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転移転生者が嫌われる世界で俺は成り上がる!  作者: ヨッシー
第2章 ダークエルフの国
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第43話 侯爵の正体

 すると背筋をピンと伸ばしながら座っていたフランツは、すぐに姿勢を崩し、だらけた体勢を取る。


 「いやー、マジで立派な侯爵を演じるのは大変だね!」


 俺とヴァイスはフランツの態度の変化に驚き、『高貴』な彼はどこに行ったのかと思い、沈黙する。


 「お前らそんな困惑した顔になるな、ホントの俺はこっちだ。改めて紹介する、アレマン候国の侯爵のフランツ。こんな見た目だが君と同じで俺は日本人だ。」


 それを聞いた瞬間、俺とヴァイスは驚き、目を丸くし、大声で叫ぶ。


 「「えっ、ええええええええええええええ!?」」 

 「うっるさいわ!大声で叫ぶなよ、ったく耳が痛てぇよ………。」

 「だ、だってお前見た目がエルフ………。」

 「ああ、お前と俺の違いはこの世界に転移(・・)したか転生(・・)したかの違いだ。それにしても久しぶりに日本人を見たよ、懐かしいなー。」

 「久しぶりに見たって、この世界に来て、何年経つんだよ。」

 「ハイエルフだからね、俺はこの世界に生まれて、まだ四百年位かな?」


 よ、四百年……だと!?

 ハイエルフってそんなに長生きする種族なのか!

 じゃ、じゃあレナって一体何歳なんだ………なんか怖くなってきた………。


 「まあ、そんな話は置いといて、お前はどっち側の日本人だ?」

 「どっち側?って俺は多分転移ーーー」

 「違う違う、その話じゃない………まあ、理解出来ない顔をしているという事は知らないんだな、まあ良いや、話はそれだけだ、頑張って立派な領主になれよ。」

 「あ、はい!ありがとうございます、俺、この世界で他の日本人に会えて良かったです。それじゃ行くぞヴァイス。」

 「ハイなのです!」


 俺はフランツさんに一礼をして、ヴァイスと一緒に中庭へ急いで向かった。




 「………『他の日本人に会えて良かった』か、もし次に日本人に会ったら、カズトは苦労するだろうな。」

 「フランツ様、コーヒーを用意しました。」

 「うん、ありがとう。」


 フランツはカップを持ち上げ、それをグビッと一気に飲んだ。


 「ふう!やっぱりコーヒーは上手いな!………そういえばあの魔族の女の子、めっちゃ可愛かったけど、どこかで見たことがあるんだよなー………まあ気のせいか!執事、コーヒーおかわり。」 

 「はい殿下。」


 そうフランツは言うと、執事におかわりを所望し、ゆっくりと窓から見える夜の月を見ながら、またコーヒーを飲んだ。




 俺とヴァイスは急いで中庭へと向かった。

 するとそこには碧とカールとフランツさんのメイドに碧の馬車の御者、さらに細長くて大きなクラシックカーがそこにあった。

 フランツのメイドは碧の馬車の御者にこの車の起動方法を教えていた。

 するとアオイとカールが俺に気づいた。

 

 「あ、カズト様、ヴァイスさんこっちですよ。」


 彼らは手を振って、居場所を教える。

 俺とヴァイスは急いで駆け足で向かった。


 「カズト様、高級車をですよ!しかもあのブリトン連合王国製のデイムラーです!」

 「マジすげぇー!カッケー!この流線形なボディーや豪華な内装とかマジで綺麗だ!」


 カールとアオイは興奮気味に車の説明を始める。

 いや、残念だけど俺は車についてはそんなに知らないし、見ただけで高級車とか分からんけど、まあ高級車で喜んでいるアオイとカールを見れば高い車なのかは分かったよ。

 それにしても、ブリトンって国の名前、オリヴィアが宮殿のストーブの説明していた時にチラッと出てきたが、ブリトンって有名な産業大国なのか?

 するとメイドが車の説明を始める。


 「侯爵殿下が用意された最も高価な自動車を用意しました。こちらの車は魔力でもペトロール燃料でも走ります。」

 「なあ、『ペトロール』って何?」


 カールがそれを聞くと、俺を鼻で笑い、胸を張りながらすぐに答えた。


 「おいおいカズト様、領主になるお方がそんな常識的な質問をするなよ?他の呼び方なら、燃水(ブレンネンヴォッサー)とかガソリン燃料とかある。それなら知ってるんじゃないか?」


 ガソリンか、成る程な、だけど何だろう、答えを聞けたことに関しては有りがたいけど、なんか態度がムカつくなコイツ。

 でも一応教えてくれたから、お礼は言っておこう。


 「ガソリンの事ね、ありがとう。」

 「いえいえ。」


 すると突然、ヴァイスの腹の虫が鳴る。

 ヴァイスは恥ずかしがり、腹を押さえ、顔が赤くなる。


 「す、すみませんなのです!」

 「仕方ないよ、もう夜だし、ご飯も未だだもんね。」

 「それならば侯爵殿下が料理人に料理の準備をさせてくれていると思います。」

 「そうか!それは楽しみだな。」


 ん?なんか忘れているような感じがするけど………まあ、忘れるような事だろう。 

 メイドは車の整備を終わらせ、すぐに『食の間』というダイニングみたいな場所に案内される。




 「クシュン!………遅い、遅い遅い遅い遅いおそーい!!カズトは何してるのよ!!」


 オリヴィアは待ち合わせの場所に一人でポツンとその場で立っていた。


 「あいつ、まさか私を忘れてる訳無いわよね。そうだったとしたら、覚えてなさいよ………。」




 「ああああああああああああ!」

 「どどど、どうしたのですカズト様?そんな大声を出して。」


 すっかり忘れてた!

 そういえば、待ち合わせでオリヴィアを待たせてるんだった!!

 どうしようどうしようどうしよーーーーう!!

 これは絶対にオリヴィア怒ってるわ、うん。

 ………殺されるかもしれないし、怖いから、行かないでおこう。

 うん、そうしよう。


 「そういえばカズト様はオリヴィアさんの待ち合わせは大丈夫なのですか?」


 くっ、ヴァイスに嘘はつきたくはない。


 「え、あ、そうだったな、早く行かないといけないな。」

 「じゃあ、私も付いて行くのです。」


 俺は躊躇いながら、メイドさんに話す。


 「じゃあ、メイドさん、私達の料理は結構ですとフランツさんに言っておいて下さい」

 「はい、殿下に言っておきます。」


 クソッ!めっちゃアレマンの料理食べたかったなー。

 まあ、ヴァイスは悪くないしな、仕方がない………絶対オリヴィア怒ってるだろうな。

 俺は落ち込みながら、その場を去る。

 城を出て、坂を下り、すぐさま市街地に向かった。

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