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転移転生者が嫌われる世界で俺は成り上がる!  作者: ヨッシー
第1章 純潔の戦姫
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第4話 永世中立

 ――――乗用車、多分ジープらしきものに荷物や武器やを十分に載せ、俺は彼女を国に送り届けるために一緒に連れて出発しようとしている。

 レナは先程と違って元気に動いているが大丈夫なんだろうか?

 そういえば、武器もエルフの銃は火薬を一切使っていない。

 トラックも戦車も電気や風力で動く車が多いそうだ。

 このジープはエトルリアから鹵獲した物なのか、ガソリンで動く。

 焚き火も死んだ敵兵士の近くに落ちていたジッポで俺は火を点けたけど、レナの住む国、エルフはそういった火を点けるものを持っていない。

 まあ、火を点けるぐらいならエルフだから魔法か何かでつけると思うけど、彼らがどうやって暖を取っているのかが不思議だ。

 何故なら、車の後ろにマフラーが付いていないから電気で乗り物が動いてるはずなのに、近くにコンセントどころか発電機、電化製品すらが無いからだ。

 それにエルフは火が嫌いだと聞いたことがある。

 まさか火どころか熱を帯びるものが嫌いなのかと俺は不思議に思う。


「なあレナ………」

「どうしたのカズト?」

「お前らの国には暖房器具みたいなのは無いのか?」

 

 俺がそう言った途端、彼女は呆れた顔でため息をしてこっちを見て言った。

 何だろう、人に向かってため息したり、呆れた顔をしてくるのはダメなのはわかっているが、なんかその顔に慣れてきた俺が怖い………。


「貴方ね、私達の国にも有るわよ暖房機。でも今、私が要らない理由は着ているこの服はそういう魔法がかかってるのよ、たしか東方の太陽を用いた魔法だったはず」


 そうレナが来ている外套(がいとう)をよく見ると、高そうなコートのような見た目でキラキラと焚き火の光で銀色か灰色のような色で輝いていた。

 というか、そんなもの知らねぇよ!

 俺もそんな上着、今超欲しいわ!!

 

「何だよそのヒー〇テックみたいな服、俺にもくれよ!」

「ヒート…?ば、馬鹿な事を言わないで!この服を持っているのは一枚しかないし、これサイズが女性用で多分小さいから破れるわよ!!」

「破れるかッ!!………全く、じゃあ無いならそういった魔法を俺に教えてくれよ?エルフなんだし、魔法ぐらいパパっと簡単に指導できるんじゃないのか?」


 そう俺が言うと、レナは俺の言葉に対して鼻で笑いながら嘲笑う。


「魔法って………貴方ね、この世界では魔法は自然な物や神様が作り出す力で、正確には魔術って言うのよ。それにそんな暖を取るような魔術なんて無いわよ、残念ね!」

「ハアアアアアア!?!?じゃあ!そんなブルジョア以外の暖の取り方はどうするんだよ!!」

 

 そうするとレナは自分のコートのポケットに手を入れ、黒く濁った石を取り出した。


「はい、コレ」

「は?コレでどうやって(だん)を取れって?ただの石炭みたいな石よこしやがって。これを燃やせってか」

「馬鹿ね、その黒い石同士を何処(どこ)かにぶつけてみなさい」

「ば、馬鹿って………まあいい、こうやってぶつけるのか?」


 持っていた石を持ち、近くのテーブルにぶつけてみた。

 すると石は赤く透明に光り始め、少しずつ温かくなってきた。

 いや、もう数秒で石が熱くなってきた。


「おおっすげぇ温かい。そしてめっちゃ綺麗だな!」

「私達の国でしか採掘することの出来ない石、フロガダイトて言うのよ。それの大きな結晶が暖房器具になったり、明かりの代わりになっているわ」

「へえ、この小さいのはまるでカイロみたいだな」

 

