炸裂!ジャスティス神拳
今回もバカやって行こうー
前回のあらすじ
極悪帝国ジャアック戦闘員団長デブリッツ・キョタインと対峙した俺は完全にその実力に圧倒されてしまう。そんなピンチの俺の前に現れたのはじゃすてぃす武田。彼はジャスティス神拳を使って奴と戦うつもりらしいが、ジャスティス神拳とは!この戦いの行方は!
以上解説ジョニパッチよりお送りしました。では本編へ。
「ジャスティス神拳だ?そんなもん聞いたこともねぇな」
「知らないのか?無理もないか。悪のお前には関係のない事だからな」
素っ気ない返しをし、デブリッツに意識を集中させるじゃすてぃす武田。ふざけている格好をしているくせに一人前にカッコいいことするのだ、笑えない。
「な、あいつ伝説のジャスティス神拳を使えるのか!?」
外野のジョニパッチが過敏に反応する。
ジャスティス神拳とはこの世の悪を全て根絶するために創られた技たちを総称してそう言われる。そのあまりに規格外な性能に継承者がいなく途絶えてしまったといわれるが、まだここに継承者がいたのだ。
「そんな神拳あっても無いようなもんだろ?俺の前ではな!」
聞いたことのない単語に首をかしげるデブリッツだが脂肪血界限懐を使える以上、敵は叩きのめすのみだ。その瞳が鋭くじゃすてぃす武田を捕らえる。
デブの瞳って小さいけどさ、鋭いっていうより細めての方が正しい表現なのかな。
「そう思ってろよ、お前の中の評価ではな」
「なら容赦しないでぶっ飛ばすぞ?後悔しても遅いからな!」
刹那の一瞬、デブリッツが地面を蹴り砕くほどの勢いで動いた。あり得ないスピードで、じゃすてぃす武田の周囲を高速で動き回る。
このまま回り続けてバターにでもれば、おいしくホットケーキを食べて終わりだが、これは絶版された絵本ではない。
「デブのくせにびっくりの動きだ、前世はスーパーボールだったんだろうな」
動きを見極めているのか、全く動かず感嘆の言葉をこぼすだけのじゃすてぃす武田。
「俺の動きも捉えられないくせによくそんな事言ったな!くらえ、疾風肥満百裂拳!」
それを見逃すはずもなく、先程より激しい攻撃がじゃすてぃす武田を捕らえた。。
しかし、彼はそれでも微動だにしなかった。あろうことか腕を組み、目を瞑っていたのだ。
「……ジャスティス神拳”秘儀:未来予知!!お前の攻撃は全て見切った」
右手人差し指を額に当て、眼を見開く。その表情は全てを知っているような余裕の顔だ。
「なんだその技は!そんなことをしても毎秒1000発以上の攻撃が見切れるわけないだろ?」
なんのための百裂拳だ、千裂拳でいいだろ。名前はともかくそんな攻撃を全て見切るなど不可能だ。
デブリッツがそのことを証明するように拳がじゃすてぃす武田に襲い掛かり、数秒の間その猛攻は続いた。
「……まさか、本当に全部避けたのか?」
大量の土煙を舞わせ、辺りを覆うこの状況。つまりはじゃすてぃす武田が攻撃を避けた事の証明なのだろうか。それならばジャスティス神拳とは恐るべき代物だ。
「全部避けてやったぜ!見ろ無傷だろ?」
「避けられてないじゃん!ボコボコじゃん!」
ジョニパッチが思わず大声を上げてしまった。なぜなら土煙が晴れたそこには、殴られまくって真っ赤に腫れた顔でグッジョブサインをするじゃすてぃす武田がいたのだから。
「全て……避けられませんでした!!」
「でしょうね!あんたの顔がそれを物語ってるよ!」
悔しそうに地を叩くじゃすてぃす武田。避けてたらもう少しマシな顔してるわ!どうやったら全部受けるんだよ。
「俺の見た未来は……やられる未来だったんだ。未来は変えることはできない!」
堂々にその事実を言える精神、ある意味感服するわ。
それじゃあ何のために未来予知だ!それを変えるために違う行動するんじゃないのか。やっぱりこいつバカだろ。
「すべて受けるとはバカだな、次はその命無いと思え」
「誰がバカだ!天才と呼べ!悔い改めろデブ!くらえ!一発芸”梅干し”!!」
もう自暴自棄になってないのだろうか。言葉遣いが乱雑になり、自分の顔で自虐ネタまでしている。ジョニパッチ、期待した相手が悪かったな。
