物が極悪帝国ジャアックを建国、壊滅した国の大半を取り込み世界の主導権を握るまでに成長したのだ。
しかし、その実態は極悪非道であり力なき人間は奴隷として扱い、また力あるものは戦闘員として洗脳教育をうけるらしい。奴隷は国力増強のため農業、工業を休みなく働かせ、戦闘員は世界に散らばる人間たちを集めることを命令されているという。
By ジャスペディア
「へぇ、あんたほんとはパン職人だったのか」
「そうだぜ?愛と勇気だけが友達だったのさ少し前までは」
「じゃあなんであんな神拳使えるんだ?」
「それは朝刊に挟まってたジャスティス・コデックス読んだら使えるようになってた」
「なんだそりゃ誰がそんなの入れたんだ?」
「さあな、でもこのおかげで俺はジャアックに対抗できる力が手に入ったんだ。むしろ喜ぶべきじゃないか?」
「そりゃそうか、俺は血の滲むような特訓でこの拳法を習得したんだ。まだまだ発展途上だがな」
「そか。で、これどこ向ってんだ?」
「あ?お前が知ってるんじゃないのか?」
「いや、こんな道知らんぞ」
「「…………」」
街を出発して既に3時間が経過し、駄弁りながら歩いていたじゃすてぃす武田とジョニパッチ。お互いに色々な話をしていたがある疑問点にじゃすてぃす武田が気付いた。森で迷子になっている事に。
「おい武田!お前が道知ってんじゃないのか!?」
「こんな道知らん!道なりだったから間違えることないはずなんだけどな……おかすうぃぃな?」
じゃすてぃす武田が間抜けなアホ面でとぼけてきた。ちょっと真面目になったと思ったらすぐこれだ、本当にこれで世界を変えられるのか。
「じゃあ戻って道探さないと、どのへんで道が見知らぬものになった?」
「あ、大丈夫。転送魔法使えるから」
「はぁぁ!?その魔方陣不安しかないわ!」
地面に書いた魔方陣から現れたワープホールのようなものは自動販売機だった。いや、完全に自動販売機だ。
「これは転送魔法自動販売機ココアだ!確か100マネー入れた後に目的地を言うとその方角を示してくれるぞ」
「ワープしないよね?ただの金取るマップだよな?これ」
「まあ見てろ。ココア!極悪帝国ジャアックに行きたいんだが道に迷った!どこにあるんだ?」
『……………………』
返事がない。ただの自動販売機のようだ。
「ほら役に立たない(クソワロ)」
「はっはっは笑える冗談だ!ほらココアちゃん?素直に言ってごらん」
『………………ッチ』
返事がない。やはりただの自動販売機のようだ。
ん、今舌打ちしたか?まっさか自動販売機だぜこれ!
「ぶははっ!役に立たねぇわ!こりゃ傑作」
お金を入れて目的地を言ったのに全く反応がない。ようは電力も供給されてない上に自動販売機にそんな機能はついていないのだ。ジャスティス神拳の馬鹿め。
「……コーンポタージュ!!オニオンスープ!!」
じゃすてぃす武田がいきなり自動販売機を殴り、そのまま大爆発が起こった。
「よっと。ほらな?ワープできた」
「意味わからねぇわ!そもそも目的地教える機能だろ!何で爆発したらワープすんだよ」
要はそういう事だ。自動販売機を殴って爆発したら極悪帝国ジャアックまでたどり着いた。
「超常理論だ、深く気にするな」
「納得いかないわーホント何なんだよあんた」
「ペロリストです!」
ツッコミに対して更にめんどくさい返しをするのやめてくれないかな。話が一ミリも進まないから。
「はいはい女性用胸部下着の人ですね」
「違う違う!大胸筋強制サポーターの方ね?そこ間違えちゃいけない」
どっちも変わんないわ!
