【超短編】別れた彼からの結婚式招待状
懐かしいダ・カーポの名曲『結婚するって本当ですか』に着想を得て書きました。
しとしとと雨の降る朝、半年前に別れた彼から手紙が届いた。
こんど結婚することになった、と書いてあった。
私の目から思わず涙がこぼれた。もうとっくに諦めていたはずだったのに。
ささいなことで別れてしまったけれど、本当は仲直りしたかった。
意地を張らずに、私のほうから謝ればよかった。でも、もう遅すぎる。
彼の幸福を祈ってあげよう。それでも溢れる涙は止まらない……
一週間後の晴れた朝、彼から結婚式と披露宴への招待状が届いた。
花嫁は私と同じ名前の人だった。偶然というのもあるものね。
不思議に思いながら、私は同封されていた手紙を読んだ。
「きみをぼくの花嫁として、結婚式と披露宴に招待します。必ず来てほしい。
ぼくと結婚してください」
私の目から、また涙がこぼれた。溢れる涙は止まらなかった。
たまにはこういうのも、いいものですね。
(追記:書き終えてから、たまたま「昭和の日企画」という企画を見つけ、今日は昭和の日だし、もとになったダ・カーポの歌も昭和だし、手紙なんてのも昭和だから、企画に参加することにしました)