第七話 知り合い(?)に再会しました
亀更新ですみません。
皆様、大変ご無沙汰してます。
子ウサギリーナです。
今日はパパンと兄ちゃんズと一緒にカテドラルデビューです。
獣人界では、女の子は3歳、男の子は7歳になると目上の異性の家族を伴って竜神を祭ってあるカテドラルに行くのです。
そこで洗礼を受け、洗礼名を貰い、自分がどの魔属性かを聞いてから神官さん達の手作りのお菓子を貰って帰るのです。
そうです!何と!獣人はみな魔法が使えるらしいのです!!
…と、ちょっと興奮しちゃいましたが、この儀式は日本で言うところの七五三に近い…かな?
姉ちゃんズがカテドラルデビューをした時、私はママンとお留守番してたと思う。何せ生まれたてだもん!
「リーナたぁ~ん、お出かけの用意は出来まちたかぁ~?」
………これ、実はインドライオンのパパンです。
私はもう立派に幼稚園デビューを果たしているのに、いまだに赤ちゃん言葉で話しかけてくるパパン。
はっきり言って子供馬鹿です!しかも妻溺愛主義です!だけど、イケメンでライオンです!
「おとーたま、おまたちぇちまちた(訳:お父様、お待たせしました)」
「リーナたん可愛いっ!」
ひょい
ぎゅうーーーーーっ
カテドラルデビューの正装はいつもの洋装とは違います。デザイン的には袴姿に似てる…かな?
薄い黄緑色の着物に、オレンジ色の胸から穿くヒダヒダロングキュロットスカート。これでポッコリお腹も隠せます。
いやいや。今はそんな事よりも!私の約3倍の身長のパパンに行き成り縦抱っこされるのは絶叫系アトラクションの急上昇と似ています。
前世も今世も高所恐怖症じゃないけれど、もっとゆっくり持ち上げてくれないかなぁ。胃袋に軽く『G』がかかったと思うぞ?
って!そんなにぎゅうぎゅうしたら、パパンの一張羅にリバースするって!
「リーナたん可愛い過ぎるぅっ!竜神様はともかく、神官のヤツラに見せるの惜しくなっちゃうよぉ~」
「とーたま、くるちい」
ライオンの力半端ないです。流石百獣の王!
リバースどころか、もう少しで三途の川が見え……って、ここは異世界だった!三途の川ってあるのかな?
う……今世はどうやらライオン男に絞殺されるようです。それなら今度はどの世界に転生するのだろう。私。
***********
パチ
「……あ、わたちまだいきてりゅ(訳:あ、私まだ生きてる)」
ここは何処?見たこともない壁、さらっとした手触りのシーツ、ほのかに香る甘い匂い。
「「「リーナぁ~っ!良かったぁっ!!」」」
「リーナたぁ~んっ!ごめんよぉっ!」
突然視界に広がる美少年ズと美中年(見た目は美青年)。
あれ?パパンの口の端が切れてる……ような。
コンコン
ガチャ
「カチェリーナ様、気が付かれましたか?大司教様がお呼びです。私と共に来て下さい」
この耳は……狸さん?な白いズルズルを着たおにーさんがノックと同時にドアを開けて入ってきた。
緑の髪にまぁるいお耳。ふさふさのおっきな尻尾がとおてもラブリーです。
カテドラルの神官さんは皆変わった色の髪をしているらしい。緑とか桃色とか青色とか……まるでどっかのロックバンドじゃん。
そんで、あの白いズルズルが制服とすると………どうやら、私は気を失ったままカテドラルの中に入れられたらしい。
「リーナ、いよいよだね?」
「頑張ってこいよ?」
「俺達向こうで待ってるから」
「ううっ…リーナたぁ~んっ!」
涙目のパパンと兄ちゃんズに見送られ、ベッドから降りた私は狸男さんの後に続いて部屋を出た。
大理石で作られているのだろう、この建物は壁も床もピッカピカのつるっつる!
それにしても、袴姿の幼児と白いマントローブ姿の青年って組み合わせって変でないかい?
ってか、さっきからこの狸にーさん黙ったまんまなんだけど?
長いコンパスでスタスタ歩く狸さんの後をテケテケと追いかける私。
くっそ~っ!この世界の男って皆腰の位置が高過ぎっ!
ちなみに、ぽってりお腹の我が家のコックさんだって脚がめっちゃ長いのだ。
「ああ。失礼しました」
「へ?」
ひょい
突然ボソボソと何か言ったと思ったら、目線が高くなった。
え?何で抱っこするの?
「くすくす……最初からこうすれば良かったのですが、近衛隊長殿の御噂は聖堂内でも有名でして」
「???」
「くすくす……ああ、あの方のお気持ちもわかりますね。こんなに可愛らしいお嬢様ならさぞかし心配でしょう」
さっきまで無表情だったのに、縦抱っこした途端に饒舌になる狸にーさん。しかもスマイル0円付き!!
パパンより若くて兄ちゃんズより年上の男性に触れられるのも話しかけられるのも、実は初めてだったりする。
しかもこんな優男系イケメンを間近で見下ろすなんて……!
「///////あっ…あのっ」
「おや?頬が薔薇色に染まってますよカチェリーナ様?ああ、申し遅れました。私は神官レフと申します。以後お見知りおきを」
「れふしゃん?」
「はい。カチェリーナ様」
………神官レフ殿、もし現代世界に転生されたら就職先は是非マ〇ドナ〇ドへ!!
********
「大司教様、カチェリーナ様をお連れしました」
「レフ、ご苦労であった。下がるがよい」
「御意」
あ~~っ!イケメンスマイル狸さんが去っていくぅ~~っ!
あのでっかい尻尾、一度モフらせて貰いたかったなぁ……。
で、今私の目の前には白壁…もとい…真っ白な御衣裳の、恐らく大司教様がいらっしゃるのだ。
これから“洗礼”とやらが始まるのだろう。
あ……何か緊張して来た。
思わず目の前の人物を見上げ、緊張を解す為にお耳を観察させて頂く。
ん?黒?しかも真ん丸………もしかして“向こう”では世界的に有名なあのネズミさん?……まさかね?
黒くて丸い耳、尻尾はこっちからは見えないって事は小さい尻尾だよね?
熊さんかな?ヒグマ、月の輪熊、えっと、それから………
「ぱんだしゃん……」
「ご名答!さすがはお嬢!今、あっしは熊猫人でございやす」
「ぱんだしゃん、なんかしゃっきとことばがちがう…」
「あっしですよ!お嬢!……っち!このナリじゃやっぱわかんねーか。あっしですよ!柴犬のゴンタっすよ!」
「へ?もちかちて、ちばいにゅのごんた?(訳:へ?もしかして、柴犬のゴンタ?)
バタンッ
ドタドタドタ
「狡い大司教様ばっかり!ご主人様!あたしみーこです!ラグドールのみーこ!」
「俺、ジャンガリアンハムスターのマメ助!」
「……わしゃニホンイシガメの源蔵」
「私はハリネズミのモーコですわ」
青色、緑、紫、蛍光ピンクの髪の毛の集団が突然ドカドカと入ってきたかと思ったら……何で“向こう”の家族が“ここ”で集結する?
ご愛読ありがとうございましたm(_ _)m