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第三十話「ルシファーズ・アナザーストーリー」

 

 ルシファー・キャンベル、彼は腕利きFBI捜査官だ。

 今日も難解な事件を捜査する為にカフェインたっぷりのブラックコーヒーを片手に愛車のマスタングを駆っている。


「さあ今日も難事件解決だ」


 ルシファーが向かっているのはハリウッドのセレブハウスの一角だ。

 そこには一人の女性が待っていた。

 赤い長い髪の美しい女性、名はスカーレットと名乗った。


「夫が殺されたの。早く犯人を見つけて!」


 スカーレットがルシファーに嘆願する。

 しかしその手は誘惑するようにルシファーの腰に手をやる。


「奥さん、その手はなんなんだ?」


「あらあら、分かってるくせに♪」


 スカーレットは夫が死んだにも関わらず素晴らしい笑顔をしている。

 ルシファーとの浮気を望み楽しんでいるかのようだった。


「申し訳ないけど、今そんな気分じゃ・・・…」


 ルシファーが腰の手を払いのけようとしたその瞬間である、場面がリッチなハリウッドの家からボクシングの四角いリングに変わった。

 ルシファーに屈強な黒人ボクサーのパンチが決まる。

 それは顔面への強烈な一撃で、ルシファーの脳は揺れた豆腐の様にプルプルと振動していた。

 当然視界は歪み集中できないから力も満足に使えない。

 ルシファーはなんとかその後の攻撃を避け脳の振動が収まるのを待った。

 しかし次の一発が決まりそれは先延ばしになる。

 ルシファーは豆腐の皿を思い浮かべ、それを揺らし再び止める方法を探った。


「見えた!」


 ルシファーは頭部に自身の拳を当て振動を相殺して脳を正常に戻した。

 そしてルシファーの渾身の一撃が、KOパンチが決まった。


 ヒュウーーーーーーーーー!!!


 会場から声援がわき上がる。

 ルシファーがチャンピオンベルトを巻き試合は終わった。


 がその瞬間場面は変わる。

 黒い軍服を着たルシファーは五人のカラフルな覆面タイツ集団と戦っていた。

 日本の戦隊物という奴である。


「これで終わりだ悪の総裁ダークネス・ルシファー!」


「おのれ、ファントムレッドめ!」


 リーダらしき赤いマスクの男とルシファーが取っ組み合う。

 赤いマスクの男をルシファーが殴り吹っ飛ばすと何事も無かった様に起き上がる。


「大丈夫か、レッド!」


 ピンクのタイツと仮面を付けたリィンがレッドに駆け寄る。


「くそ、みんな!レインボーバズーカだ!」


 五人のカラフル戦士達は巨大なバズーカを皆で構えてルシファーに狙いを付ける。


「標準セェット!!!」


「消えろ、もう学芸会はうんざりだ」


 ルシファーが指を鳴らすと五人の戦士の内四人が消えた。

 残されたレッドが狼狽えるも赤いサーベルを構え大地に突き刺す。

 そして大地が割れ、強烈な衝撃波がルシファーに襲いかかる。


「自分の役割を考えろ!」


「役割だって?悪は必ず勝つんだよ。僕の聖書にもそう書いてある、いや書く予定だ」


 ルシファーはその衝撃波を片手をかざし打ち消すと、その手を握りレッドの首をへし折った。


「誰だよシナリオ書いたの。いい加減にしてくれ、これ以上は御免だぞ」



 ―???


「あーあ、私の書いたシナリオが台無しじゃない!」


 緑の長髪の美しい異世界の女神メナスが、その美貌を台無しにするが如く大口を上げて嘆く。


「彼は君の滅茶苦茶なシナリオに収まるような男じゃないよ」


 Gパン白Tシャツの痩せた髭の男、現代世界の神が女神に忠告する。

 二人とも全知全能の存在だ。

 しかし今回はルシファーにしてやられたようである。


 これはルシファーが歩んでいたかもしれないもう一つのアナザーストーリー。



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