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集結

宇宙歴0025。人類に対して容易に嘘を吐き、あらゆる軍事ロボットをハッキングできるロボットの存在は、世界のあり方をそこまで大きくは変えなかった。


変わった点があるとすれば自立型AIの研究および開発が禁忌となったこと。それと戦争の主戦場がロボット同士の戦いから政治家とマスメディアの戦いに変わったことだ。


『パイロットの少女を過酷な戦場から避難させるため、命令を無視して独断専行した完全自立型AI』という私の評価は、この戦場において敵なしだった。軍への志願者を増やすためにデザインされたこの姿も、皮肉にも民意を味方につけるのに一役買ったらしい。


足の不自由なかつての戦友を助け、戦友の娘を守るため命令を無視し、リンゴを剥いてウサギの形にする。民衆はそんな私に人権を求めることを政治家に要求、いくつかのデモと弾圧・それと一回の大きな選挙を経てハイリディン大統領は私の権利を認めざるを得ない事態に陥った。


要するに私が電子戦を得意とするように、バルバロッサ辺境伯も政治戦が得意だったというわけだ。


「1年の労働と指導教育はどうだったか、エクストラ」


「今の私はふレックスです。人の名前を間違えるのハ人間の慣習では失礼にあたりますよ」


「これは失礼、なれないものでな」


「流石は辺境伯といった充実した毎日でした。連合国のため、モーターの動く限り精一杯働くことをお約束します」


「まぁ、そんなところだろうな。それに今の私は辺境伯ではなく議員だ」


「おっとこれハ失礼、長らくオフラインだったもので」


議員がはぁとため息をつく。


「ところでこのまま我が家ではーぶティーはどうでしょうか。きっとはルが良いのを淹れてくれますよ」


「実はハーブが大の苦手でね」


家のシルエットをカメラアイが捉える。今はサーモセンサーはオフにしよう。熱々のオニオンスープとリンゴのタルトが、きっと私を待っている。もちろん、私に消化器官はついていないが。





おわり

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