ご飯
「姫プーただいま!」と花沢草太がこの部屋に帰ってきたとき姫プーはパニックでグルグル部屋を駆け回っていました。
「どうしたどうした?」
「あ、俺がいなくなったんで寂しくっなっちゃったんだな?」
「ははは」
ちがーうっ
パンツ!
うっかりパンツの上に座わりそうになっちゃったのぉおっ
「ギャワワワワン」
「よしよし」と言って草太は姫プーを抱き上げ頭をなでました
「ギャン」
これは草太の声
姫プーに手を噛まれた草太の
「いてててて、姫プーは凶暴だな」
「うん、そういうところもカワイイ」
「まあいいから飯を食え」
「おばちゃんちポチのドッグフードとトイレ用の段ポールもらってきた」
草太は縁のかけたお皿にドッグフードを入れて姫プーに差し出しました
クンクンと姫プーは匂いをカギました
やだぁこのドッグフード変な匂いがする
絶対安い原料使ってる
あと保存料も入ってる
ふん、こんなの食べられないわ
って言うかその前にこのお皿がダメ
ブイッ
「ん、姫プーなんで食わないの?」
草太の問いかけに知らんぷりしている姫プーでした
よーするにこのドッグフードが気に入らないわけだな
こいつグルメっぽいもんな…
「チッ、しょうがないな」
「いい餌買ってくる」
そう言って出ていった草太を見送って姫プーは思いました
驚いた
あの人舌打ちしたわ
実在するのねぇ
あんな品のない人
そして姫プーは好きだった人のことを思い出しました
彼が着ていた仕立てのいいスーツとかビカビカに磨かれていた靴とかきちっとセットされた髪型とかを
あの人は絶対舌打ちなんかしなかった
いつでも優しくて紳士的だった…
姫プーがしんみりしているところに草太は帰ってきました
「姫プー、缶詰買ってきた一個890円の高級品だぞっ」
「これなら食えるだろっ?」
草太は缶詰を開けて姫プーに差し出しました
クンクン
まあ…食べられなくわないわね
でも、そこまで高級品じゃないわよ?
だいたい本物の高級品には高級なんて書いてないんだから
ぐうぅ〜
ん?
なんの音?
ぐうぅ〜
あら、花沢くんのお腹の音…
お腹空いてるの?
あなたも何かお食べなさいよ
「きゃんきゃん」
「や、それが手持ち千円しかなくってさ、それで姫プーの缶詰買っちゃったから…」
「890円に消費税プラスして961円」
「残り39円しかなくて自分の飯買えなかった〜」
え…
貧乏すぎる!
この人どういう素性の人なの?
っていうかバカなの?
お金の使い方の配分がわからないのね…
バカってなんか可愛そうね