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転移転生者が嫌われる世界で俺は成り上がる!  作者: ヨッシー
第2章 ダークエルフの国
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第36話 朝のコーヒー

 俺は朝の用意を済ませ、オリヴィアに付いて行き、彼女の部屋に着く。

 オリヴィアは俺をジト目で見ながら話す。


 「女の子の部屋に来たからって、変な事は考えないで下さいよ。」

 「か、考えるか!」


 この世界に来て数日で、何回も入る機会があったから慣れてるわっ!!!

 俺はそう思いながら、オリヴィアはドアノブを回し、扉を開く。

 彼女の部屋に入ると、驚く程に物凄く部屋が暖かい。

 先程まで俺は南極か北極に居たのかと思うほどにこの部屋はめっちゃ暖かい。

 するとオリヴィアは先に部屋に入り、静かにゆっくりと椅子を引いて立ったまま背もたれの前で立っている。


 「どうぞお座り下さい。」


 そうオリヴィアに言われたので、俺はテーブルに向かう。

 俺が椅子に座ると、面に向かった席にオリヴィアは座る。


 「コーヒーです。」

 「あ、ありがとう。」


 すると、メイドさんがコーヒーをテーブルに置いていく。

 というより、メイドにメイドが付くなんておかしい話だろ。

 まあオリヴィアはメイド以前に近衛兵だけど。

 そう考えながら俺はコーヒーカップを口に持っていき、少しだけ飲む。

 コーヒーを口に入れた瞬間、苦味の中に薄く甘い味とコクがあり、後から芳醇な香りが鼻腔から抜けていく………。

 要約するとめっちゃ美味い!

 久しぶりに完璧に目覚めるようなコーヒーを飲んだ感じがした。


 「美味しいな、このコーヒー!」


 俺がそう言うと、コーヒーを淹れてくれたメイドは背を向けたままガッツポーズをする。


 「そりゃそうですよ、私が指導したんですから!」

 「えっ、さっきの子、新人のメイドさんなのか?」


 俺がそう言うと、オリヴィアは理解が出来ないと顔に書いているような顔をする。


 「新人なのかは解らないけど、ほら。」


 そうオリヴィアが言うと、俺は先程のメイドさんを見る。

 そこに居たのは見たことのある角、メイド服、そして髪の毛色に金色の目の色の子だ。


 「え?あれ?ヴァイス!?」


 そこに居たのは紛れもなくヴァイスだった。

 だが、フレイヤに連れて行かれたはず、何故こんな所に居るのか理解が出来なかった。


 「ドッキリ大成功ですね、オリヴィアさん!」

 「いやー、引っ掛かるとは思わなかったわ、いつもコーヒーを淹れてくれる人を忘れるなんてね。」


 淹れてもらってないよ!昨日出会ったばかりだから、いやそれよりも気になるのは、ここにヴァイスが居る事だろう


 「待て待て待て待て!何でこんな所に居るんだよ、フレイヤは?フレイヤに会わなかったのか!?」


 俺がそう言うとヴァイスは理解が出来なかった様な顔をしていた。


 「会ってないですよ?何故なら、ずーっとオリヴィアさんと遊んだり、メイドの作法を学んだりしてたんですから、ねっ!オリヴィアさん。」


 ヴァイス、お前オリヴィアと仲直りするの早すぎるだろ。

 俺だったら腹を蹴られた相手をずっと恨むよマジで。

 だけどそんな事より、フレイヤはどうしたんだろうか?

 ヴァイスを連れて行くって言っていたのに………。


 「本当はフレイヤ様に頼んでゲルマニアに連れて行こうとしたのでしょう、カズトさん?」


 オリヴィアがそう言うと、ヴァイスは目を丸くしながら仰天して、俺を問い詰める。


 「それは本当なんですかカズトさん!?私をゲルマニアに行かせるなんて。」

 「ああ、正確には俺ではなくフレイヤの提案だけど、ヴァイスを魔族差別の有るような地域に行って精神的に疲れるのではないかと思って………。」

 「そんな事無いです!!私はカズト様に助けられてから、貴方と付き添う事を決めていたんです。それに……この世界はどこに行っても魔族は差別される運命があるのです。それならば私は、独りでゲルマニアに行くよりも魔族差別の激しい所にカズト様と二人で行く方が断然行きたいです!!」


 ヴァイスは広い部屋全体に響き渡るような大きな声で訴える。

 そうだその通りだ、先ずはヴァイスの意見を聞いてから判断するべきだった。

 ゲルマニアに行ったとしても、差別は少ないとは言いつつ、差別が無いという事は無いのだ。

 それにフレイヤは陸軍大臣だから内戦中は司令官として各地に飛び回るから戦場に行く事になる。

 もしそうでなくても、屋敷でお留守番したとしても知らない人、知らない国で過ごす事は精神的に参ってしまう。

 だが、それは俺にも当てはまるかもしれないことだ。

 俺も領主になるから色々な所に行くかもしれない。

 俺は頭を抱え、考えた結果に辿り着く。


 「分かったよ、ただし本当に危険と俺が判断した時はゲルマニアに行かせるからな、それで良いな!」

 「わーい、やったー!!」

 

