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新世紀革命テロリスト じゃすてぃす武田  作者: 一条人間
レッツ・ジャスティス・これは序章に過ぎないのだ
1/15

その男正義の革命者につきアホである

アホの作品ですがどうか生暖かい目で読んでください。


 この世には悪と正義の両方が混在している。

 コインの裏表のように善と悪は表裏一体、光と影の存在である。

 だが世界の本質は悪に限りなく近い。


 皆が平等に欲を持つことのように、だれしも悪の心はあるのだ。

 陰と陽でせめぎ合う中、世間での常識、モラルが悪は悪であるという観念を生み出すのだ。ならばその逆、正義が悪という状況が生まれたらどうだろうか。

 そうなれば世界は一瞬で黒く染まる。人の黒い部分ほど醜く、欲に正直なものは無いのだから。



 この世は悪が支配する暗黒の時代。

 一人の悪が世界を席巻し、瞬く間に悪はその勢力を侵食させていった。

 悪により民草は全てを搾取され、その生活さえもままならない。常に蹂躙され、絶望しながら日々を過ごしすことを余儀なくされた。

 悪が作り出した弱肉強食の世界では、反旗を翻し悪に立ち向かう者もいたが、巨悪の前にどうすることもできず儚く散るしかなかった。


 誰もが希望の灯を失い、絶望に身を委ねることしかできなくなってしまったこの世界で彼らだけは違った。


 これは正義を背に抱え、いかなる時も勝利を信じて疑わないじゃすてぃすな男の革命譚である。



「……ちくしょう!なんで俺には力がないんだ……みんなを守ることもできない俺なんて」

 少年は敗北した。いくらあがいてもこいつには勝てない事を思い知らされたのだ。拳を血をにじませるほど握りしめてもその事実は変わらない。彼は弱いのだ。


「それはお前がザコだからだよ!そんな正義面したって力がなきゃ何もできねぇんだよ!このカスが!」

 地に伏し全身血と泥にまみれた少年を踏み付ける黒スーツの男。彼はこの街を管轄する悪人”トゥース”、極悪帝国ジャアックの戦闘員だ。少年の街へ物資を奪うために月1でやってくる男だ。常に武装し集団でやってくる彼らにはどうすることもできず物資を差し出し偽りの平和を過ごすしか道を残さなかった悪人だ。


 だが少年は果敢にもトゥースに戦いを挑んだのだった。もちろん負け戦なのは目に見えていた。それでもこの現状を変えたい、その一心で行動した勇気ある少年だ。


「くそっ!お前なんか!武器を持たないと戦えないくせに!大勢で弱い奴をいたぶって何が楽しいん……がああぁぁぁっ!」

「お前生意気だな。部下たちが家を回って俺が一人の時に、しかも後ろから不意打ち知るような奴のセリフか?あぁ?それでもお前はザコだったけどな、カァァースが!」

 くわえていたタバコを少年の腕に押し付け、その腕を曲がらない方向へ曲げる。まだ年端もいかない少年にするようなことではない。外道の悪人様、流石だ。


「俺なんかいじめて楽しいか?やっぱお前はクズだ!悪者は絶対に倒されるんだ!」

(なんでだよ!父さんは言ってたじゃないか、『勇気ある行動は必ず報われる。お前が正義の心を失わなければ世界は絶対に変わるんだ』って。なのにどうして俺は変えることができなんだ。弱いからなのか?)

 強がってはいたが少年の心は傷だらけだった。無謀にも戦いを挑み敗れ、信じていた言葉に裏切られたのだ。世界は常に正義に微笑むものではないものと悟ってしまったから。


「そうか、ならカスのお前はもっと先に死ぬべきだな。あばよガキ、カスが!」

 冷酷な声で懐から拳銃を取り出すと、踏み付けた少年の頭へとその銃口を向ける。

 なんの躊躇いもなく、当たり前のようにその引き金を引き少年の運命を終わらせようとした時だった。



「あーっはっはっはっはっはっは!愚かな悪人ども!お前たちは俺が裁く!アイアムジャスティィッス!!ライスマン!」

 突然頭上から声がし、街中の視線を集めた。それもそのはず、突拍子もない参上と今してる行動を見れば必然的に視線はそこへ向かう。


「なんだあいつ!バカだろ何してんだ!カスが!」

 トゥースが叫ぶ、その男のしている事ははたから見て意味不明だ。

 理由はわからない。屋根から白い何かをばらまき、鍋の元を振りまいているのだから。


「俺は世紀のテロリストじゃすてぃす武田!世紀だぞ?決して◯器の方ではない!そしてこの街を悲しみの渦に陥れる悪人ども!米に代わっておうどんよ!♡」

 じゃすてぃす武田と名乗る男は屋根で決めポーズを決めると、そのままトゥースのもとに降り立った。

 I♡正義のTシャツにジーパン、なんとも場違いな恰好をしている。

 はっきり言おう、米に代わっておうどんとは何のことだ、あの有名な『月に代わって調教よ!』みたいなニュアンスなのか?


