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ようやく出られそうですね
「ああ、やっとこの森からも出られそうですね」
あれから青年は更にまた10分ほど歩き、この景色映えしない森にやや飽きかけていた矢先、前方に開けた場所があるのが見えたのだ。
青年は、にこやかに森の出口であろう場所に向かい歩みを早めた。
「これでようやく──」
──言い切る前に、にこやかな顔のままやや引きつった表情のままで固まる青年がいた。
彼の目の前に広がっていたのは、先程まで散々迷っていた“神秘の森”の入り口だったのだ。
「こ……これは……」
青年は、膝をついてがっくりと項垂れた。
「ま、まあ今回はたまたま遠回りしてお散歩してきたということで……はは……」
それから青年が立ち直るまで、およそ30分ほどかかったという……。
「……さあ、気を取り直して、とりあえず宿屋で休みましょうか……」
青年はひとまず、宿屋で疲れた心身を休めることにした。