第2話 最初の相談
始業式から3日が経った頃、私の元に1人の女の子が尋ねてきた。
彼女の名前は市之瀬あや。
双宮高校2年A組に所属しているようだ。
「どうしたの?」
私は彼女に問いかける。
「あの…私、どうしたら良いか分からなくて…」
不安そうな声で答える彼女の姿は、まるであの時の自分を見ているみたいだ。
そんな彼女に、私はできる限りの優しい声で
「なかなか話しづらいよね。私もその気持ち分かるなぁ。でも大丈夫、まずは私と一緒に何か話そうよ。」
と語りかけ、しばし彼女と雑談をする。
「そういえば私、まだ来たばっかりでこの学校のこと全然分からないんだ。もし良かったら教えてくれるかな?」
「この学校は先生もみんなもとっても優しくて、可愛いお花もいっぱい咲いていて…」
そう話す彼女の姿は、とても悩みを抱えているようには見えない。
「市之瀬さん凄い!物知りなんだね!」
「実は私、生徒会をやっていて…」
どうりで凄いわけだ。
「凄いなぁ、生徒会って。私には絶対できないよ。」
「そんな事ないです…」
「そんな事あるよ!市之瀬さん優しいし、とっても真面目そうだし。」
「本当ですか?私、こんなに褒められたの初めてかも。」
「それは大袈裟だよー」
そうして話をしていると、落ち着いたのか彼女が口を開きだしてくれた。
彼女の話によると、どうやら同じ生徒会の子と少し揉めてしまったそうだ。
「あの時、私つい言いすぎちゃって…」
そう言って悩んでいる彼女を見ると、比べた自分が恥ずかしい…
「そっか、教えてくれてありがとう。やっぱり市之瀬さん、優しいんだね?」
「え?」
予想外の返答だったのか、呆気に取られている彼女に
「私なんて、何回言い過ぎちゃったことか…でも、みんなきっと、市之瀬さんが優しいこと知ってると思うよ。だから、相手の子も同じこと思ってるんじゃないかな?」
「そう…ですかね?」
「自信持って!私とこうやって話したみたいに、相手の子とちゃんと話をしたらきっと大丈夫!」
「本当ですか、ありがとうございます♪」
私の言葉に、彼女は笑顔で礼を言った。
そして次の日
「月ヶ瀬先生、昨日はありがとうございました。先生のおかげで、無事に仲直りできました。」
満面の笑みでそう言うと
「これ、先生にどうしても渡したくて…」
と、1枚の手紙を差し出してきた。
「私に?ありがとう!市之瀬さん、本当に優しいんだね。」
「えへへ」と笑う彼女に、私は改めて感じた。
-やっぱり彼女は凄いな-
ご覧頂きありがとうございました。
第2話では、明莉の初仕事を書いてみました。
新しく登場した市之瀬あや、本当に凄い子ですよね笑
引き続き、双宮高校での物語を書いていきたいと思います。
是非、次回作もご覧ください!