「にしても極悪帝国ジャアック、壁でっかいな。どんくらいあるんだ?」
「さあ?超大型巨人が超えられないくらいじゃないか?」
それが何メートルか聞いたんだけどな。すっごいでっかいって事だろうな。
「おいジョニパッチ。帝国の中入るぞ」
壁を見上げていたらじゃすてぃす武田が俺を呼び、そのまま目の前の門から入っていった。
「検問とかないんだ、警備ガバガバじゃないか?」
「侵入者がいたとしても、こんなでかい帝国で自由に暴れられると思うか?」
「確かにそうだな、すぐ捕まる気がする」
それだけ帝国も自信があるという事だ。さすが!そしていつかその足元崩したるわ。
しばらく国の中を歩いて回ったみたが、さすが世界唯一にして最大の国だ。壁の中が国の国土なのだろう、外周に近いところが農地や工業地帯で、中心に行くほど街や市場などが密集していた。
そしてもちろん、中心には極悪帝国ジャアック皇帝がいると思われる城があった。ここまで見ると異世界の街でもういいだろう。
「着いた、早速入って作戦会議だ」
「カフェ フィリリ、ここが拠点なのか?」
じゃすてぃす武田が指さした建物は古い和風のカフェだった。ネオンの看板にでかでかと”Café firr”と昼でもまぶしいくらいに文字が光っていた。
「そんな感じだ、テロリスト御用達のお店だからな」
「そんな店堂々とやってるのに驚きだな」
彼は扉にはクローズの札が掛かっていたが、そのまま扉を開けて入っていった。ジョニパッチもその後に続いて入店した。
「マスター!新たな仲間だぞ!こいつはジョニー紅蓮マキシスって言って十分テロリストとしての素質がある」
店に入ってすぐにカウンターに座るマスターと呼んだ初老の男性に声をかけた。しかしマスターは返答はせずにこやかに頷くだけだった。
「おいヒーローネームで呼ぶな、マスターも苦笑いしてるだろ?あ、俺ジョニパッチって言いますジョニー紅蓮マキシスは忘れてください」
ふわふわした雰囲気のマスターはにこやかにほほ笑むだけで何も語ることはなかった。
すごい怖いな怒ったら鬼よりも怖くなるんじゃないか、そんな事言ったら場所を提供してくれているマスターに失礼だな。感謝の念を忘れてはいけない。
「なんでマスターは話さないんだ?」
「いつもこんな感じだ、無口で俺たちの事を応援しくれるいい人だ」
きっと彼もこの現状に不満があって革命をしたいのだろう。その気持ちをささやかながらもテロ組織に場所を貸すという事で成しているのか。
「ま、約束は守るからな。極悪帝国ジャアックを根本から崩す戦略を今から説明する。第一回下着会議開始だ、ビビッてやめるとかいうなよ?」
「それはない。覚悟はできてるからな、あと下着会議ってなんだ卑猥だからテロ会議にしろよ!」
「どっかで聞かれたらまずいだろ?隠語だなかなか考えただろ?」
奥のソファー席に座り今後について計画を語る正義テロ組織ユースティアの下着の二人。
だが極悪帝国ジャアック撃ち倒す戦略を、しかも絶対に悲しむ人間を出さないという戦略をこのThe・バカな男じゃすてぃす武田から考え付くとは到底思えない。
「下着の時点でまずいわ!でもあんたの言葉は一理あるなせめてシャツくらいにしないか?」
会議を始める前にもう名前からして怪しいものになってしまっている。こんな調子ではいつまでたっても目的を達成できなさそうだ。
「じゃあパンツ会議で」
「はあ、もうそれでいいよ」
品性の欠片もない会議になったな。実は下ネタテロの方が性に合ってるんじゃないのか。
「その前に確認だジョニパッチ、この作戦お前の正義を捨てなければ達成できない部分があるんだが、そのために悪として行動できるか?」
マスターの運んできたコーヒーに口をつけた瞬間空気が変わった。その秘めたる決意が滲む双眸がジョニパッチを捕らえて離さなかった。
「それは俺がジャアックとして行動するって事か」
「ああ、そのために正義を捨てられるか。自分の決意を曲げてでも遂行できるか、そう聞いたんだ。」
理解している、そうしなければこの現状を打破できないことも。だから全てを捨てる覚悟で臨まなければならない、言われるまでもなく覚悟はできていた。
「決意は揺るがない。けど悪になったとしても俺の正義の炎は消えない。もし心から悪になれと言ったなら俺は全力でじゃすてぃす武田、あんたと対峙するぜ。それが俺の正義だ」
その瞳に答えるように俺は本心からの決意を語った。
「……正義は何のためにあるのか、それは人それぞれだと思う。このテロだって俺たちの勝手にやり始めた無謀な賭けだ。周りから見ればジャアックの傀儡である方が有益だと考えるはずだ。けどな勘違いするな正義ってのは誰かのためにあるんじゃない。自分の信じる道が正義なんだ!」
その瞬間俺の中に風が吹き抜けた気がした。今まで靄のかかった正義に対する疑問やジャアックへの思うが全部綺麗に整頓された気がした。俺はこのままで間違ってはいなかった、俺の理想が求める正義であることに。
「ジャアックも元は正義の為に行動し、そして皆に悪と呼ばれる所業をした。だけど考えてみればそれもある種の正義だったのかもしれない。様々な思想があれば必ず対立する。だからこそ俺は今のジャアックを正義に基づく行動とは認めない。統合された国で多様な文化があったとしても、それはその国のみでだ」
「久しぶりに真面目に話すと長いよなあんた、要は今の世界は俺たちの理想じゃないから変えよう。こういう事でいいだろ?」
簡潔に言えばそうだろう。今の世界の在り方が気に入らない、だから変えてしまおう。いつだって革命はマイノリティだ。
「正義の名を冠した悪のテロリストとして、俺はこの国を変える!コードネーム”革命のガーターベルト”について説明する!」
熱弁するが最後でボケるのはよくない、やっぱりあいつはバカだ。
そんなわけで第一回正義パンツ会議が始まった。
読んでいただきありがとうございます。
最近このアホの作品がどう思われているか気なって気になってご飯をおかわりしてしまいました。
よろしければ感想をください、愛言葉は”この作品はジャスティスの星座のよう”です!