第三話 青い目のリトルバニーちゃん
みなさまこんにちは。リーナです。只今3歳です。
トイレトレーニングもクリアし、食事もちゃんと一人前に出来ますよ?
勿論立って歩く事も出来ますし、走れます。スキップだって楽勝です!
そんな私は、お気に入りのスカイブルーのワンピを着て、生まれて初めて鏡で自分の姿を見ています。
「……バニーしゃん……」
頭からにょきにょき伸びた長い耳。どこぞの人形のような青い瞳。薄茶色で日に透ければキラキラ~で柔らか目な髪の毛はまだ肩くらい。
くるっと後を向いて振り返ったら……
「……ち(し)っぽがありゅ……」
そうです。丸くてモコモコの真っ白な尻尾が服から除いているではありませんかっ!!
ってか、この世界の服って男女必ず尻尾を出す穴が開いているのよね。
赤ちゃんのロンパースにもついていたらしい。
ウサ耳をつけてロンパースを着てお尻に真ん丸モコモコ尻尾をつけてハイハイする赤ちゃん……。
「……なんか(何か)もえ(萌え)りゅ……」
両手を頬にあてて思わず悶える私。
どうりで皆してニコニコしながら追いかけてくる筈だよ。
私も是非見たかった!!……なんて思っていると行き成り身体が宙を浮いた。
「うりゅ?」
「何?その可愛すぎる反応!」
「あ!にこらいにーたま、おかえりなしゃい」
「ただいまリーナ」
いつの間に中等部から帰って来たのか、長兄のニコライ兄ちゃんが私を抱っこしていた。
私はいつものように彼のほっぺにちゅっとキスをする。そしてその後はいつものように…
「はい。次は俺ね?ただいまリーナ」
「おれぐにーたまも、おかえりなしゃい(ちゅ)」
横から奪い取るようにオレグ兄ちゃんが私を抱っこした。同じように挨拶をかえした後に彼のほっぺにもキスをする。
そして
「最後は俺の番♪ただいまリーナ」
「ぱーびゅえりゅ…ごめんちゃいにーたま。またまちがっちゃったでしゅ」
「あははは…いいよリーナ。それより俺には?」
「おかえりなしゃい(ちゅ)」
私がキスをした後、兄ちゃんズは尻尾をパタパタして喜びの表現をする。
……犬の習性ってどこの世界でも同じなのね……
私はそんな彼らを可愛いなぁ~なんて思いながら、毎日笑顔を浮かべてお出迎えしている。
「ね、リーナ。鏡の前で何してたの?」
「何かぶつぶつ言ってたよね?」
「自分の姿をじぃ~っと見てたけど、どう思ったの?」
パーヴェル兄ちゃんにまだ抱っこされたままの私。そんな私に兄ちゃんズはそれぞれ質問してくる。
「//////のじょきみはだめでしゅ(訳:覗き見は駄目です)///////」
「だってリーナがいつものところにいなかったから」
「俺らが探し回るの当然だろ?」
「リビングにもお前の部屋にもいなかったから心配したんだよ?」
一つ言うと三倍になって帰ってくるんだよ。
それにしてもリビングにも部屋にもいなかったからって……ちょっと心配しすぎじゃね?
「にーたまたち、ち(し)んぱいちちゅぎでしゅ(訳:兄様達、心配し過ぎです)」
「「「それはないよ」」」
出たな?兄ちゃんズお得意の調和!
一言一句乱れないってのが凄いよ。そう言えば現在初等部1年目の姉ちゃんズもこの技を習得してるんだよね……
「俺達はね?リーナがまだハイハイしてた頃の事が忘れられないんだ」
「そうそう。家中の人間総出で探し回ったよなぁ~」
「俺達の部屋の本棚をよじ登ってた時は心臓が止まるかとおもったよ」
遠い目をして語るパーヴェル兄ちゃんに、うんうんと頷く長兄と次兄。
そして私はいつの間にかオレグ兄ちゃんに抱っこされていて……
「だけどさ、本棚をよじ登るリーナ、すげえ可愛かったよなぁ~」
「ああ。俺、思わず本棚押えながら自分の鼻も押えたよ」
「本と棚を抑えながら三人がかりでリーナを下ろしたんだっけ?」
ダイニングへと移動しながら楽しそうに昔語りをする兄ちゃんズ。
……ええ。覚えてますとも!確か、つかまり立ちをクリアした日だったんですよね。
ダイニングのイスに私を座らせると、恒例のナデナデが始まった。
「……にーたまたち、ごめんちゃい」
私はぺこりと頭を下げる。おそらく私の耳も“謝罪”している事だろう……
「いいよいいよ。“可愛いリーナ”を見せて貰ったんだから」
「でもさ、リーナのこの耳、俺すっげえ好き!」
「赤ちゃんの頃からそうだよね。落ち込んでる時とか反省している時にへにょん…って折れちゃうの」
猿人のラリサが私にホットミルクを、兄ちゃんズにホットカフェオレを入れてくれた。
……この世界の食卓事情は現世とあまり変わらないらしい。草食系だからと言って草ばかり食べていないし、肉食系も野菜や果物を食べる。
飲み物だってジュースもあれば珈琲・紅茶・緑茶にウーロン茶まであるのだ。
お酒だって何種類かあるらしい。
私は専用のマグカップに入れて貰った砂糖入りミルクをふぅふぅと冷ましてから一口飲む。
うん。甘さ加減と良い、熱さと良い、三歳児の私に丁度良い!
「らりちゃ、あいがとーでしゅ(訳:ラリサ、ありがとうです)」
「くすくすくす……カチェリーナ様、どういたしまして。ほら、坊ちゃま方も早く着替えてきて下さいな」
「「「はい」」」
兄ちゃんズは良いお返事をするとダイニングを出て行ったのだが……
『『リーナちゃ~ん。ただいまぁ~♪』』
姉ちゃんズの声が聞こえてきたので、苦笑しているラリサにイスから降ろしてもらうと、彼女達を出迎える為に玄関へと急いだのだった。
書いてて作者も思わず想像して悶えました。
ロンパースを着てハイハイする、もこもこ尻尾をふりふりしながらぴょこぴょこお耳の0歳児……たまんないっす!!