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第六話 現代人?と会っちゃいました

皆様、大分ご無沙汰してます。

子ウサギリーナです。

幼稚園から帰って来てお部屋で園服を着替えようとしたら………黒髪黒目のお姉さんが真っ黒なトカゲさんと一緒におねんねしてました。

身長は…多分150cmちょっとの小柄なお姉さんは、ショートボブの髪型でブルーグレーのスーツを着ています。


「もしもし?」

「ん……むにゃ……隠し扉の見つけ方が……」

「もしも~し?」

「前半重要アイテムは………無限の回廊にあるサークレット……」


何ぃ?

今思わずお耳も立っちゃいました!!

無限の回廊のサークレット……それは、私が生前こよなく愛していたあのスンバラシイRPG『暁の聖域サンクチュアリ』に出てくる重要アイテムの事じゃあ~りませんかっ!!

こっ…これは間違いないっ!このお姉さんは現代人で異世界トリップなされたのだ!


ゆっさゆっさ


「おきてくだしゃいおねーたん」

「ん?」

「わたしにおちえてくだしゃい!」

「むにゃ……」

「しゃーくりぇっとはかいりょうのどこにあるんでちゅか(訳:サークレットは回廊の何処にあるんですか)?」


パチ…

ガバッ


「右翼通路を守っているパンツァーを倒したら暫く待つと“彼の本当の姿”が現れます。

その時に話しかけ、アイオライトを見せましょう。

そうすると面白い変化が………ってこんな感じでどうでしょうか?あまりネタをばらし過ぎるとプレイヤーの楽しみも減ってしまいますよね、編集長?

……って!あれ?ここは………何処?」

「ここはじゅうじんかいでしゅ」

「貴方は?って!うわっ!めっちゃ可愛いっ!縫い包み……じゃあないよね?」

「リーナともうしましゅ。で、あの、パンツァーってどうやってもたおちぇなかったんでしゅが(訳:パンツァーってどうやっても倒せなかったんですが)………」

「う~ん。あんまり教えちゃうとアレだし………って!おいこら!使役妖精の分際であるじよりぐーすか寝こけてるヤツがいるかーーーーーーーーっ!」


ポカッ


「むにゃ……ってぇな!何すんだよっ!」

「煩い!もとはと言えばアンタが座標を間違えたから獣人界に来ちゃったじゃない!」


黒トカゲさんと言い争いを始めたお姉さん。

使役妖精?座標?

このお姉さんは異世界トリップした現代人じゃないの?


「あの………」

「何?」

「なんとりっぱな」

「平城京!」

「なくようぐいしゅ」

「平安京」

「ひとよひとよに」

「ひとみごろ……って!ウサギのお嬢ちゃん、貴方、何でソレ知ってるの?」

「おねーたんこしょ、いしぇかいとりっぷしゃれたげんだいじんじゃないんでしゅか?(訳:お姉さんこそ、異世界トリップされた現代人じゃないんですか?)」


現代人、それも、日本人なら誰でも知ってる言葉合わせ。

それをパーフェクトに答えられるって事は間違いなく……だよね?

それに、このお姉さん、よく見るとビジネス鞄を持ってるし………


「あの……じつはわたし、もとげんだいじん?なんでしゅ」

「へ?」

「どうぶちゅえんのじゅういをしてたんでしゅけど、くましゃんにだきりゅかりぇてしょのままあたまうってしんだんでしゅ。で、しょのあと、じゅうじんかいにうまれかわったんでしゅ(訳:動物園の獣医をしてたんですけど、熊さんに抱き着かれてそのまま頭打って死んだんです。で、その後、獣人界に生まれ変わったんです)」

「……なるほど。そう言う事か。じゃあ、ここってもしかして貴方のお部屋?」

「そうれしゅ」

「うわっ!勝手に入ってしかも勝手にベッドに寝ちゃってごめんね!お詫びにさっきの『あかサン』の前半重要シーンを見せてあげる!

ヴィー、アレ、出して!」

「ったく!仕方ねーな。おい、ウサギの嬢ちゃん、駄賃替わりで悪いがこれで許せな?」


ボンッ


「あ!くろいとかげしゃんがくろいおにーしゃんになった」


褐色の肌でちょっとイケメンのお兄さんは推定年齢大学生くらい?

ちょっと悪キャラなのが良いかも。


「トカゲじゃねーっ!黒龍だっ!」

「ヴィー、いいから早く!!」


パチン


「あ!!ぷれすてぇーーーーーーーーーーーっ!えきしょうてれびもあるっ!」


黒龍のお兄さんが指を鳴らすと出てきたのは懐かしい電化製品で……。

思わず雄叫びをあげる私。

するとお姉さんは慣れた手つきでコードを繋ぎゲームの準備を始めた。


「次元ポケットに入れて持ってきたのよ。ただ、取り出すのが面倒っちーんだけどね?

