表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/29

第拾漆話 《俺は。》

《俺は。》



「……これが、真実だよ」

「お前……」

俺にしか出来ない。俺にしか救えない。

重圧が、手の震えをまた呼び戻す。

「……朔夜ってのは、誰なんだ?」

「僕にもそれは分からない。でも君を殺したのはきっと……」

「……じゃあもう一つ。俺には何か特殊な力があるのか?世界を救うには、深谷龍馬が朔夜を殺すしかないんだろ?」

「そうだね、でも君に特殊的な力があるかと聞かれると……それも分からないんだ」

「……何か思い出せないか?」

「…………ごめん」

何も分からない。

まるで砂漠の砂から、それを掴み取るように。

「それでも、君しかいないんだ……頼む」

「……このまま朔夜を殺せなければ、この世界は滅亡するのか」

「ああ」

「期限は今年のクリスマスイヴまで、しかし朔夜の正体は分からない」

「ああ」

「……俺にしか、出来ないことなのか」


「ああ」


奴の顔からは、あの怪しげな笑みは消えていた。

ただ目の前のその一人に、必死に懇願するように。

世界を救ってくれ、と。


「なあ、最後に一つ聞いていいか?」

「……なんだい?」

「もし朔夜を殺せたとして、世界を救えたとしてだ」

「うん」

「お前は、どうなるんだ?」

「……死ぬよ」


そこで、俺の意識は途絶えた。

最後に見えた奴の表情が、ただ脳裏に刻まれていた。


目が覚めると、そこは自分の部屋だった。

荷物も全て部屋に移動されていて、まるで何もなかったかのように思えた。

ただ、何も変わってないわけじゃない。


俺は、高梨龍太じゃない。


深谷龍馬だ。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