 ヴァイスは目をキラキラ輝かせながら声を大きく返事をする。

 するとオリヴィアは咳払いをする。


「話が終わったので私の話も始めてもよろしいでしょうか?こっちは急いでるんです。」


 せっかちなオリヴィアはそう言う。

 俺は「すみません。」と一言謝って、オリヴィアの方へと向く。


 「今日の予定は、朝食を市場で買って、そのままロツェルン駅発の電車に乗り、ヴァドゥーツまで電車で行き、そこからは馬車で首都のウィンドボナまで行きます。」

 「エスターシュタットの首都まで電車が走ってないのか?」

 「はい、今回の戦争でエスターシュタットのインフラが全滅したため、電車は使えませんし馬車で首都まで向かえるか心配な程です。」

 「なるほど、じゃあ俺は領主になっての初仕事はインフラ整備か………。」

 「そうですね、まあ着いてからゆっくりと考えれば良いと思いますが………取り敢えず市場に向かいましょう、私はお手洗いを済ませてから向かいますので宮殿の入り口で待ってて下さい。」

 「分かりました。」


 オリヴィアは席を立ち、お手洗いのある出入口の方へ向かう。

 俺も自分の部屋に戻るためオリヴィアの方向と一緒に歩く。

 すると俺の運が悪いのか、何故かその場で足を引っ掛け、先行するオリヴィアのスカートを掴んでしまうが、止められず床に倒れる。

 スカートはずり落ちて、オリヴィアの足までずれ落ちて彼女はその場で転け、床に顔をぶつける。


 「す、すみません!」


 俺はすぐさま立ち上がり、タイツ越しのパンツ丸出しのオリヴィアに対して俺は即座に謝る。

 オリヴィアは自分のスカートを掴み、後ろを振り向き、普通の人に向けないような殺気を俺に向ける。


 「や、やっぱり、オマエを絶対に許さねぇ、このヒューマン野郎!」


 ………ヒューマン、野郎?

 俺は嫌な予感がした。

 俺は周囲を見渡す。

 するとオリヴィアの近くにカツラが落ちていた。

 俺は一気に青ざめ、冷や汗を掻き、生きた心地がしなかった。

 するとオリヴィアはすぐさま立ち上がり、自分の方向へ振り向く。

 その瞬間、ヴァイスが俺の前に立ち、守る体勢に入る。

 オリヴィアはヴァイスを見ず、彼女の顔は恥ずかしさで赤くなりながら、俺を睨んでいた。

 そして身体を震わせながら、オリヴィアは言った。


 「と、トイレで用を足してから、オマエをぶっ殺すからな?そこで待っとけよ………。」


 そう言いながらトイレに入り、ドアを強く音を立てながら閉める。

 トイレの扉が閉まったと同時に俺はヴァイスの手を握り、部屋から飛び出す。


 「え?か、カズト様?」

 「急いで、俺達だけでエスターシュタットに行くんだ。じゃないと俺がオリヴィア殺される!」


 俺は廊下を無我夢中で走るが、何かにぶつかり俺は尻餅をつく。

 ヴァイスは転けないでその場で立っていた。


 「す、すみません!」

 「ああ、こちらこそ。」


 俺が顔を上げると、子供のように小さい男の子のエルフがいた。

 髪は短く切られていて、瞳の色は綺麗な青色である。

 その彼と目を合わせると、そのエルフは驚いていた。


 「あ、これは申し訳ない!私はエスターシュタットでゲルマニア大使をする、エリアスと言います。」

 「あ、炬紫一翔(こむらさきかずと)です、ってすみません自己紹介は後でやりますから。」


 ………ん?ゲルマニアの外交官?

 彼女を止めれる方法を握ってるのかもしれない。

 今はオリヴィアに対抗できる力を保持してないし、もう彼に頼るしかないか。


 「すみません、突然で申し訳ありません、オリヴィアを止めてくれませんか!」

 「えっ、オリヴィアですか?うーん、多分大丈夫でしょう?しばらくしたら落ち着きますよ。」

 「ホントか?ホントにホントだな!」

 「ええ、信用してください、あ、私は先に宮殿の入り口に居ますので何か問題があったら言ってください。」


 そう言ってエリアスは玄関のある方向へ歩いていく。

 取り敢えず、エリアスの言い分を信じて、ヴァイスを連れて部屋に戻る。

 部屋に入ると、暖房が点けっぱなしだったからか、部屋の中が暖かい。

 まあ、特に持つ荷物も無いので、部屋を整理整頓し、急いで玄関に行く。


 「ゴメンなヴァイス、連れ回してしまって、何か持っていくもの部屋に有るかい?有るならここで待つけど……。」

 「いえ、特に無いですよ。」


 ヴァイスは首を横に振りながら、そう言った。


 「そうか、ならエリアスさんが待っている場所に行くか。」

 「あのですね、カズト様?」

 「ん?何だどうした?」

 「私の手、ずっと握ってるんですけど……。」

 「え?ああごめん、手を離すよ。」

 「い、いえ、これが良いです、もう離れないで済むのですから。」


 ヴァイスは俺の手を強く握りしめる。

 俺はその反応に顔を赤め、照れてしまう。

 まあ余程、俺が居なくてヴァイスが寂しかったのか分からないが、その希望に答え、ヴァイスの手を握ったまま、宮殿の玄関の方へ二人で向かった。

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