さて…と、コードを接続してメモリカードを入れて…っと!」

「おねえしゃん、ここ、でんきないでしゅ」


そうなの。ここって電気という概念が一切ないの。

生活様式は中世ヨーロッパって感じかな?

だけど、そんな事は百も承知とばかりにお姉さんはニカっと笑って。


「ノープロブレム!だって、私、ザルネン村の魔導師だもん」

「へ?」

「あ……そっか。こことはちょこっと離れてるかな?人間界と妖精界が隣接している王都リーグニッツェンってわかる?」

「えほんでおべんきょうしまちた。おうとをちゅうしんに『ようせいかい』『こんちゅうかい』『ぎょじんかい』があって、『こんちゅうかい』のとなりに『じゅうじんかい』があるんでしゅよね?(訳:王都を中心に『妖精界』『昆虫界』『魚人界』があって『昆虫界』の隣に『獣人界』があるんですよね?」

「そ。で、私はそこの大魔導師見習いなの。だから、ちょちょいっと魔法で…ね?それじゃ、始めるわよ?」



************



「ありがとうごじゃいましゅ!げんだいしぇかいでのこころのこりがこれでなくなったでしゅ(訳:ありがとうございます!!現代世界での心残りがこれで無くなったです!)」

「いえいえ。どういたしまして。可愛いお耳の子ウサギちゃん」

「カチェリーナでしゅ。リーナとよんでくだしゃい」

「私は“向こう”では水沢 万蘭。“こっち”ではディアマンテ。リンかディア、どちらでも良いよ?ちなみに雑誌『GAME MATE』のライターをやってます」

「しょのざっしちってまちゅ!!あいどくちてまちた!(訳:その雑誌知ってます!愛読してました!)」

「あら、嬉しいねぇ~~。こんなんになっても発行してきた甲斐があったってもんよ」


おや?よく見ればディアさん、目の下にクマさんが……それに、顔色も悪そう…。

お仕事大変なんだなぁ……。


「あの……わたし、にっちゅうはようちえんにいましゅから、このおへやでよかったらいつでもちゅかってくだしゃい(訳:私、日中は幼稚園にいますから、このお部屋でよかったらいつでも使って下さい)」

「え?」

「でぃあしゃん、めのしたくましゃんできてましゅ。おちゅかれじゃないんでしゅか?(訳:ディアさん、目の下クマさん出来てます。お疲れじゃないんですか?)

わたしも、しぇいじぇんははーどわーくで、ほとんどしゅいみんがとれまちぇんでちたから……(訳:私も、生前はハードワークで、殆ど睡眠がとれませんでしたから……)」

「リーナちゃん……」

「あ、でも、けっかいとぼうおんまほう?はおねがいちまちゅね(訳:結界と防音魔法?はお願いしますね)?」

「うん。勿論よ」

「それじゃ、わたし、きがえてだいにんぐにいかないと。それに、もうしゅぐにーたまたちかえってきましゅので(訳:それじゃ、私、着替えてダイニングに行かないと。それにもうすぐ兄様達帰ってきますので)…。

あの、また、げーむ、おちえてくだしゃい。その……こんどは『はるかなるえるどらど』を(訳:あの、また、ゲーム、教えて下さい。その…今度は『遥かなる黄金郷エルドラド』を)」

「OK!これが休憩料金なら安いもんよ!もしかして、アレもクリア出来ないうちに死んじゃったの?」

「あい」


そうなんです。もうちょっとでエンディングってところで、休みの前の日にクマに抱き着かれました。ハイ。

……多分私のお耳も気持ちと一緒にへにょんとしているだろう……


「そっか。じゃあ、コレあげる」


そう言ってディアさんが鞄の中から取り出し、私に手渡してくれたのは………


「はるえるふぁんぶっくかっここうりゃくほうつきかっことじる<訳:はるエルファンブック(攻略法付き)>だぁっ!ありがとう!ディアしゃん!!」


私の宝物にしますっ!擦り切れてボロボロになるまで愛読しますっ!!

『GAME MATE』万歳っ!K出版よ永遠なれ!

“向こう”でも大変貴重であろう本を抱っこして、思わず満面の笑みでお礼を言う私。


ガバッ

ぎゅう


「っ可愛いすぎぃーーーーーーーーーーーーーーーっ!ヴィー、この子持って帰っちゃ駄目かな?」

「………俺じゃなくて竜神に聞け」


ディアさんがぎゅうぎゅうしながら私のほっぺにスリスリし出した。

って、おーーーーーい。黒龍のお兄さん、お持ち帰りされる前にご主人様を止めてぇ~っ!



いつもご愛読、ありがとうございます(*^_^*)

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