弟子になる
あれは、私が銭湯から宿へ帰っている時のことでした………。
私は夕方、宿のおばさんの娘さん。リリアちゃんと一緒に近くの銭湯に行って来ました。
私が銭湯に行こうとしたらおばさんが、「リリアも一緒に連れて行ってくれないか。」と頼まれてしまったのでリリアちゃんと一緒に銭湯へと行くことになりました。
リリアちゃん可愛いな〜
食べちゃいたいな〜
「リリアちゃんってなんでそんなに可愛いのか……」
「どうしたの?お姉ちゃん。」
「グハッ!!」
だめだ、声を聞くだけで可愛よい!!
「大丈夫?お姉ちゃん……」
「大丈夫だよ!お姉ちゃんはとっても強いんだから!」
「本当!!すごいね!お姉ちゃんは!!」
「そうだよ〜、お姉ちゃんはもの凄く強いから!!」
「最強と言っても過言ではないね!!」
「そうなんだ〜。私もお姉ちゃんみたいに強くなる!!」
「そうかそうか〜、楽しみにしているよ!」
「うん、私頑張る!!あ、お姉ちゃんここが銭湯だよ!」
という感じで行きは平和だったんですけど……
あぁ、ちなみに銭湯はそこそこ広く人もあんまりいなかったので快適でした。銭湯のおばあちゃんがオマケで瓶の牛乳をくれました。お風呂上がりの一杯はうまかった!
あと、リリアちゃん可愛い!
さてさて、ここまでは大丈夫だったんですけど銭湯から宿の帰り道で……
「お姉ちゃんお風呂はどうだった?」
「うん、気持ちよかったね!」
「そっか……!お姉ちゃんが嬉しそうでよ……かっ……た…………。」
「リリアちゃん?」
バタン――
「っ!!」
「大丈夫っ!!リリアちゃん!!」
なんだ?リリアちゃんに針が刺さって、そしたらリリアちゃんが倒れた?
なんだ?どういう状況?
「すいませんが、少し眠っていてください。」
「は?おまえ、リリアちゃんに何を………」
バタン――
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
こうして、私は意識を失い捕まってしまいました。
しかし、ここはどこで私はどんだけ寝ていたんだろう。というか、リリアちゃんはどこだろう?
私がいる牢屋の中にはいないけど………。
無事だといいな……。
私を誘拐?した男は仮面で顔を隠していたからよくわからなかったが、かなり強い人だと思う。
素人の私から見てもヤバそうな人だったし。
というか、これからどうしよう?脱出する?リリアちゃんを探す?どうやって?う〜ん………
あっ!そうだ。今こそランダムスキルを使う時!
ん、なになに。毎回使えないスキルしかでないから期待しないほうがいい?
何を言うか!!今回こそ『ランダムスキル』さんはとても良いスキルを出して下さるに決まってる。
私は『ランダムスキル』を信じる!!
いざ、『ランダムスキル』発動!!
出ました!今回のスキルは 『ヒーリング』!!
強いが、今じゃねぇぇぇ!!!
今は回復のスキルなんてあっても、意味ねぇよ!!
『ランダムスキル』まじで、使えねぇ。
「起きたか。」
ん?あ!私達を誘拐した変態仮面!と、後ろに下っ端が二人……。
「ここはどこだ!リリアちゃんをどこにやった!私達をどうするつもりだ!!この変態野郎!!!!」
「ふむ、質問は1つずつして欲しいがまぁいいだろう。」
「ここは黒紅団のアジトだ。お前たちは売るために攫った。もう一人の娘は別のアジトにいる。そして、私は変態ではない。」
いや、か弱い女の子を攫う時点で変態だろ………
そんなことより、
「黒紅団?なんだそれは?」
「ふむ、知らないなら別にそれでいい。」
「お前たちは売るための商品にすぎん。わざわざ、こちらの情報を教える義理もないしな。」
あちゃー。もう少し情報が取れると思ったんだけどな〜。
というか、リリアちゃんは別のアジトにいるのか……
どうしよう………………。
「ふむ、こいつの様子もわかったことだ私は戻る。お前たちはこいつを見張っとけ。」
「「了解!!」」
そうして、変態はどっか行った。
くそ………、どうしよう…………。私一人が捕まっているならともかくリリアちゃんまで捕まっている。しかも、リリアちゃんの場所は分からない。
誰かに助けを求めるか………。
いや、だとしてもあの変態仮面に勝てる強さの人じゃないと状況が悪くなるだけだ。
私が知っている人であの変態に勝てる人って、カイルさんかリディさんしかくらいじゃないかな。
カイルさんはどこにいるのか分かんないし、リディさんも王都で任務だった気がする。
駄目じゃん。
どうしよう………。
う〜ん…………。
ドゴォォォン!!――
「なんだ!?何があった!!」
「敵襲です!!冒険者や騎士団が攻めてきました!」
「クソッ!もうアジトがバレたのか!急いで逃げろ!!」
「商品はどうするんですか!」
「置いてけ!どうせ対した値段にもならん商品だ!」
あれ〜……。なんか、始まりましたね……。
というか、私って対した値段にならないんですか……。そうですか………………。いや、別に悔しくなんてないんですからね!
