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転移転生者が嫌われる世界で俺は成り上がる!  作者: ヨッシー
第3章 エスターシュタット戦争
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第99話 勇者殺し

 う、嘘だろ………。

 コイツ、いつの間に現れたんだ?

 何故俺はコイツがやって来た事に気がつかなかったんだ?

 もし気がついていたら、マルクスは刺されずに済んだじゃないか!

 俺はそう考えていると、ゾワゾワと身体が気持ち悪い、吐き気を()()()()様な気分に陥る。

 俺は顔に布を抑えられているのかと思う程呼吸が苦しくなり、全身から冷や汗を掻く。

 ああ、俺はマルクスが死ぬと思っているのか………と一瞬俺の頭を過ぎった。

 だかマルクスの傷は浅いのか、もしくは精神が強いのか、体勢は崩れること無く、すぐさま持っているライフルの銃床でエルフ兵の頭部を強く殴り、反撃する。

 エルフ兵はマルクスの攻撃で頭部を強く打ち、体勢を崩す。

 だがそのエルフはすぐさま体勢を立て直すと、ボソボソと呟いたと思えば、突如空から月より眩しい青白い輝きが数個確認する。

 まるで昼間の様な明るさで、街を照らし照明弾だと思った。

 するとエルフ兵は右腕を挙げ、空に向けて指差す。

 それを見た多くのその場に居たダークエルフは何かを思い出す。


「この魔力数値は………高騰魔術の勇者殺し(ヘルトモルド)!しかもこの魔力は街がひとつ吹き飛ぶ程の力!これは危険!!」


 スラはそう言ってすぐさまそのエルフ兵の身体を地面に押さえつける。

 周りに居た他のダークエルフ兵もそのエルフ兵を掴み、腕や足を地面に固定する。


「離せ!お前らもエルフ族でしょ!!あのニホンジンを私の手で殺させろ!!」


 押さえつけられたエルフ兵はそう言って、その場で暴れるが、同時に空に現れたいくつかの輝きはすぐに消えていった。

 マルクスは呼吸を荒くしてその場でエルフ兵に対して睨みながら立っていたが、フラッと体勢を崩し、地面に倒れようとしていた。

 俺はすぐに倒れる前にマルクスを抱える。

 マルクスの行動で軽傷だと思っていた彼の傷からは多量の血がドロドロと流れている。


「おい!しっかりしろマルクス!!誰かマルクスを今すぐに治療してくれ!」

「カズト様、私がマルクスの怪我を治すのです」


 するとヴァイスがマルクスの傷を押さえながら、「ベハンドルング」と唱え始める。

 その瞬間、マルクスの傷の辺りが淡い緑色に輝き始め、ナイフで開いていた傷がすぐに塞がれていき、元から怪我なんてしてないのでは無いのか?と思うほどにマルクスの傷が完全に治癒されていた。


「ヴァイス、お前ってマジで凄いな………」

「こんな魔術は普通なのです。それに傷がもう少し深ければ治らなかったかもしれないのです」


 そう言うヴァイスの治癒魔術に周りはざわめいている。


「やはり魔族は魔術に関しては恐ろしンゴ」

「マジ神ってる。あそこまで早く治癒する魔術、初めて見たぞ………やばみ」


 俺はそんな声が聞こえて、またいつもの魔族に対する蔑視かと思ったが、周りを見ると彼らは目を丸くしながら驚いていたが、畏怖したような蔑むような目は一切無く、興味と不思議そうな目でヴァイスの治癒魔術を見ていた。


「カズト様、まだエルフのゲリラ兵が居るかもしれません。早く退避を!」


 アオイは俺に対して必死にそう叫ぶ。

 ………俺はなんて無力なんだ。

 マルクスは自分の命を顧みず俺を助け、ヴァイスですら人命を助ける事が出来るのに、俺が動かなくてどうする。


「俺は退避しない、俺もーーー」

「ご主人様!」


 するとマルクスは俺に対して叫ぶ。


「大丈夫かマルクス!」


 マルクスは目を覚ましたが、俺に対して睨み付けながら俺の襟元を掴んでいる。


「ご主人様は弱いんだから、張り切らなくても良いんだ。俺もシルヴィを護るために少しずつ、少しずつと強くなっていったんだから、だから今は俺やヴァイスさんを連れて逃げて下さい、お願いします」


 ………確かにな。

 俺はまだ何も出来ない。

 お前が正しいよ、マルクス。

 だけど仲間を心配していると同時に、降伏した奴等も心配なんだ。

 こんなことをしたら彼等にも被害を受けてしまうし、迷惑が掛かるしな。


「………分かった。では直ちにグラテツ市街に厳戒体制を敷け!俺は避難するから後でその犯人を俺の前に連れて来い。降伏した奴等には調べても構わんが、危害を与えるな!!」

「「はっ、おけまる!!」」


 俺はマルクスを抱えながら、右手にマルクスの銃を持つ。

 その時、後ろからパールが声を掛ける。


「陛下、ワンチャン敵の奇襲に備え、我が部隊から数名の護衛を配置させます。とりま近くの建物の方へ避難をお願いします」

「ああ、ありがとう!パールも怪我するなよ」

「お心遣いあざまる水産です」


 何だろう、さっきまでパールはそんな言葉遣いじゃなかったんだが、まあ良いや!

 とりあえずは避難が先だ!

 俺はすぐに走り出し、近くの家屋の扉の前に立つ。

 とりあえず、足で蹴って無理矢理こじ開けるか。

 だけどマルクスを抱えた状態じゃ無理だな。


「おい護衛、蹴って開けても良いから開けてくれ」

「畏まりました」


 そう言って一人の護衛が足を膝上まで高く上げ、そして押し出すように蹴り飛ばした。

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