「兄貴!うどんだ、冷凍のうどんを奴は配ってるんだ!」

「そうだ!それに加えてきりたんぽと五平餅も配っている!」

「きっと鍋パーティーする気だ!危険です兄貴!」

 さっきまで家を巡回していた部下たちが騒ぎを知らせにトゥースのもとに駆け付けた。やつはそんなものを配っていたなんて恐ろしい。


「てめぇ何もんだ?どういう了見でこんなことする?潰されてぇのか!?カスが!」

「そんなつもりは毛頭ないさ、お前の頭のようにな。受け取れ正義のプレセントだ!」

 激情し標的を少年からじゃすてぃす武田変更したトゥース。しかし武田は別に驚く様子もなく部下に冷凍うどんとトゥースの頭目がけて若林の育毛剤Zと書かれた容器を投げつけた。

 部下はその非情なコントールにより冷凍うどんに倒れた。そして若林の育毛剤Zはトゥースの銃撃により爆ぜ、中身が貧相な頭にかかった。実際はふさふさだがきっとヅラだ。


「これであなたもふさふさだZE☆」

 グッジョブサインを送る武田、その瞳は嘲るようでとてつもなくムカつく視線だった。

「何してんだ!ってなんじゃこりゃ!カスが!」

 トゥースの頭が、ねとねとした液体を噴いて仏像の形を取った。


『我、髪より生まれし仏の化身なり。唯我独尊ゆいがどくそん南無阿弥陀仏なむあみだぶつ、くわばらくわばら……いざ制裁!”御仏みほとけの気まぐれお経クラッシュ”!』


「ふざけんな!この意味不明なのやめろこのカスが……アポストロフィッ!」

 自分の髪の毛に殴られてる。なんてシュール、しかもボコボコじゃないか。若林の育毛剤Z強すぎだろ。

 もうワケが分からない、これは正統派革命ストーリーじゃなかったのか?


「残念だったな!世界の常識など俺の前では見逃したアニメの最終話くらいに意味がないんだ!何故なら俺はテロリストだから!」

 テロリストの定義とはなんだろうか、テロリストだと常識が通用しないらしい。アニメの最終話見逃す程度に。いや、一人常識破りのまじかるな侍がいたではないか、この話に関わるかは知らないが。


「少年、大丈夫か?辛かったろうに」

「……なんでお前は強いんだよ。そんなバカみたいなかっこしてるのに、俺の正義はどうしてこんなにも弱いんだよ……」

 仏像と戯れているスキをついてじゃすてぃす武田が少年に駆け寄り手を差し伸べる。しかし少年は己のしたことが納得いっていなかったようだ。せっかく行動したのに何もできずこうして助けられてしまったのだから。

「そうだな、一つ質問しよう。君はどうしてあの春日に立ち向かったんだい?」


「自分の信じることをしろってお父さんが言っんだ、だから俺は街のみんなを苦しめるあいつらが許せなかったどうにかして倒したかったんだよ。なのに俺は弱くて……!お前みたいなふざけたやつがあいつらを倒すんだよ!」

「ああ、確かに結果的には俺が奴らを倒すことになった。だがそのきっかけを作ったのはお前だ。お前の助けを求める声で俺はここに来たんだ。実を言うと今日キムチ鍋にしようと思ったら〆の具材買い忘れてこの街で買い物してただけだけど……」


 嫉妬の視線で睨む少年をじゃすてぃす武田はにこやかに受け止める。行動することの意味はとても大きい。それはいつだって小さな一歩だとしても必ず報われる。それが少年の成した一歩だ。


「だから少年、胸を張れ!今は非力だとしても、その勇気ある行動が結果を生んだことは間違いない。負けてもいい無様に逃げたって構わない……けれどこれは覚えておけ、君は一人じゃないんだ!信じ続ければいつかきっと仲間がその意思を汲んでくれる」

 武田の言葉で少年の目が潤む、初めてその行動を誉められたのだ。その諦めない心がこのじゃすてぃす武田を呼んだのだ、少年の小さな革命だ。


「ありがとう、俺を助けてくれて……街のみんなも感謝してると思う」

「そか!なら今夜はみんなで鍋パーティーだな!」

「うん!〆はもちろんうどんで!」

 少年に笑顔が戻った、これで一件落着。いい感じに話をまとめて終わろう。 



「ははっ、随分と感動的な話だな!じゃすてぃす武田ァァ!この頭どうしてくれる!クソカスガァァァ!」

 そう簡単に終わられてくれるほどこの話は甘くない。だってこれはギャグだから!

「随分とお似合いだな!パンチパーマよりも螺髪らほつの方が味出てるぞ」

 若林の育毛剤Zの効力が弱まったトゥースがせっかくのおしまいムードをぶち壊した。空気読めないよ全く、最近の悪党は。


「そんなことどうでもいいんだ!お前は上に報告させてもらう、そして死ねぇ!カスが!」

「そんな捨て台詞吐くならさっさと逃げてればよかったのに」

 トゥースの拳銃から銃弾が撃ちだされた、狙うはじゃすてぃす武田の眉間。だが弾丸は当たることなく彼方へ消え、逆にその体に一発の拳が入った。


「くっ!貴様一体……鬼瓦!」

 最後の謎の言葉を残しトゥースは倒れた。ジャアック戦闘員全滅である。

 こうして街は一人の勇気ある少年とじゃすてぃすな男の活躍によって救われたのだ。


「……言ってなかったな少年、俺はじゃすてぃす武田。正義のテロリストじゃすてぃす武田だ!覚えておけ、俺はこの世界を変える正義のテロリストだ!っていないんかーい!」

 カッコつけて自己紹介したのに少年は鍋パーティーの準備をしており既にいなかった。なんて締まらないんだ。


 じゃすてぃす武田は何だ心が寂しくなり、近くのコンビニでしばらくおにぎりのラインナップを眺めることしかできないのであった。そうだ今日はこの納豆ととろろのねばねば雑炊おにぎりを食べようかな。

読んでいただきありがとうございます。意味不明ですがしっかり話は進みますのでアホな展開へ……

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