2度目の
その瞬間、私の中にあるナニカが弾け飛んだ。
ブオン――
あの熊の引っ掻く攻撃が空を切った。
遅い………。
これが、『時の旅人』の力か………。
『時の旅人』には2つの能力があった。
1つが未来視。そして、もう1つが相手の時間を遅くする能力。
ただ、遅くするといっても相手を数秒遅らせる程度だけど……
それでも、未来視の数秒と相手を遅らせる能力の数秒。
この、2つの力で数十秒の時間を稼げる。
そして、クロスボウでダメージを与える。
この、クロスボウは一応この森で魔物が出るかもと買っといた武器。
剣や弓より扱いやすく、離れていても攻撃できる。
っと危ない!
スパン――
後ろの木が切れた………。
まさか、コイツ斬撃を飛ばせるのか!!
想定外だが、問題ない。どうやら、斬撃は引っ掻きの攻撃を遠くに飛ばす感じのようだ。
放つときに引っ掻きのように腕?を振るから、攻撃のタイミングが分かりやすい。
さらに、ここ!
ピュン――
「ぐがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
よし、目にヒット!
未来視で相手の動きをよんで、更に相手の動きが遅くなれば流石に私でも当てられる!
どうやら、アイツの右目に刺さったようだ。
アイツは片方の視力が無くなり、動きも遅くなり、更に、アイツの動きはまるわかり。
いける!コイツを殺せる!
ポタッ――
あれ?鼻から血が………。
あ、これヤバイかも。
グニィヤァ――
痛い!!
頭が裂ける!!
ヤバイ能力を使いすぎた。
ヤバイ、ヤバイ、ヤバイ、ヤバイ、ヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイ………………………
痛い!めっちゃ痛い!!
まずい、熊が斬撃を放ってくる!!
スパン――
避けれた!けど、クロスボウが真っ二つだよ!
非常にマズイ、攻撃手段がなくなった!!
どうするっ!どうしよう!
ズキッ――
グッ!?
「オェッ」
私の口元からドロリとした液体が溢れ、体が悲鳴を上げているのを実感した。
ガクッ――
やばい、転んだ。早く立たないと!
足がもう言うことを聞かない……
あぁ、私死ぬのか。
いや!絶対に死なない!!私はもう…………。
「ゲホッゲホッ」
「オェッ……」
あぁ、駄目だなにも考えられない………。
死ぬんだ。私……
い、嫌だ、、、死にたくないよぅ。
「う、うぅっ……!」
目から水がなんで?なんで?
「ハァハァハァハァ………」
「オェッ……」
もうヤダ………。
死ねば、楽に、なれるかな?
あぁ、アイツが斬撃を放とうとしてる………。避けないと……………。もういいかな……?体は動かないし……。
痛い………、苦しい……………、
誰か……………助け………………………て。
そうして、ワタシは………………………………。
ワタシは…………。
「嫌だ……………………………。」
「死にたくない………………………………。」
「楽にならなくてもいい、痛くてもいい、苦しくてもいい…………………………。」
「死にたくない!!死んでたまるかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
『時の旅人』をフル稼働!!
未来視を解除して、熊と斬撃の両方の時間を遅くする!
「ゴフッ……」
斬撃から避けろ!!
ズバッ――
右手の中指から小指まで切られた………。
いや、問題ない!!
あの熊の時間を出来るだけ遅くする!!
『時の旅人』全力フル稼働!!!!!
「止まれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」
「グァ、グァァァァァ……………グァァ……………グ………」
「………………………………………………………………。」
「……………………………………………………………………………。」
動かない………………。
倒した…………………?
やった…………。
倒し……………た……。
早く、トド……………メ……………刺さな………いと。
バタンッ――