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第二話 ウサギはすばしっこいです

リーナ0歳、やんちゃなお年頃♪

「リーナ様ぁ~?」

「またお部屋から抜け出してしまったの?」

「見た目によらず案外活発なのよねぇ」


皆様こんにちは。ウサギ人のカチェリーナです。リーナと呼んでください(ぺこり)

私、ただ今絶賛ハイハイ中です。

寝返りを早々にクリアした私は、漸く自分の寝かされてる部屋がどういう間取りなのか調べる事が出来たのだ。

天井からぶら下がったシャンデリア、そして大きな暖炉、脚の長いイスとテーブル。本棚。

……中世ヨーロッパの貴族の部屋ってこんな感じかな……


寝返りの後の目標はハイハイとつかまり立ち!

これさえ出来ればこのだだっ広いお部屋を探索出来るのだ!


私はウサギの敏捷なところを利用してベッドから降りる(人間の赤ちゃんには絶対に真似させないで下さい!危険です!!)と、まずは本棚を物色し始めた。

って言っても赤ちゃんだから、物色って言っても…


ポイポイポイポイ…


「リーナ様!ダメですよ!本はおもたいんです!」


背表紙をつかんで放り投げるしか出来なかった……ぐすん。

そんな私を止めたのは私専属メイドとして新しく雇われたキリン人のノンナだ。

私と同じ草食系だからか、何故か彼女には初対面から懐いたらしい。


「ご本に興味がおありでしたら、このノンナが読んで差し上げますわ」


そう言うとノンナは私をお膝に抱っこして絵本を読み始めたのだが…


ぐぅーーーーーーーーーーzzzz


ノンナの声は恐ろしく催眠効果があった。

そんなこんなで自分の部屋をあらかた探索し終えた私は次のターゲットを探すべく旅に出たのだった。……が


「リーナ。み~ちゅけた♪」

「おままごとのじかんでちゅよ♪」


お姉さまズに見つかってしまった。

現在3歳の猫幼女であるクリス姉様とシア姉さまは二人がかりで0歳児の私を持ち上げるとご自分たちのお部屋を目指して歩き出した。


「んしょんしょ…ふう…なかなかたいへんでちゅわ」

「そうね。リーナはおもたくなりまちたわ」


失礼な…。赤ちゃんでは標準体重ですっ!!

まるで怪我人のように上半身と下半身を持って運ばれてる私。(耳を持たれてないだけマシかもしれない…)

落とされてはたまらん!…と、ひたすら大人しくしていたのだが…


「カチェリーナ♪会いに来たよ」

「びえええええええええっ!」


留学先から帰国したばかりという虎人の第二王子が表れたのだ。

予期せぬ来訪者を見た途端に、猫幼女ズの手から逃れると同時にくるりと回転し、腹這いになって高速スピードでハイハイし出す私。


「まいったなぁ。僕はカチェリーナを抱っこしたいだけなんだけど」

「いいかげんこわがられてるってりかいちまちょうね?(訳:いい加減怖がられてるって理解しましょうね?)」

「だいじょうぶでちゅわ。アレクちゃまもリーナににげられてるち?(訳:大丈夫ですわ。アレク様もリーナに逃げられてるし?)」

「そっか。アレクだけには負けたくないな」

「あたくちはエドちゃまをおうえんちてまちゅわ(訳:わたくしはエド様を応援してますわ)」

「あたくちもでちゅわ。アレクちゃまはらんぼうでちゅもの。やっぱりかわいいいもうとをたくちゅのはやちゃちいおかたにかぎりまちゅわ(訳:わたくしもですわ。アレク様は乱暴ですもの。やっぱり可愛い妹を託すのは優しいお方に限りますわ)」

「どうかんでちゅ。だから、えどちゃま?こりじゅにまたきてくだちゃいね?(訳:同感です。だからエド様?懲りずにまた来てくださいね?)」

「ちょのうち、リーナもえどちゃまをこわがらなくなりまちゅわ(訳:そのうち、リーナもエド様を怖がらなくなりますわ)」

「くすくす…そうかな?」

「ちょうでちゅわ!リーナのでびぅのえちゅこーとにえどちゃまをっておとうちゃまにおねがいちまちょう!(訳:そうですわ!リーナのデビューのエスコートにエド様をってお父様にお願いしましょう!)」

「めいあんでちゅわ!ちょれならいっちょのことえどちゃまがリーナのいいなじゅけってことにちてもらいまちょうよ(訳:名案ですわ!それならいっそのことエド様がリーナの許嫁って事にして貰いましょうよ)」

「御嬢さん方、是非ともお願いするよ」

「「まかちぇてくだちゃいな!!(訳:任せて下さいな!!)」


私が自分の部屋に逃げ帰り、ノンナの腕の中でプルプル震えていた時にそんな恐ろしい会話が姉達と第二王子の間で交わされていた事を、数年後になって知るのであった。

そしてその頃別の部屋では…


「くそっ!あにうえにさきをこされたっ!」

「アレク様、俺達は貴方の味方ですよ?」

「そうそう。男は少々強引な方が良いんですって!」

「リーナは人見知りしているだけですから」

「……そうか?」

「ええ。母上もアレク様のお気持ちはわかってますし?」

「リーナがもう少し大きくなったらアレク様に懐きますよ」

「俺達三人と母上がついているんですから!」

「うん。おれ、がんばる!リーナにはしょうらいおれの“みや”にきてもらいたいから…」

「「「応援してます!!」」」

…ここでも私にとっては有難くない相談がなされていたのだった。


王子達は結婚するとそれぞれ自分の家として“みや”を持つことになってます。

ちなみに、第二王子のエドアルドの宮は『白薔薇宮』で第三王子のアレクセイの宮は『竜胆宮』と呼ばれるようになります。

エドはちなみにスマトラトラです。

リーナのお相手ですが、イヌ科はアレク派。ネコ科はエド派に………(笑)


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