リヒール温泉の効力でお肌スベスベ
「――というわけでアイラさん、焼き菓子をお願いしてもいいかな?」
「はい、救世主様たちのためですもの。喜んで!」
人妻――もといアイラは料理が趣味らしいので、ダメ元で頼んでみたが見事オッケーをもらえた。
ウェーブのかかった茶髪と大きな胸が三十代前半の母性を醸し出していて、ついつい人妻さんと呼んでしまいそうになるが、本人の前では気を付けている。
村長の方はモリスというらしい。
その二人の六歳の娘は、名前を組み合わせた感じでアイリスだ。
(で、その愛の巣である村長の大きめの家にお世話になっている俺とラプンツェルという感じだな)
エイドは今も家族の場であるリビングで、アイラと話している。
何でもすると言われた相手と、こうして二人っきりでいると意識してしまいそうだが、さすがのエイドも空気を読んでいる。
フィクションの寝取りは一つのジャンルとしても確立されているが、実際にしてしまうとシャレにならない。
(アイラさんとアイリスが村に合流した直後、モリスを助けたことをメチャクチャ感謝してくれたしなぁ……。あそこまで感謝されたのは前世でもなかったよ……)
一つの幸せな家庭をぶっ壊すことになるので、未亡人ならともかく、この状態で進んでしたいとは思わない。
しかし、アイラは美人で優しく、料理もできて胸も大きく、お付き合いしたいかと聞かれたら男性の100人中100人がイエスと答えるタイプだ。
村長のモリスがどうやって射止めたのか謎である。
エイドはそんな彼女に何でもすると言われて、意識しないというのは無理――という結論へ至りながら、それを理性で否定するという無限ループ状態に陥っている。
「あ、そういえば……恐れ多いですが、救世主様は温泉にはもうお入りになられましたか?」
「何か救世主として過剰に扱われているような……? あー、温泉は自分で試しに入ったけど、汗もかいたし、またこのあと入ろうかなと」
「では、お背中を流しますね」
「えっ!? えぇっ!? えぇぇえ!?」
まずい、思わず動揺してしまった……とエイドは思った。
温泉で美しい人妻が背中を流してくれる……なんと古典的でありながら魅惑的なシチュエーションなのだろうか。
ご飯三杯はいける。
「そ、その……俺が村を救ったからしなきゃいけないとか、そういうのは考えなくても――」
「私たちのお返しの気持ちですから」
(そ、それなら仕方がないなぁ……うん……!)
***
そのあと、エイドはリヒール温泉にやってきた。
元からあった村の施設なので、きちんとした作りになっている。
男湯と女湯に分かれていて、男湯の脱衣所で鎧を脱いで全裸になり――いや、ヘルメットだけは身バレ防止のために付けておくことにした。
全裸マスクのように少し変態的な格好だが、その状態で浴場にある椅子に座って待つ。
形的には日本やローマなどの前世の温泉とあまり変わらない。
現代的な蛇口などがないくらいだろうか。
「!?」
ガラッと脱衣所からの戸が開く音がした。
背中の方向だ、入ってきたはずのアイラがどんな格好をしているのか見えない。
つい想像してしまう。
夫に操を立てて、背中を流すためだけなら普段の服装のまま入ってきているかもしれない。
もしかしたら、バスタオルを巻いた状態までいっている可能性もある……。
だが、万が一……全裸だった場合。
エイドの思考が止まる。
(持てよ、俺の理性……!)
「あれ、温泉なのに救世主様はヘルメットをつけているんですか? こちらと同じように全部脱げばいいのに」
(うおー!! 人妻の全裸確定ー!! ……って、あれ? 何か声が野太くないか……? アイラさん、喉でも壊したのかな?)
「では、お背中失礼しますね~」
背中にタオルと石鹸のヌルッとした感触がする。
美しい人妻からこれをされていると思うと天にも昇る気持ちだ。
「あっ、すべって――」
温泉、濡れた床、石鹸――ハプニングが起きてもおかしくない。
アイラの柔らかい胸が背中に――。
(ん? メチャクチャ胸が平らで硬くないか?)
抱きついてきた腕もかなり逞しいし、腕毛もすごい。
エイドは嫌な予感がして、青ざめた表情で振り向いた
「いや~、抱きついてしまってすみません。すべっちゃって」
「村長ー!?」
そこには全裸の中年のおっさんがいた。
背後にいたはずのR18の格好をしたイマジナリーアイラはどこにもいない。
「はい? 村長のモリスですが? 救世主様、どうかしましたか?」
「え、いや、その……なんでもない……」
アイラは最初から『村長が背中を流してくれる』と言っていたつもりだったのだろう。
それがエイドに伝わらなかっただけで。
その表情を見て村長はハッとした。
「ま、まさか救世主様……この村長をエッチな目で見ていたのですか!? ですが、救世主様のエクスカリバーなら受け入れましょう! あなたはそれほどまでの漢ですので!」
「違うからね!? こんな全裸ヘルメットの変態っぽい見た目でも、そういうのじゃないからね!? 男二人、何も起きないはずもなく……じゃなくて、何も起きないからね!? てかエクスカリバーってなに!? こっちの世界に伝わってるの!?」
「さぁ、さぁさぁさぁ!!」
「いやー!! 飲み込まないで僕のエクスカリバー!!」
地獄のような状況だった。
――一方、隣の女湯では女性陣たちが温泉に浸かってノンビリとしていた。
「何かエイドさんが、またバカやってる声が聞こえる~……」
ラプンツェルは呆れた声を出しているが、温泉は気持ちいいのか表情は緩んで紅潮していた。
白磁のように美しい肌は若々しく、水滴を弾いている。
「うーん、おかしいですねー。先に夫が背中を流しに行くと伝えておいたのですが……。んぁっ、この温泉……なんだか刺激が強くて肌がピリピリして気持ちいいですね……あんっ」
アイラは人妻特有の色気ある身体だった。
温泉から何かを感じるのか、ビクッと動くと大きな胸がたわわに揺れる。
ラプンツェルは宝石のような碧眼で、そのアイラの胸をジーッと見ている。
アイラは、素朴な茶色の目でニコリと笑いかけてきた。
「どうかしましたか?」
「男の人って、大きい方が好きなのかなーって……」
「あ、もしかして……ラプンツェルちゃん、救世主様の好みが気になっているの?」
「べ、別にそんなんじゃ……一般論で……」
ラプンツェルは自分の薄い胸板に手を置いてみるが、何か頼りないと感じてしまう。
「ふふっ、まだ小さいんだからそんなこと気にしなくても大丈夫。もし体型が望み通りにならなくても、そのままのラプンツェルちゃんを好きになってくれますよ、きっと」
「そうかなぁ……って、エイドさんのことじゃないからね!!」
「はいはい。あっ、アイリス。温泉で走っちゃ危ないって、何度も言ってるでしょ」
先に湯船から上がっていた娘のアイリスを追いかけるために、アイラも湯から上がった。
ザブンと、大きな胸からは滝のように湯が流れ落ちる。
大迫力を伴って揺れた水面が、ラプンツェルの顔にかかった。
「うーん……たしかにこれはすごいかも……。大きいのが良いというのが少しだけ理解できた……」
ラプンツェルは脅威――もとい胸囲に圧倒されていた。
エイドとラプンツェルはモヤモヤしたまま湯を上がったのだが、リヒールと温泉の組み合わせの効力でお肌はスベスベ、身体はスッキリしたのであった。
面白い!
続きが気になる……。
作者がんばれー。
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<(_ _)>ぺこり




