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転移転生者が嫌われる世界で俺は成り上がる!  作者: ヨッシー
第3章 エスターシュタット戦争
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第103話 ハルシュタットの虐殺

 バーベンベルク ハルシュブルク

 ハルシュブルク城前広場


 オリヴィアがバーベンベルクでの会議が終わった頃、まだ日が昇っていない時間に松明と魔石灯がポツポツと灯りが点く薄暗い中で、ハルシュブルク城前広場の城壁には十人程の獣人が薄汚れた黒い目隠しを付けられ、横に整列させられる。

 並べられた獣人は男女、年齢問わず、様々な世代性別の人々が整列している。

 彼ら獣人の足元には多くの獣人の死体があちこち転がっており、周りの兵士も吐いたり、ドン引きとするほどだった。


「あの、ザンメルン大佐?」

「………何だね」

「いや、獣人でも子供まで殺さなくても………彼らを労働させれば我々の助けにもなりますし………」

「ああ、だからどうした?」

「こ、殺すのはテロの首謀者だけでよろしいのではないでしょうか?そのテロに参加した奴らのみならず、彼らの奴隷の妻や子供まで殺せば、街の労働者もほとんど居なくなりますよ」


 近くに居たザンメルンの側近は恐る恐る話しかけている。

 だが、ザンメルンは肘を掛けながら退屈そうに彼の話を聞いている。


「コイツらが暴動を起こす理由は奴隷の扱いにミスを行った所有者の管理方法が悪いのだろう?それにもしこのテロリストだけを殺せば、そいつの妻や子供が次の我々への抵抗運動に加担するだろ?大問題ではないか!」

「そ、それは確かにそうですが、それでは工場や鉱山の労働者が居なくなりますよ?ゲルマニアからの支援物資も少なく、我々の備蓄も少なくなっておりますし、第一、資本家が黙っちゃいません」


 側近がそう言うと、ザンメルンは気だるそうに溜め息を吐く。

 

「ふん、そんな事か。また新しい奴隷を買えば良かろう。この辺の資本家は他国に岩塩や魔石を売って稼いでるんだから奴隷の一つや二つ、失う事に問題無いだろ?」

「は、はあ、そうですか………」


 ザンメルンは部下が不満そうな顔をしていたが、すぐに頭を下げたのを見た後、彼はゆっくりと立ち上がり、後ろに手を組み、整列した兵士に大声で命令を下す。


「弾丸装填!」


 整列した死んだ魚の様な目をした兵士達は慣れた手付きで一斉にボルトを引き、薬莢が排出すると、そしてすぐに銃弾を装填する。


「照準構え!!」


 そう大佐に言われた兵士は獣人に向かって銃口を向ける。

 獣人達は死を覚悟したのか落ち着いている者もいたが、やはり大半は死ぬのを怖がる者、助けてくれと懇願し叫んでいる。

 だが大佐はその光景に不気味で変態的な笑みを浮かべる。

 そしてザンメルンはゆっくりと腕を上げ、そして勢い良く腕を振り落とした。


「………撃て(フォイヤー)!」


 大佐の声に兵士は一斉に引き金を引き、1人ずつ発砲する。

 弾は全て彼らに命中し、獣人はその場で多量の血を流しながらぐにゃっと力が抜けたかの様にその場に倒れる。

 そして再び銃弾を装填し、その横の獣人、その横の横の獣人と、左から右へと獣人達を次々射殺していく。

 そして最後の獣人を殺した後、大佐はその光景に拍手を送る。


「素晴らしい!実に素晴らしい!!やはり銃殺刑という名のコンサートは素晴らしい。この音を聴く事も観る事も飽きないな!」


 すると突然、一人の獣人が多量の血を流しながらゆっくりと立ち上がり、近くのザンメルンに襲いかかる。


「いけない!今すぐに大佐を守れ!!」


 側近や他の兵士はザンメルンに向かう獣人に銃口を向けようとするか、動き素早くなり、間に合わない。

 だがザンメルンは溜め息を吐き、その右手で獣人の胸ぐらを掴み、左手で獣人の服の袖を掴む。

 そしてザンメルンは掴んだまま後ろを向き、その獣人を投げ飛ばす。

 獣人は投げ飛ばされ、受け身を取らず背中と後頭部をを強く打つ。

 ザンメルンはすぐに腰に着けたホルスターから自動拳銃を取り出し、すぐに銃口を獣人の口の中に入れると、引き金を引いて何度も口腔内に発砲した。

 獣人の返り血が地面やザンメルンに付き、地獄のような光景が広がる。

 その光景を見た周りの兵士達は拍手喝采でザンメルンの行動に驚いた。


「す、すみません!私が殺し損ねたばかりに………」


 一人の射手がそう言って頭を下げる。

 ザンメルンは無表情で射手の頭を掴む。


「貴様がもし戦場で外せば、死ぬと思え。今回は赦してやる………」

「は、はい!ありがとうございます」


 そしてザンメルンは胸ポケットから煙草を取り出し、一服する。

 するとザンメルンは側近に指示をする。


「もう面倒臭いからそいつらは一斉に魔法で殺せ。もちろん魔力は残存しておけよ!」

「了解しました!!」


 兵士達は所持していたライフルを肩にかけ、そして獣人に掌を向ける。

 獣人達はそのエルフの行動に怖がり、後退りするが、後ろは壁であり、彼らは逃げる事は出来ない。

 兵士達は嘲笑いながら、短い呪文を唱える。


「「「衝撃電圧(シュトロームショック)!!」」」


 その瞬間、青白く眩しい電撃がその場に居た獣人達を襲う。

 獣人達は強い電撃によって叫び、もがき、そして苦しんだ。

 ザンメルンは背を向けながらその声を聞くと、彼は高らかに笑いながら去っていく。

 その阿鼻叫喚の光景には他のエルフの住人達が失神したり、吐き気を催すものだった。

 このハルシュタットでの獣人虐殺は獣人とエルフの間に大きな軋轢を生み出す原因となるが、それはまだ後のことである。

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