「はぁ、悔い改めるのはお前の方だ。バカめ」
デブリッツも溜息をついて次の攻撃を仕掛ける。あそこまで挑発したのにこのザマではもう何も言えない。拍子抜けもいいところだ。
「やっぱり期待しちゃいけない人っているよね」
ジョニパッチも希望を失った魚のような眼をしている。だがな、あいつは展開をひっくり返すぞ。
「死ね」
その一言と共に巨体がまたも常識外の速度で跳ね、じゃすてぃす武田の首、頸動脈を狙う。完全に殺しにかかったのだ。
じゃすてぃす武田はその角度の攻撃に気付いておらず、完全に勝負が決まった。そう確信した時だった。
「なっ……?貴様、何をした!」
だがその一手は血に汚れることなく阻まれた。正確には自身の足がそれ以上先に進まなくなり、攻撃が届かなくなったのだ。
「ふっ、こうも簡単にかかるとはデブのくせに軽い男だ。……ジャスティス神拳奥義”ゴキブリホイホイ”。足元を見てみな」
じゃすてぃす武田がデブリッツの足元を指さす。そこには粘着質のシートのようなものが張られ、巨体を支える足の自由を完全に拘束していた。
「これは地面をホイホイに変化させ相手の自由を奪う。これでお前は籠の中の鳥。いや、ゴキブリホイホイにかかったミートボールだな。勝負ありだ」
じゃすてぃす武田がシニカルな笑みを浮かべる。さっきとまるで雰囲気が全然違う、あの一発芸”梅干し”をした男はどこへ行った。そしてミートボールは自力でホイホイにはかからない。
「このぉぉぉ!こんな粘着シートすぐに引き剥がす!」
顔を真っ赤にして足の拘束を引き剥がそうとするが、地面と同化したように固定された足は明確に詰みをデブリッツに示した。
彼にとっては盲点だっただろう。決して油断はしていなかったが罠を張られ、悟られることなく確実に嵌めたのだから。
これがジャスティス神拳を継承した者の戦い。さっきのポンコツギャグ要素はどこへ行ったのだ。
「くそっ、俺をどうする気だ?殺すか!?」
「そうだな、街の警官さんに判決を聞くか、なあジョニパッチ?」
じゃすてぃす武田は苛立つデブリッツの問いに警官であるジョニパッチの判断を求めた。彼の言いたいことは分かっている。餅は餅屋、犯罪は警察の仕事だ。
「デブリッツ……お前はこの街に危害を加えた。だから裁きは受けてもらう、けど一つだけ質問に答えろ」
まだ痛みの引かない体を動かしデブリッツに向かう形で言葉を投げかけた。悪が裁かれるのは当然だ、しかしそれよりも彼には確認しなければならないことがあった。
「なんだよ、懺悔しろってか?それならみんな気絶してるだけだし、お前も仲間を……」
「違う!!!俺が聞きたいのは別の事だ」
ジョニパッチの瞳はいつになく真剣で真っすぐにデブリッツを見据えていた。
「お前、お前らジャアックはどうしてこの世界を支配した!?世界を牛耳ることに何の意味があった!?それを分かったうえでどうしてそれに加担する!!」
「……3つくらいあったがどれかに答えればいいのか?」
今までにない感情に気圧され、デブリッツは軽口を言うことしかできなかった。
「全部だ、これが一つの質問だ。階級が上のお前なら答えられるだろ?」
「わかったよ、望み通り答えてやるよ。お前が知りたいジャアックの真実をな」
デブリッツは戦慄するしかなかった。この男がここまでの確固たる意志を持ち、正義に対して執着する理由が垣間見えた気がしたからだ。
「ジャアックは一人の男によって変えられた。そいつについて語るにはまず彼の生い立ちから話さなきゃいけない……」
彼の口から告げられた真実は驚愕のものだった。
次回予告
明かされるのが早すぎる黒幕の正体、そしてこの世界の真実。果たしでデブの言葉はどこまでが本当でどこまでが嘘なのか。痩せる痩せる詐欺以上に信用ならないものは無い。
第5話 結成正義テロ組織
じゃすてぃすな次回にドキドキのワクワクだね!
読んでいただきありがとうございます。
ボーボボの鼻毛真拳に感化されました。サーイエッサー