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転移転生者が嫌われる世界で俺は成り上がる!  作者: ヨッシー
第1章 純潔の戦姫
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第34話 お別れ

 俺はレナからキスをされ、ボーッと放心状態でその場を立っていたが、しばらくして先程座っていた場所に座る。

 だが、俺はまだ放心状態のままだった。

 俺は自分の唇を触り、唇を重ねた事を思い出し悶絶する。

 するとフレイヤが後ろから歩いて来て、俺の隣の席に座る。


 「………何やってんだオマエ?」

 「ふ、フレイヤ!?」


 フレイヤはドン引きした様な顔で俺を見ている。

 俺はそれを見て、姿勢を正し、座る。

 彼女は足を組んで、話を始める。


 「レナ様、さっき泣きながら走っていったけど、そんなにオマエとの別れが悲しいんだな。」

 「……まさか、見てたのか?」

 「ん?いや、周りの警戒をしていたから見てないが、まさか何かを問題があったのか?」

 「いや…特に問題は無い…よ………。」

 「………そうか。」


 時計塔の下に居た人々は宮殿に帰った為、庭園は静寂に包まれている。

 するとフレイヤから話し始める。


 「そういえばヴァイスた……ヴァイスについてだが、彼女を我がゲルマニアの王宮に連れて行こうと思う。」

 「どうして?ハッ!まさかお前、ロリコンなのは分かるがそこまで………。」


 俺がそう言うと、フレイヤは俺の胸倉を掴んで叱りつける。


 「誰がロリコンだゴラァ!!」


 いやいや、気づいて無いのかロリコンだということを。

 だが、フレイヤはすぐに冷静になり、胸倉から手を離す。


 「違う、そんな話じゃない、エスターシュタットは魔族に対して反吐が出る程、嫌悪しているから我が国に連れて行こうとへルマンと話し合っていたんだ。」

 「だが、ゲルマニアで内戦が勃発してるし、危ないんじゃないか?」

 「いや、内戦は主に南部の地域で行われているから北部の帝都は大丈夫だ。勿論差別は少ない。」

 「そうじゃなくて、その帝都まで敵が攻めてくる事は無いのか?」

 「愚問だな、陸軍最強の我がプルーセン軍が負けるわけがないだろ。まあオレはヴィッテン王国の人間だが、ゲルマニアの帝国軍人でもある、彼女の安全を保証する!」

 「………そうか。」


 俺はフレイヤの意見には反対ではない。

 何故なら、この国で人間やエルフが居たが、混血ハーフではない所を見ると多くがエスターシュタットからの難民だろう。

 そして彼らがヴァイスに対してやっていた行為、行動を見てもヴァイスを連れて行く事は容認出来ない。

 だが、ヴァイス抜きで彼女の事を決めて良いのか………。

 いや、勝手に決めても決めなくても彼女の安全が大事だ。

 よし、決めた。


 「ホントに彼女の安全が保証出来るのなら、ヴァイスをゲルマニアに行かせるよ。」

 「おう!勿論だ。絶対に約束する。」

 「フレイヤ、ゲルマニアでの内戦が終われば彼女に会いに行っても良いのか?」

 「何を言ってる?当たり前だ!何度でも暇な時に会いに来い、歓迎するよ。」


 フレイヤは笑顔を見せる。

 彼女の爽やかな笑顔を俺は初めて見た。

 というより、人生で初めてこんな『爽やかな笑顔』を見せられたと思う。

 俺はフレイヤに感謝し、一礼する。


 「ヴァイスをよろしく頼む。」

 「お、おう!」


 俺の一礼にフレイヤは動揺するが、すぐに返事する。


 「それじゃ、話は終わったから、オレ達は今夜帝国に帰るから、オマエはパーティーでも楽しんでおけよ、カズト。」

 「おいフレイヤ、今俺の名前を呼ばなかったか?」

 「ん?それがどうした?」

 「だって初めて会った時に『オレの名前は呼ばない』って言ってたじゃん!」

 「そ、そんな事言ってたか?」

 「ああ、言ってたぞ!」

 「し、知らんぞ、というかもう良いだろ!オレはヴァイスたんを連れて駅に直行するから、それともヴァイスたんと最後にオマエが挨拶してから連れて行こうか?」


 俺はフレイヤからそう言われて、少しだけ考えたが、すぐさま返答する。


 「いや、別れるのが悲しいから良いよ………。それじゃあなフレイヤ。」

 「おう、オマエも頑張れよ、あとカツラも渡しておくよ、その格好でパーティーいけないだろうってへルマンが言ってたよ!」


 そう言って、エルフになれるカツラを俺の方へ投げ、フレイヤはすぐさまその場を走り去った。


 「はあ、行っちまったか………。」


 俺はそう呟き、ゆっくりとパーティー会場の方へ歩いていった。



 俺はパーティー会場で料理を楽しみ、人々と会話し、もちろんカツラを着けながらだけど………。

 その後は事情を聞いたヘルヴェティアさんのご厚意で宮殿の一室を借りる。

 中に入ると、よく中世のヨーロッパを舞台にした映画に出てきそうな寝室。


 「この部屋を俺が一人で使っても良いんですか?」

 「はい、一応この部屋は来賓客を泊めさせる為の部屋だから、どうぞ好きに使うと良い。」

 「あ、ありがとうございます!!」


 そう俺が言うと、ヘルヴェティアさんは笑顔を見せ、その場を去っていく。

 ヘルヴェティアが去り、自分は身に付けている様々な物を外し、ベットの方へダイブする。

 ベットの感触はフワフワして、まるで大きな食パンの上に寝ている様な柔らかさだ。

 ………それにしても、人生で最も忙しかった二日間だった。

 戦場に転生?召喚?され、皇帝の娘のレナに銃で狙われるわ、メイドのヴァイスに会うわ、殴られたり、魔法を見せてくれたり、神とかに会ったり、そして最後にレナにキス………。

 まだ唇にレナとのキスの感覚が残っている。

 ……そういえば今頃、レナやヴァイスはどうしてるんだろうな?

 もう汽車が出発してゲルマニアに行ったのかな?

 ヴァイス、一人で大丈夫かな?

 

 俺はベットで彼女らの事を考え、心配していたが、やはり疲れがどっと来ていたから、俺はすぐに深い眠りについた………。

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