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転移転生者が嫌われる世界で俺は成り上がる!  作者: ヨッシー
第3章 エスターシュタット戦争
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第83話 獣人年齢

 するとスラがヘッドホンをしながら座って机で作業をしている。

 俺は不思議に思い、スラに何をしているのか聞いてみる。


「………スラ。お前、ここで何をしているんだ?」


 だがスラは俺の言葉を無視する。

 スラが何かの作業をしている机の上をよく見ると、電鍵という物を使って素早くコンコンと連絡している。

 これってあのモールス信号とかを使う時にやるやつだよな。

 モールス信号が作品の話で出るときに思うけど、こんな物でよく連絡できるよなぁと感心するわ。

 しかも打つのが早ぇぇぇぇ!

 相手も聞き取れてるのかよ、オイ。

 スラの周りのダークエルフを見ると、彼らはヘッドホンを持ちながらメモ帳に書き綴ったり、電鍵を使って連絡している。

 だが、スラはメモ帳で記録せず、頭で記憶しているのだろう。

 するとスラはヘッドホンを置き、機械のスイッチを切ってこちらを振り向く。


「どうしました、カズト様」

「あ、パールに関してだけど、あれは俺が悪いし、そこまで怒らなくても良いんじゃないかなぁと思って………」


 するとスラは椅子から立ち上がる。


「カズト様、私がパール大佐に対して行った行為は間違っていないと私は思っております、ですので謝罪や訂正は致しません」

「でも、あれは俺の独断で護衛は無しでとお願いしたんだ。あの時の全ての責任は私だ、罰されるのは俺だ!!」


 俺がそう怒鳴るとスラはまっすぐ俺を見つめるが、無表情でそのまますれ違う。

 スラはすれ違いざまに俺の耳近くで呟く。


「やはり、私はカズト様を理解できません。貴方がパール大佐を庇う行為は心からの優しさではありません、ただの偽善です。では私は作戦会議を行う為、司令部に向かいますので失礼します」

「な、なんだと!?待てスラ!!」


 そう呟いたスラは作戦会議を行うテントに向かって行った。

 冷静になれ、こんな所で俺が怒っても意味が無い。

 深呼吸しよう。

 俺は深く息を吸い、そして吐く。

 するとヴァイスはスラの言葉を聴いたのか、酷く怒り、追いかけようとする。


「カズト様、私はカズト様に失礼な言動をするスラ……様を許すことが出来ないのです!ちょっと捕まえて私が怒ってきます!!」

「待て、そして落ち着いてヴァイス!俺はそこまで怒ってないから………」

「で、ですが………カズト様の名誉が………」

「俺の為に怒ってくれたんだろう?ありがとう」


 そう言って俺はヴァイスの頭を撫でる。

 勿論、俺もあのスラの対応には納得していない。

 だけど今はその時では無い。

 無闇に怒るだけでは、心も開かないだろう。

 さらに相手はロボットだ。

 心を開けるようなパスワードや何かの暗号があるはずだ。

 そうに決まっている。

 俺がそんな事を考えていると、俺はまだヴァイスの頭を撫で続けていたため、ヴァイスはまるで熟したトマトの様に顔を赤らめている。


「か、カズト様!もうナデナデは止めて欲しいのです!マルクスさんも見てるのでは、恥ずかしいのです!!」

「ご、ごめんヴァイス!気づかなくてな……」


 俺はすぐにヴァイスの頭から手を離す。

 すると呆れたような顔をするマルクスがスラを追いかけようとする。


「ったく……ご主人様、俺達も行こうぜ。国の元首なんだから会議に参加しないといけないんじゃないのか?」


 そういえばそうだな、俺達も向かわないと………。

 俺はマルクスの頭を撫でたかったが、嫌がっていたから、俺はマルクスに感謝しながら肩を軽くポンと叩く。


「ありがとう、マルクス」

「………どういたしまして」


 マルクスは軽く頭を下げ、礼をする。

 そういえばマルクスっていくつなんだろう?

 あんなに小さい子供なのに銃を軽々と扱い、礼儀作法も………礼儀作法は出来てないけど、常識知らずではないのは確かだ。

 勿論、ヴァイスの年齢も気になるが、女の子に年齢を聞くのは失礼だ、ってどっかで聞いたことがある。

 とりあえず聞いてみるとするか………。


「なあマルクス?」

「何ですか、ご主人様」

「マルクスは多分、シルヴィを守ってるんだよな?」


 俺がマルクスにそう話を切り出す。

 マルクスは真剣な顔をしながら、話し始める。


「………そうですね、私はシルヴィを守っているのは確かだ。だが俺は今、シルヴィの事についてご主人様に教えることは出来ない。俺はまだご主人様の事を信用してないからな」

「あー、それも気になるけど、そっちじゃなくてマルクスの年齢が気になって………」


 俺がそう言った途端、マルクスは呆れた表情でこちらを見る。


「構いませんよ、俺の年齢の話ぐらい。今の俺の年齢は4歳ですね」

「ふーん、4歳か………ん?4歳?4歳!?!」


 嘘だろ!?

 4歳って幼稚園入れる頃じゃん!

 いやいやナイナイ………どこからどうみても少年じゃん!!


「よ、4歳な訳ないだろ………驚かすなよ………」

「いや、俺の精神年齢は約16歳ぐらいで、獣人は5歳になるまでには子供のような見た目で、5歳以降からは大人の見た目で人間と同じ歳まで長生きするんだよ。そして3歳までに初等教育を行うのが獣人の世界だ。この5年間の獣人は成長が早い。俺は数日で少しだけ大きくなったし………」


 えええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!

 つ、つまり、獣人は幼少期は動物のように成長は早いが、大人になれば人間の様に動物とは違って長生きするという事なのか………?


「一応聞くが、シルヴィは何歳なんだ!?」

「シルヴィ?シルヴィは確か2歳かな?」


 に、2歳!?

 言葉を使い始めたり、ワガママ期で有名なあの2歳!?

 ば、バカな!……と言いたいが、コレが獣人社会では当たり前なんだろう。

 じゃあまさかヴァイスも………うわっ、超聞きたい!


「どうしたんですか、カズト様?」

「い、いやいや、何でもない!と、とりあえず、急いで前線司令部のテントに向かおう!」

「ハイなのです!」


 だが、先程の長話をしながら走っていたら、いつの間にか司令部のテントに到着していた。

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