第55話 忠誠への誓い
次の日の朝
ケーニヒブルク宮殿――――――
 
カズトが居たケーニヒブルク宮殿、通称『王宮』はウィンドボナで冬の宮殿として使われている宮殿である。
その宮殿の玉座の間の玉座には俺、カールが座っていた。
俺は緊張してからか、もう冬に近い秋なのに汗を沢山かいている。
それもそのはずだ、俺は初めて摂政になってから大臣達の謁見を行い、そして同時にカズトの作戦を発表するからである。
俺がそんな事を考えていると、玉座の間の部屋の扉が開かれる。
そこに外務大臣、財務大臣、国防大臣、そして内務大臣が部屋に入ってくる。
ウィンドボナに残っていた重要省庁であり、この4つ以外の省庁は停止及び避難をしていたと姉さんから聞いた。
すると彼らは跪き、俺に顔を見せ、挨拶をする。
「「「「王弟殿下、チョリーッス☆!!そして摂政に任命おめでとうございますすっすううううう。」」」」
「うん、チョリッス………ありがとう。」
「どうされました、王弟殿下。元気が無いッスね?」
「そりゃ、アンナ様がパンノニアに向かったからだよな。この殿下のシスコン野郎め!」
「おい貴様等、王弟殿下に失敬だぞバカ!」
大臣達ははガヤガヤと俺についての話をする。
内戦中というのに、こんなにほのぼのだからなぁ………。
すると突然、外務大臣が他の大臣を見て呆れたのか、彼はわざとらしい咳払いをする。
「………オホン、ところで何故我々をお呼びになったのですか?」
外務大臣はそう言うと、他の大臣は静かになる。
静かになった所を俺は話を始める。
「実はこれを承認並びにこれらを各省庁が用意をして欲しい。セバス、それを書いた資料を用意している配りたまえ。」
「はい殿下。」
セバスは俺が用意した資料を配る。
大臣達は配られた資料を見て、何故かドン引きする。
まあ、でもその反応が当たり前か………。
本当は俺もそれを受けいれがたいからな。
    
「で、殿下、本当に我々にこれを用意をですか?」
「大臣諸君、これらを用意、もしくは準備をするのは大変だとは思うが、お願いする。」
すると一人の大臣が資料を俺に向けて見せるようにする。
「ば、バニーガールの女性………ですか?」
「私のはチアガールが絵描かれていますが………。」
「セーラー服?水兵の女の子ですかな?」
「ブルマの体操服………殿下、こんな非常事態に何を考えているんですか?」
「………ンンンンンンンンンンンンンン!?!」
俺はセバスに配らせた資料を見る。
そこには資料ではなく、卑猥な姿やポーズをする女性の写真のポスターだった。
というか、何で俺のコレクションが流出してるんだ!?
「ままま、間違えた!か、回収!回収する!!それは俺のコレクションだ!返せ!!」
俺は玉座から離れ、急いで直接、大臣達からポスターを回収していく。
「ハアハアハア、クソっ、めっちゃ恥ずい………。」
「殿下………とても良い趣味してますね!」
内務大臣がそう言うと、他の大臣達はコクコクと頷く。
「うるさい、ほっとけ!本当の資料はこっちの方だ。セバス!早く配れ。」
「はい殿下。」
今度はちゃんとした資料を大臣達に配る。
大臣達は疑心暗鬼になり、俺に対してジト目で彼を見るが、資料に目を通すと彼らは驚いた。
「ほ、本当にこれを承認し、用意するのですか!?」
その大臣の発言に次は俺が疑心暗鬼に陥る。
だって、さっき間違えて俺の素敵なコレクションをばら蒔いたからな。
「お、おい、また俺は資料を間違えたのか!?」
「いえ、間違えておりません、本当に訊きたいから訊いているのです。」
「合っているのか、なら良い。そうだ、それらを明日までに準備、もしくは用意しろ。」
すると突然、国防大臣が声を荒げる。
「………こ、この文書に書いてあるものはアンナ様の現在の行動を無駄にする様なものですよ!」
「ああ分かっている、だからそれを踏まえて承認して欲しいのだ。」
  
大臣達はお互い見合って、どうしようか迷っていた。
そして大臣達は一斉に頷き、俺に顔を向ける。
「それでは国防大臣から是非を問う。これを国防省は用意できて、更にこれを承認できますか?」
すると、国防大臣はその場で俺の前で跪く。
「はい、仰せのままに陛下。」
「内務大臣!」
俺は内務大臣を部屋に響く位に叫び、そして内務大臣も国防大臣に続いて跪く。
「仰せのままに陛下。」
「財務大臣!」
財務大臣も二人に続いて跪く。
「仰せのままに。」
「外務大臣!」
俺が外務大臣を呼ぶと彼は少し躊躇い、そして俺に一つだけ質問をする。
「………殿下はアンナ様をどうするおつもりですか?」
「勿論、姉さんは家族で大事な人だ。何かしらの対応はする。」
「では、殺すような事はしないと?」
「無論だ!俺が殺すと思うか??」
俺は外務大臣の言葉に怒り、声を荒げる。
外務大臣は俺の反応を見て、安心し、笑顔を見せる。
そして外務大臣は遂に俺に対して跪いた。
「分かりました、仰せのままに陛下。」
俺は大臣達が全員跪くと、俺はホッとして胸を撫で下ろす。
だって、もし反対されたらどうすれば良いんだろと思ったしな。
「それではこれを全て明日の正午に用意し、同時に記者会見及び戴冠式を行う、本日の謁見は終了だ!以上!!」
「「「「あ、あざーす!!」」」」
大臣達は跪きながら頭を下げる。
俺は玉座から立ち上がり、玉座の間から退出する。
―――俺はカールが謁見の間、自分の部屋に篭っていた。
俺は落ち着く事が出来ず、部屋内をフラフラと歩き回っていた。
すると、部屋の扉がノックされる。
「失礼するよ、聞いてくれカズト、大臣は無事に受け入れてくれたよ。」
「カズト、各省庁があれらを用意するが、大丈夫なのか?本当に戦況を逆転し、内戦を終結出来るのか?」
「ああ、逆転は出来るが、内戦を終結するのは相手側の降伏次第だ。」
「………そうか、まあ今はそれを置いておこう。カズト、先ずはお前の体型を測らないとな。」
「お、おう、そうか。」
「当たり前じゃないか、何故なら俺達が新しい君主で新しい皇帝になるんだからな?」
「そうだな、まずは戴冠式と記者会見を準備を始めないとな。」
まず、一つ目の難関はクリアした。
ここからが大変なんだな、これが。
そう思いながら俺はカールに連れられ、俺はカールと一緒に記者会見と戴冠式の準備をする事になった。
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