秋雨
秋の初め、何日か雨の続いた日の夜のこと
「キャフッ」
姫プーはくしゃみをしました
うー風邪引いたかしら
ここのところ急に涼しくなったから
洗濯物にくるまって暖を取ろうとしましたが、天気が悪く洗濯物は部屋に何日か分つる下げたままで洗濯物の山はできていません
ふう、しょうがないわ
イヤだけど花沢くんの膝に入って暖を取ろうっと
姫プーはパソコンで内職をしている草太の膝の上に乗ろうとしましたが、珍しく集中している草太を見てやめました
締め切り今日の12時までって言ってたもんね
最近仕事してなくて久々に入った内職だって言ってたから…
財布小銭しか入ってないって言ってたから切羽詰まってるのよね
この人ってどうしてこうなのかしら…
そんなこと考えながら姫プーは畳の上で寝てしまいました
「ふう、ぎりぎり間に合った!」
草太がデータをクライアントに送信したのは12時5分前でした
「あ、ごめんごめん姫プーに布団引いてやるの忘れてた〜」
「…姫プー?」
あれ、おかしいなと草太は思いました
いつもなら遅いっと言って悪態をつく姫プーです
「姫プー?」
そう言って姫プーを草太は抱き上げましたが、姫プーは呼びかけに応えずぐったりしています
なんか熱い…
それに噛み付いて来ないっ!
わっ
姫プー病気だ!
「姫プーしっかりしろっ、今病院に連れて行ってやるから!」
そう言って草太はズボンのポケットから財布を取り出しました
所持金を確かめたら900円ちょっとしかありません
あ…
どうしようこれじゃあとても病院につれていけない
途方にくれた草太の頭にチラと前にもらった名刺のことがよぎりました
真帆子さんにもらった名刺…
確か捨てずに取ってあったはず
あっ、あった
財布の札入れのレシートの束の中から草太は真帆子さんの名刺を見つけ出しました
裏を見て地図を確認すると、草太は真夜中の街に姫プーを抱いて飛び出して行きました




