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転移転生者が嫌われる世界で俺は成り上がる!  作者: ヨッシー
第2章 ダークエルフの国
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第41話 桜桃酒のケーキ

 アオイが乗っていた馬車の内装は朱色と金色で装飾されていて、車内には鬼らしい細長い金棒と小銃、大太刀(おおたち)がそこにあった。


「それではヴァイスさん、約束のケーキです」

「わーい、ケーキなのです!」


 アオイが取り出したケーキは何かの甘いフルーツの香りがしていて、少し洋酒の様な匂いがした。


「このケーキって何のケーキなんだ?」

「店員さんはこのケーキを桜桃酒(おうとうしゅ)貯古齢糖(チョコレイト)のケーキだと仰っていました、あと桜桃酒(おうとうしゅ)はこの辺の名産品だそうですよ」

「へぇー、美味しそうだな、自分も一切れ貰おうかな」

「はい、どうぞ」


 桜桃(おうとう)って何だろう?

 異世界の食べ物かな?


「はふとはま、ほれほいしいへふよ(カズト様、これ美味しいですよ)!」

「分かったけど、食べながら話すなよ。」

「ゴクン、はーい!」


 ヴァイスは(ほほ)をまるでリスの様に膨らませながらケーキを沢山(むさぼ)る位に食べていた。

 可愛いな、オイ。

 ヴァイスの満面の笑みがこのケーキの美味しさを物語っていた。

 俺も食べてみたが………ゥンまああ〜いっ!!

 意外にクリームが沢山使われているのに、甘さ控え目で少し酸味のある感じで………桜桃(おうとう)ってまさかサクランボの事かっ!!

 甘酸っぱいクリームにココア風味の生地、何度でも食べたくなる味だよ。

 そういえば今思ったが、車窓からの景色を見ていたが、馬車って物凄くゆっくりと走っているけど、一体どれ程掛かるんだろう?

 はっきり言って、俺が学校を遅刻しそうな時に漕いでいる自転車より遅いぞ。

 俺はそう考えながら、碧に尋ねてみた。


「そういえば馬車でエスターシュタットまで行くとして、どれ位掛かるんだ?」

「エスターシュタットまでですか?首都でしたら約五十里くらいですので、二、三日くらいは掛かるでしょう。」

「に!二、三日!?それはいくら何でも掛かりすぎだろ!」

「落ち着いて下さいカズト様、私たちは夜にアレマン侯国(こうこく)に着く予定で、そこで自動車を貸して用意しているので多分予定より早く着きますよ。」

「そ、そうなのか、それなら安心したけど………。」


 俺がそう言うと、アオイは悲しそうな顔をする。


「………やはエスターシュタットの内戦が気になるのですね。」

「え?まあ、そりゃ国民同士が殺し合うのは止めるべきだとは思うけど?」

「そうですけど、内戦は簡単に止めることは出来ません。私の国でも約四十年前に内戦がありましたけど、誰にも止められず、約一年間は(いくさ)が続いてましたよ。」


 なるほど、一年か………それ位ならまだ大丈夫かもしれないが、もし何十年も俺が行く国で内戦が続いたら国政にも経済にも影響を受けるし………。

 ああ!何で俺はこんな絶賛内戦中な国の領主を引き受けたんだろう。

 俺は頭を抱え、メチャクチャ悩んだ。

 すると馬車の後部に開いている小さな窓からオリヴィアは顔を(のぞ)かせ話始める。


「内戦の事ならそこまで深刻には考えない方が良いわよ」

「ん?何でそんな事が分かるんだよ、オリヴィア」

「だって内乱の張本人の大半がコイツみたいなダークエルフだからよ、内戦が泥沼化して長期化するか、ダークエルフが即座に負けるかの二択しか無いわ。まっ、確率が高いのは後者の方だけどね」

「ダークエルフってそんなに戦争下手なのか?」

「いや、武器はハーフエルフと同じくゲルマニアの魔道具や魔法武器とエトルリアの火薬武器の両方の武器が使え、士気も我がゲルマニアとも劣らないけど………」

「ん?けど?」

「ダークエルフの兵隊は物凄い旧式の武器を大半の兵士が使ってるし、軍楽隊、しかもオーケストラ級の人々が居ないと戦争に参加する気分にならないし、指揮官が殺られると戦場に居る兵士はオロオロして統制が出来ずに終了、つまり要約すると彼らはとても弱いのよ」


 するとカールはオリヴィアの話を聞いていたのかオリヴィアに対して反論する。


「はあ?お前らエルフも融通ゆうずう利かないし、頭が固いし、プライド高いし、規則規則と五月蝿(うるさ)いし、ラガーが無かったら戦場でやる気無くすし、コーヒーもヴルストも無かったらイライラするし、お前らも文句を言えねぇよ!」

「はあああ!?今、ゲルマニアの兵士を馬鹿にしたわね!したわよね!!」

「ああ、したさ!お前らの軍隊はユーラ最強でも頭はカッチン鋼みたいに固いからな!もう少し柔らかくしろ!ハハハハ!!」


 オリヴィアとカールは口論になり、止まることはなかった。


「カズト様、出来れば彼らは無視して下さい、もしくはその窓を閉じて下さい」

「あ、うん」


 俺はアオイから笑顔でそう言われると、恐怖を感じ、俺はゆっくりと気付かれないようにその小さな窓を閉めた。


「内戦について話を戻しますが、オウストリの治安維持は一週間前にヘルヴェティアとの密約で我が国が三年間駐屯が決定していまして、鬼族が私を含めて三名、鹿人(しかびと)を中心とした逐鹿(ちくろく)連隊の一連隊を要請しましたので、安心でしょう。多分ゲルマニアに到着して、明日になれば前線に配備できると思います」


 連隊という事は約三千人の兵士を動員するのか、治安維持にそれほど必要なのかと思うくらいだよ。

 まあ、それはありがたいが、何故その極東の国がこんな遠くて小さなユーラの領土を駐屯するんだ?

 利益なんて無いだろう。

 既に日本人もエトルリアに強制移住したと新聞で書かれてたし、まさか貴重な鉱物資源が取れる地域か?

 いや待て、この内乱に強制移住に反対した日本人が内乱を起こしている可能性は無いのか?

 クソッ、早く着かないのか、エスターシュタットに!!

 俺はエスターシュタットに早く着くことに車窓から見える空を見ながら俺は強く、強く願った。

 ………ん?なんか前とは違う状況だけど、これってデシャブじゃね?

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