 俺はそう言うと、レナは不思議そうな顔をしながら首を傾げる。

 

「か、カイロ??」

「ああ、俺の住んでた世界にあった使い捨てカイロみたいだなって。もちろん見た目は全然違うけど。」

「ふぅん、作り方は簡単?」

「俺は作り方が知らないから解らないけど、多分難しいんじゃないかな?」

「そう、それは良かった」

 

 彼女はその話を聞くとレナは何故かホッとする。

 俺はレナの行動に不思議に思い、レナに聞いてみる。

 

「え?なんで良かったの?」

「な、なんでもないわ!これなら明かりにもなるから焚き火を消しても良いわよね?」

 

 だが、彼女は話を逸らし、焚き火を消すか否かの話を聞いてくる。

 まあ、ホッとした理由なんてどうでも良かったから、俺は焚き火についてレナの質問に頷く。

 

「そうだな、敵の目からバレない様にしないといけないもんな」

「そうよ、早く消したくて仕方が無かったんだから」

 

 そう言うと、レナは一目散に近くの壊れかけの錆びた蛇口から古びたバケツに冷たい水を入れ、

 その温かく、綺麗に輝く焚き火の炎を消した。

 そんなにエルフは火が嫌いなのかと思った。

 辺りを見回すと明るいのは手元のフロガダイトと近くの電灯らしき光がポツポツと輝いているだけだった。

 上を見ると空には自分が住んでた街では見られない満天の星空と淡い青白色に輝く月がそこにはあった。

 俺はそれを見て感動したのか、言葉を漏らす。

 

「ホント、すっごい綺麗だなこの魔石」

「ふふっ、まるでカズトは子供みたいね」

「な、なんだよ、別に良いだろ!」

 

 レナは俺の顔を見て彼女は微笑み、俺は彼女がそう言ったため顔が赤くなった。

 俺は急いでここから去ろうとレナに頼む。

 

「い、行こうか。普通にここはレナの国なんだから車で走ってれば、仲間の所にすぐに着くだろ?」

 

 俺がそう言うと、彼女の顔から笑顔が消えた。

 

「ダメみたい、この辺の地域はエトルリアの領土になったから、辺りは残党兵狩りをしているそうよ。さっきラジオで聞いた情報だから確かよ」

「そうか、じゃあ逃げられないのか」

「いいえ、ゲルマニア方面に行くのは無理だけど、一つだけ逃げ道はあるわ」

「え、どこなんだそれは?」

「この森を通って永世中立国のヘルヴェティア誓約者同盟経由で私の国、ゲルマニア帝国に通るしかない」

「え、誓約者同盟って何それ。カッコいい!!あと帝国という事は皇帝の娘なのか?」

「いや、その名前は私達の国しか呼んでないし。というか、話を逸らさないで!」

「えっ、ああ、ごめん」

「いいわよ、それで行くの?行かないの?」

 

 レナはそう言うと、俺は心の中では決まっていた。

 

「当たり前だろ!?行くに決まってるじゃないか!!」

「そうなら、早く行きましょう!」


 俺は荷物を載せた車に乗り込んでエンジンを掛ける。

 偶然にもこの車の運転席は右側にあったため、日本人の俺にも優しい設計だ。

 車の振動が始まり、マフラーから煙が出た。

 まあ、運転したことないけど………。

 俺は人生で初めて自動車を動かす。

 助手席の方をを振り向いてレナに乗るように言ったが、彼女は腰を抜かしている。

 

