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転移転生者が嫌われる世界で俺は成り上がる!  作者: ヨッシー
第3章 エスターシュタット戦争
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第81話 動揺

 丘を下ると、その先の道には今まで見てきた馬車より一回り大きな馬車が停まっている。

 その馬車の馬もよく見かける足の細い馬ではなく、運搬用の

 その馬車の御者はタバコを吸いながらその場に待機している。

 すると御者は俺達に気づいたのか、帽子を取り、頭をペコッと軽く下げる。

 馬車の近くに到着するとスラはアオイ達に指示をする。


「よし、鬼と捕虜達は先に入れて、私達はその後に入ります。カズト様、捕虜と同じ席を赦してください」

「別に大丈夫だよ、俺は気にしないし。それにアオイと会えて嬉しいからな」

「か、カズト様ァアアアア!」


 するとアオイは驚いた表情をし、俺に抱きつこうとする。

 だがスラが俺の前に来て、アオイを睨みつけながら止める。


「捕虜の分際でカズト様に近づかないで下さい、逃げるときの人質にされたら堪ったものではありませんからね」

「失敬な!私はそんな事をしませんよ!」

「どうだか?カズト様が貴方を信頼しているとしても、私は一切信用してませんからね。さあ、早く馬車に入って下さい」


 スラがそう言うと、アオイは不機嫌な顔をして舌打ちをし、馬車に向かう。

 まあ妥当な対応だとは思うが、少しだけアオイを可哀想に感じた。

 捕虜を馬車に乗せ、ここで暴れられたら心配だとスラは言うと、アオイ含めた捕虜全員の両手首にロープを縛る。

 馬車に全ての人を乗せたことを確認し、馬車を発車させる。

 馬車には沢山の食料や医療物資などが積まれている。

 丘と前線基地までは離れていないので、すぐに数分で基地に到着する。

 基地の入り口にはパールが軍帽を被りながら敬礼し、出迎えている。

 だが、周りの待機している兵士は背を向けながら直立で立っている。


「これはこれはスラ様!ご足労頂きましたこと大変嬉しく存じます」


 パールがそう敬礼をしながら笑顔で言った途端、スラは一直線にパールの前に来る。


「貴様がこの軍の司令官か?」

「は、はい、そうですが………何か問題でも?」


 パールがそう答えるといきなりスラはパールの左頬をひっぱたたく。

 叩かれたパールは目を丸くし、左頬を押さえながらスラを見る。


「お前はカズト様の危険に晒した、何故護衛を付けなかった、ここは戦場のど真ん中だぞ?」

「ですが、カズト様が護衛を付けなくて良いと………」

「………良いですか?いくら貴殿方が休戦をしているといえ、敵はいくらでもこの周りをウロウロしていますよ?その証拠に先程カズト様を拉致しようとした敵兵どもを発見し、捕らえました」


 そう言ってスラはパールに馬車の中に居るエルフ兵を見せつける。

 それを見たパールは青ざめ、激怒する。


「な、何て事をしてくれたんだ!!休戦中なのに戦闘しやがって!」

「攻撃はあちらからが先です。つまり彼らが休戦協定違反であり、仕返しは妥当でしょう。それでは私は王宮に連絡しないといけないので失礼します」


 ………何だろう、俺の知ってるロボ娘じゃない。

 無口でまだ世間や常識を知らなくて、失敗を重ねながら主人公に様々な事を教えてもらって成長するのがロボ娘じゃん。

 いや、世間ではコレがロボ娘の可能性もあるが、スラの無表情で怒るのは只の恐怖しか感じない。

 するとパールはその場で崩れ落ち一言、「ぴえん」と呟く。

 周りの兵士がパールを慰めようと近づく。


「だ、大丈夫ですか、大佐殿?」

「もうマヂあり得ない!これだから俺はココロナシと接するのが嫌いなの!!」

「まあまあ、落ち着いてくださいよ。生クリーム入りのコーヒー淹れますから………」

「分かった、落ち着く………」


 ………何だこれ?

 俺は一体何を見せられてるんだ?

 とりあえず、スラの嫌われようは半端無いのがよく分かった。

 だけどそこまで怖がったり、嫌ったりする程の奴だとは思わないんだが………。

 するとその場で泣いているパールと俺の目が合ってしまう。

 パールは態度を変え、怒った顔をしながらこちらに向かって走ってくる。

 するとパールは俺の近くに来た瞬間、俺の服の胸ぐらを掴みながら睨む。


「お前のせいで怒られたぢゃんか!俺はあのココロナシの無表情で迫られるのが怖いんだよ!分かるぅ!?」


 いや、全然分からん。

 というか、全然パール落ち着いてないじゃんか!

 でも俺がまだその怖さに体験してないからかもしれないし、とりあえず合意しとくべきかな。


「ハハッ、そうですね」


 俺は笑顔でそう言うと、パールは一段と鋭い眼光で睨みつけ、胸ぐらも先程より強く掴む。

 すると周りは青ざめながらパールに近付く。


「た、大佐殿………彼はニホンジンだけど、皇帝陛下だぜ!」

「そ、そうっすよ、ヤバイっすよ!」


 だがパールは彼らの言葉を無視し、胸ぐらを掴んだままだ。

 ………まあ、確かに俺が悪いかもしれないな。

 俺が護衛は要らないという発言も確かにしたし、あそこまで怒らなくてもいいと思う。


「分かったよ、俺がスラに言ってくるから手を離してくれ」


 するとパールは俺の襟を離し、ゆっくりと後退りする。


「す、すみませんでした。ついカッとなって怒ってしまって………ですがこれは私が罰を受ける覚悟の訴えでございます」


 そう言って、パールはすぐさま頭を下げ、謝罪する。

 俺はこいつに罰を与えるべきなのかもしれないが、俺、こういうの苦手なんだよなぁ………。

 とりあえず俺は襟を掴まれただけだし、特に罰を与える程ではないな。


「まあ、とりあえず今回の襟を掴まれた事に関しては不問に処す。だが次は無いからな、それだけは覚えておけパール」

「………か、寛大な御判断に感謝致します。陛下………。」


 パールは驚いた表情をし、頭を下げそう言う。

 とりあえず、スラの所に向かわないといけない。

 とりあえずパールに命令を下そう。


「ではパール、馬車の中にある物を運ぶのをお前が指揮してくれ」

「はっ、承知いたしました!すぐさま、仕事に取り掛かります!お前ら、皇帝陛下からの命令だ!!」

「「お、おけまる水産!」」


 俺はそれを確認しながら、スラの方に向かおうとすると、ヴァイスとマルクスが俺に声を掛ける。


「カズト様!私も付いていくのです!」

「ご主人様、私もお供します」

「よし、じゃあ付いて来てくれ!ヴァイス、マルクス!」

「「はい(なのです)!」」


 俺は二人を連れて、スラが向かった方向に急いで走る。

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