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転移転生者が嫌われる世界で俺は成り上がる!  作者: ヨッシー
第2章 ダークエルフの国
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第47話 ザッハトルテ

 その店に入ると一階は可愛らしい内装で、外観と同じ若草色の棚にクッキーやタルト、ビスケットなどの様々なお菓子が瓶詰めや袋に詰まれて置かれていた。

 店の真ん中にはグネグネと異様に曲がった螺旋階段らしき階段がある。


 「カズト様、カフェはこのお店の二階にありますので、今から店員に席が空いているか聞いてきます。」


 ラウラはその辺の近くに居た店員に声を掛ける。


 「チョリッ~ス☆、お客様!どうされました?」


 ………ん?

 今、独特な言葉を店員から聞こえてきたような………。


 「今日はカフェの席、空いてますか?」

 「ハイ!空いてるっスよ、好きな席に座ってくださーい♪」

 「はい、ありがとうございます。」


 今、言葉に星とか音符とかが出てきたけど、あれ?おかしいな?俺の勘違いかな?

 ラウラはその独特な言葉を話す店員と話を終わらせると、俺の所に戻ってくる。


 「空いている席があるそうです。」

 「いや、聞こえてたよ。」

 「そ、そうでしたか………そ、それなら早く席に行きましょう!」


 カフェのある二階に向かう為、そのグネグネと異様に曲がった螺旋階段を上がると、そこには一階の内装とはまるで違う、洋風な絵本にでも出てきそうな空間が広がっている。

 ランプやソファや壁の絵など、クラシック感があるが、どことなくモダンなデザインがチラホラとある店内だ。

 ラウラは辺りを見て、その席に指し、階段に近いテーブル席を選んで座った。


 「なんか、慣れない場所に来たから凄くソワソワする。」

 「フフフ、そういう所は可愛らしいなと思いますよ。」

 「えっ!?」

 「あ、す、すみません!今のは忘れて下さい。」

 「アントン&バーバラにようこそお客様、とりまご注文を。」


 ウェイターが注文を取りに来た。

 従業員用の制服をバッチリと決めたイケメンのダークエルフがメモを取り出し、待っていた。

 彼の発言もマトモな感じだし、勘違いだろう、今さっき聞こえた「とりま」も、もしくは俺が疲れているからかな………。

 ラウラは最初からもう決めていたのか、即座に注文を言う。


 「えっと、メランジュとザッハトルテを二つずつ、以上で。」

 「………はい、おけまる水産!少々お待ちを。」


 ザッハトルテは聞いたことがあるが、メランジュって何だろう?

 というか、それよりも………勘違いではない、やはり店員の会話が気になる!

 「チョリッ~ス☆」とか「おけまる水産」とか使う所がなんか場違い過ぎだろ!

 俺はメチャクチャ気になりすぎて、ラウラに聞いてみた。


 「今の店員の言葉遣いが面白いというか、独特というか………そのー。」

 「はい、今の言葉遣いがゲルマニア語のノリクム訛りです。」


 ………は?訛りとは?

 訛りってこんな若者言葉だったっけ?

 しかも、『チョリ~ッス☆』とは一部古い言葉だし。


 「いやいや、訛りじゃないでしょ!?何さっきの『チョリッ~ス☆』は!?」

 「『チョリッ~ス☆』は『いらっしゃいませ』とか『おはようございます』などの挨拶の上品な言い方ですよ。普通なら挨拶は『ボーン!』とか『うぃーす!』とか『チーッス!』とか使いますよ?」

 「待て待て待て、訛りなんだから、例えば語尾とか無いと訛りじゃないでしょ。」

 「ありますよ、『~ンゴ』とか『~たん』とか『~み』とか言いますね。」


 ………ノリクムの言葉ってJK言葉か若者言葉かよっ!

 まあ、分からないって事は無いし、別に良いんだけど。

 考えてみたら口からツ○ッターが出てくる様なものか………なんかちょっと笑えるな。


 「お待たせしました、ザッハトルテとメランジュです。」


 そう言って、ウェイターはテーブルに注文した食べ物を置いていく。

 ザッハトルテは名前の通りのチョコレートケーキで、メランジュはホイップ入りのコーヒーだ。

 何故か分からんが、メランジュと一緒にコップ一杯の水も店員は持ってきたけど、何の意味があるんだろう?

 ………まあ、良いや、これもありがたく貰おう。


 「それじゃ、ケーキを頂くとしますか!」


 ザッハトルテをフォークで一口サイズに切り、それを口に運ぼうとすると、突然ラウラが話し始める。


 「カズト様はこの国、ノリクムをどう思いましたか?」


 ラウラは真面目な顔でこちらを見ながら言う。

 俺はフォークを皿に置き、腕を組んで考えながら答えた。

 この街の悪い所を見てないからな、ただ思った事を正直に言おうかな。


 「どう思うかって、とても文化的で芸術的な街並みで、交通機関も有ったし、食べ物も美味しそうだし。とても素晴らしい街だと思うよ?」

 「………そうでしたか、それは良かったです。それではケーキを頂きましょう。」


 そうラウラは微笑みながら言い、そしてザッハトルテを口に運ぶ。

 俺はそのラウラの態度が気になったが、考えるのは後にしよう。

 今は目の前にあるケーキを食べないとね!

 もう夜から何も食べてないし、それにこのケーキは本当に美味しそうだ!



 いやー、ザッハトルテも堪能したし、メランジュコーヒーも飲んだし最高の食事だった!

 コーヒーと一緒に付いていた水を飲んだら、ちょっとトイレに行きたくなったな………。


 「ラウラ、俺少しだけお手洗いに行ってくるよ。」

 「はい、どうぞ。」


 俺はラウラに軽く礼をし、一目散にトイレに向かった。



 ふぅ~!スッキリした!!

 それにしてもなんか独特な形をした便器とか有ったな。

 ………まさか街で見たけどあれがケンタウロスの為の便器、もしくはゴブリンの便器かもな………って、何考えてるんだ俺?便器なんかに興味持つなんて。

 それに、ラウラを待たせてるんだし、急いで向かわないと。

 俺はすぐに手を丁寧に洗い、ポケットの中に偶然入ってあったハンカチで手を吹きながら自分の座席の前に着くと、そこには座っているラウラの姿は無かった。

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