「おい、何でそんなに自動車に怖がるんだ?」

「だ、だって!乗り物なんてそんな恐ろしい大きな音なんてしないでしょ!!」

「あー、これはガソリンを燃焼して爆発させたエネルギーで動く車なんだ」

「ば、爆発!!そんな乗り物に乗る人間はやっぱり野蛮―――」

「ああああ、もうめんどくせぇぇ!!そんなにお前らの乗り物と変わらないからし、じゃあ逆に風力自動車とかどうやって動くんだよ!」

「そ、それは風の魔法を使って……」

「だから、俺には出来ないんだよ!!」

「あなた、本当に何の魔法も使えないの!?なら電気自動車も運転できないわ。」

「ああそうだよ!悪いか!!ていうか、電気自動車も魔法なのかよ。どおりで周りに発電機が無かったわけだ!」


 レナは大きな溜め息をして、諦めたのかいきなり立ち上がり車のドアに立つ。


「仕方ないわ、この車で我慢してあげるわ。でも本当に爆発しないんでしょうね」

「安心しろ、大きな事故でも起こさない限り爆発なんてしないから」


 俺はレナにそう言うと、彼女は渋々とドアをそっと開け車の中を見て静かに助手席に座る。


「よし……。やっと出発できる。まったくこんな町を脱出するために時間が掛かりすぎるだろ。敵が来たらどうするんだ………」


 そういえば、あの兵士以来誰もここに敵兵が来てないな、不思議だ。


「カズト?今なんて?」

「気にするな、独り言だ」


 俺はそっとアクセルを踏んで、ゆっくりと発進し始める。

 彼女は「キャッ!」と可愛い声を出して俺の右腕の袖を掴む。

 慣れない自動車に怖がるレナの手は小刻みに揺れている。

 いや、俺の運転にビビってるのかもしれない。

 確かに自動車は運転した事ないけど、ゴーカートとかなら運転したことあるし、大丈夫に決まってる………はず。

 それにしても怖がるレナ、めっちゃ可愛いな!!

 すると遠く後ろの方からから男の人の声がする。


「おい!今、ガソリン車の運転音が聞こえなかったか?」

「聞こえた、多分逃亡兵だ!!すぐに捕まえろ!!」


 俺たちを逃亡兵と勘違いしたのか、こちらに向かって走ってくる。

 すると一人の兵士が姿を現す。


「………ん?あの金色の長髪はエルフだ!敵の残党が居るぞ!殺せ!!」

 

 するとその兵士はボルトアクションの銃を構え、発砲する。

 銃弾は後部座席を貫通し、フロントガラスを突き破る。

 俺は驚き、ハンドルが疎かになりそうになったが、すぐに態勢を整える。

 するとレナは拳銃を取り出し、その兵士に対して発砲を始める。 

 兵士は腕に銃弾が貫通し、その場に跪いて、すぐに隠れて再び発砲を続ける。  

 俺は急いでその場から立ち去るために、アクセルを強く踏んだ。

 すると古くて立派な門を通り抜けようとする。

 その先は深くて薄気味悪い森が続いている。

 

「ほ、ホントにここを通るのか!?」

「そうよ、ここを抜けないでどこに行くと言うのよ!」

「オーケー!了解!!」


 森の入り口には彼女達の言葉で“黒い森”と書かれている。

 その名の通り、どんどん奥へと進むにつれて針葉樹林の森が月の光を遮り、舗装されていた道路はいつの間にか砂利と道路、ところどころに水たまりがある道になっていた。

 明かりは街灯などはもちろん無く、車の先頭にあるヘッドライトしかない。

 フロガダイトはポケットの中に入れている。

 レナはガソリン自動車に慣れたのか途中で寝てしまったため、後ろの席で横にして寝かせた。

 先程気づいたが、暗く見えるのは木影とかではなく、高くそびえ立つ山々で囲まれているのであった。

 つまり今走っている所は狭い谷底の森の中である。

 やがて、少しづつ坂になっていき、いつしか通っている道が山の斜面の切り開かれていた道に出た。

 月の明かりや星の明かりがこれほど明るいと思ったことは人生で一度も無かった。

 寒い………。

 もう敵は追ってきているのか?

 俺はミラーで何度も後ろを確認するが追手は来ていなかった。

 だが俺は安心することは出来ず、車を夜通し走らせる。

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