ドゴォォォォォォン――
なんか、爆発音が近づいて来てるのですが………。
私、大丈夫ですよね……。
ドゴォォォォォォォォォォォォン――
だ、大丈夫ですよね………!私、巻き込まれないよね………。きっと……。
バコォォォォォォン――
あ、壁が吹っ飛んだ………。
「あれ、あなた………」
ん?あれ?小さな(20歳)魔術師のお姉さんだ!
「こんな所でなにやってるのよ!早く逃げなさい!」
急にそんな事言われても……。今、どうゆう状況なの。これ?
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
そんな訳で、いろいろあって私は助かりました。
まさか、魔術師のお姉さん(小さい)に助けられるなんて思いもしませんでしたね!
そんなことより、これからどうしましょう。
実のところ私は助かりましたが、リリアちゃんは見つかりませんでした……。
クソッ!!
私がいながら、リリアちゃんを危険な目に合わせた。
不甲斐ない。私がもっとちゃんとしていたら、リリアちゃんは今頃いつも通りの生活を送れていたのに。
私はリリアちゃんにトラウマを作ってしまったかもしれない………。いや、そんなことより今もリリアちゃんは怯えているかもしれない、危険な目に遭っているかもしれない…………。
「大丈夫でしたか?」
「はい、助けていただきありがとうございました。」
「いえ、大丈夫ですよ。」
「それより、なぜ貴方は捕まっていたのですか?」
「ええと、ですね。」
そうして、私は小さな魔術師(お姉さん)にあれこれ説明した。
「そうでしたか。それは大変でしたね。」
「あの、私も黒紅団の討伐隊に参加させてくれませんか。」
「断ります。貴方が言ってた女の子を助けたい気持ちも分かりますが、貴方ははっきり言って足手まといです。」
「この討伐隊には最低でもDランクの冒険者でないとついていけません。」
「なので、諦めてください。もう一度言いますが足手まといです。着いてきても被害が大きくなるだけです。」
「…………………………」
「では、私はこれで。」
「待ってください。」
「なんですか?」
「私が弱いのはわかっています。足手まといになるのもわかっています。でも、黙ってみていることは出来ません。」
「アナタが私をどれだけ止めようとも私は無理矢理にでも変態クソバカ野郎共をぶっ殺してリリアちゃんを助けます!」
「では、私は貴方の骨を折ってでも止めましょう。」
「どうぞ、勝手に。やりたきゃやればいいじゃないですか。それでも、私はリリアちゃんを助けます。」
「そうですか。わかりました。」
「いいでしょう、貴方を私の弟子にしてあげます。」
「………………はい?」
「聞こえませんでしたか?貴方を私の………」
「いえ、聞こえてはいましたよ。なんで、私がロリ魔術師さんの弟子にならなくてはいけないのですか?」
「それは、貴方が弱いからです。なので、私が貴方を強くしてあげます。」
「それより、誰がロリ魔術師ですかっっ!!」
「え?アナタのことですが。」
「私は20歳なので、ロリではありません!!」
「あと、どうするんですか貴方は私の弟子になるんですか?」
どうしよう………。 でも、今の私は彼女が言ったように弱い。とても弱い。そしたら、答えは1つしかないよね。
「お願いします。私を弟子にしてください!」
「わかりました。認めましょう。」
「私の修行は厳しいですよ。」
「望むところです!!」
そうして、私はリリアちゃんを助けるためロリ魔術師(お姉さん)さんの弟子となったのだった。