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第伍話 《消えてしまった深谷龍馬》

《消えてしまった深谷龍馬》



いつからだろう。

私が、彼の事を好きになって。

彼が死んだことに、泣かなくなってしまったのは。


二千二十一年、一二月二十四日。

その日、私は職場のクリスマス会に参加していた。

「この後、一緒にご飯でも……」

『いいや、今日は帰って寝る』

「そっか……」

電話先の静かな音に、彼のか細い声。

私はその声を、もっと聴いていたかった。


それから、私が彼の死を知ったのは少し後の事だった。


二千二十一年、十二月二十六日。

「おはようございます」

「おっ!秋穗ちゃん!」

「お……おはようございます……逢坂先生」

私が椅子に腰掛けると、相変わらず怒涛の逢坂ラッシュが襲い掛かる。

「ねえねえ秋穗ちゃん!昨日は大丈夫だった?」

クリスマス会の後、私はやけになって二次会、三次会と飲みまくった。

そして昨日、二日酔いで全く動けなかった……ああ、情けないなぁ。

「はい、なんとか」

「いやぁ!俺心配だったんだよ!」

「はあ……」


そして、突然の事だった。


「聞いてよ秋穗ちゃん!昨日俺帰りに少し立花駅に寄ったんだけどさ……人身事故があったらしいんだよ!」

「……へえ」

私は苦笑いを逢坂に向ける。

「……まさかの秋穗ちゃん怖い感じ?」

「なっ!怖くないです!」

「じゃあ話続けるよ?」

「ええ、どうぞ」


聞かない方が良かったのかもしれない。


「それでね、これ見てよ!」

彼が見せたのは、一枚の新聞。

そこに写っていたのは、人身事故にあった被害者の名前だった。

「こいつさ!秋穗ちゃんと同い年なの!俺最初この歳だけみてビビっちゃってさ!」


深谷龍馬 (二十二歳)


「……え?」

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