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転移転生者が嫌われる世界で俺は成り上がる!  作者: ヨッシー
第3章 エスターシュタット戦争
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第91話 盾

 するとオウドは俺の方に顔を向け、頭を下げる。


「大変失礼いたしました皇帝陛下。我は大瑞穂皇国陸軍のオウドです。階級は大尉であります。先程の赤髪の鬼はアカネ殿であり、階級はアオイ様と同じ大佐であります」


 お、さっきのアカネよりは話が通じる様な感じのする鬼みたいだ。


「俺はカズト、そしてこちらがスラです」

「はいスラと申します、以後お見知りおきを………」


 俺達もオウドが頭を下げた様に、こちらも頭を下げて返答する。

 するとオウドは何か珍しいものを見たのかと思うくらい目を丸くしている。

 するとオウドが俺に対して話しかけてくる。


「あ、ああ、こちらこそよろしくお願いする。ところでカズト殿は一体どうしてこんな所に来られたのですか?」

「それは逐鹿連隊を我が国の治安維持部隊として戦争に参加して欲しいと頼みに来ました」

「皇帝陛下自ら、それはご苦労様です………ええ、構いませんよ」


 あれ?あっさりとした回答だな?

 何か色々文句言われそうだと思っていたが………

 するとアオイがオウドの行動に困惑し始める。


「オウド様、本当によろしいのですか?裏切るんですよ?武士(モノノフ)として大丈夫なんですか?」


 そうオウドに聞くアオイにオウドは鼻で笑う。


「当たり前じゃないか!私はバーベンベルクに忠誠を誓っていない。我が国の女帝(スベラノミコト)、アマテラス様に忠誠を誓っている。つまりこれは裏切っていない!それにアオイがそちらに付きたいのなら俺もアカネも反対はしない。階級ではアオイの方が高いんだからな」

「ですが、アカネ姉様が反対している様な言動に聞こえたましたよ?」

「アカネを一番近くから見ていたんだから分かるだろ?アイツ根っからの天邪鬼(あまのじゃく)じゃないか!?」


 オウドの言葉にアオイは右手で顎を触り、考えるポーズをする。

 だがすぐに答えを見つけたのか、アオイは即座に返答する。


「確かにそうですね!」


 いや、認めるんかい!

 天邪鬼(あまのじゃく)って確か今の言葉で言うとツンデレみたいな言葉だったよな………。

 誰に対してツンデレぶちかましてるんだ?

 まさかアオイにか!?


「だろ?それに逐鹿連隊を正しく指揮できるのはアオイ、お前だけだ。鹿人はお前のことを信頼している。だからアオイ、いえアオイ殿、我々に指示をお願いします」

「分かりました、とりあえず逐鹿連隊の皆さんに私の無事を伝え、端的に作戦内容を伝える。それで良いですね、オウド!」

「はっ、承知いたしました………そういえばアオイ殿に呼び捨てにされるのは初めてだ」


 オウドは何故か照れくさそうに顔をポリポリと掻くと、アオイはそのオウドの言葉と仕草に笑みを浮かべる。


「はい、私もオウド様をオウドと呼び捨てにするのは初めてです………では私は逐鹿連隊に無事を伝える。オウドは二人と一緒にエルフどもの根城を占拠してくだ……くれ!」

「御意!」


 オウドは敬礼し、大きな声で返事をする。

 するとアオイは俺の方に近付き、顔の近くまで寄ってくる。


「カズト様、貴方の無事を祈ります」


 そうアオイは言いながら近づくと、スラが俺とアオイの間に割って入ってくる。


「アオイ様、カズト様に近付かないで下さい………私はまだ貴女を信用しておりませんから………」


 スラはまだアオイを信用してないのか。

 もうここまで来たら信用してあげよう………。


「スラ、もうアオイの事は信用してあげようよ、な?」

「………信用するかしないかは私が判断します」

「まあ良いか、とりあえず仲間になるから多少は信頼しあっておけ」

「畏まりました」


 スラは頭を下げ、俺の一方的だが約束を交わす。

 するとアオイがモジモジと手を弄りながらこちらに寄ってくる。


「あ、あの、カズト様。もう仲間の所に行っても構いません……よね?」

「ああ、それは勿論!安心して仲間のところに行ってこい!!」


 俺がそう言うと、アオイは俺に対して軽く頭を下げる。


「ありがとうございます、すぐにカズト様の元に向かいますからね!!」


 そうアオイは言うと、後ろを振り向き、俺に背を向け、アオイの部下の元へと向かっていく。


「カズト殿……とスラ殿でしたっけ?私の事はオウドか大尉のどちらかをお呼び下さい」

「私は一応軍人ですので、オウド様を大尉とお呼びさせていただきます」

「じゃあ俺はオウドにするよ」

「分かりました、それでは私の後ろに付いていって下さいね」


 そう言ってオウドは宮殿みたいなお城に敵を倒すため一目散に向かっていく。

 俺もオウドに付いて行こうとすると、突然スラは俺の名前を呼ぶ。


「カズト様!」

「ん?なんだスラ?」


 俺の名前を呼んだスラは俺の方に向くと、腰に着けていたホルスターから拳銃を取り出す。

するとクリップ式の弾倉もいくつか取り出し、どちらとも俺に渡す。

 

「弾は排出する所に差し込み、そして弾を押せば簡単に弾が入るので、あとはその入口にある小さなレバーを下げれば装填されます。その後はこの棒みたいなクリップを取ればあとは自動に装填されますのでこれで身を守って下さい」

「何これ!すごくカッコいいじゃん!!」

「はい私の愛銃です。微力でありますが、私のヴェアクM1912をお使い下さい。それでもしカズト様が危険だと思った場合は………

「思った場合は?」

「わ、私をただの“盾”としてお使い下さいませ………」

「盾………だと?」


 俺はその時、スラのその発言に全く理解が出来なかった。

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