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関ヶ原着陣

「え!?そのような事を!?」

「あぁ。お前の……兄上の名で書状を出しておいた。西国無双、立花殿にな。」

 

 秀信に内緒で立花宗茂に書状を送っていた。

 関ヶ原を少しでも優位に進めるためにである。

 彼がいれば、尚優位に立てる。

 ……そろそろ話しておいてやるか。

 

「……はっきり言おう。俺の知っている歴史では関ヶ原で西軍は負ける。お前もあの岐阜城の戦いで負け、高野山へ送られる。が、入山を拒否され、麓で死ぬ。」

「やはり、そうでしたか。」

 

 どうやら、薄々勘づいていたようだ。

 

「だが、俺が来たからにはそんな結末にはさせん。」

 

 高台から見下ろす。

 そこは関ヶ原。

 天下分け目の大戦が繰り広げられた地だ。

 

「……我等は宇喜多様の横、小西様との間に着陣しております。」

「あぁ、兵も三成殿が少し分けて下さった。援将として杉江勘兵衛殿と松田重太夫殿。心強いな。」

 

 恐らく本来合渡で失われる筈だった位の兵力をこちらに分け与えてくれたのだろう。

 岐阜城の戦いでこちらの兵力も決して多くはないという状況だったから助かる。


「長宗我部様や長束様は小早川様の抑えとして大谷殿と共に布陣しておられます。」

「殿!大谷刑部殿がお見えになられましたぞ!」

「おお!すぐにお通しせよ!」

 

 百々の言葉を聞き、すぐに席に戻る。

 すると、すぐさま大谷刑部こと大谷吉継が入ってくる。

 

「これは中納言様。お久しゅうございまする。このような見苦しい姿で申し訳無い。」

「何を仰るか。既に浅井畷の戦い、聞き及んでおりまする。」

 

 吉継は病に冒され常に頭巾を被っている。

 大谷吉継は浅井畷の戦いで北陸より来る前田勢を食い止め、調略により前田勢を金沢に留める事に成功している。

 

「おお、そう言えば合わせたいお方がおりまする。ささ、入られよ。」

 

 吉継がそう言うと、二人の男が入ってくる。

 

(……これは……。)

 

「おお!叔父上!お久しゅうございます!」

「秀信様、お元気そうで何よりですな。」

「我等兄弟、大谷殿と共に戦う所存でござる。」

 

 彼等は織田信長の息子、織田信吉と織田長次である。

 両名とも西軍に属し、大谷吉継と共に戦っていたのを思い出した。

 ……懐かしい。

 

「……秀信様、そちらは?」

「あ、あぁ……そうですね、信吉叔父上達にもお話せねば……こちらは織田三郎。話すと長くなるのですが……簡単に言うと私の弟にございます。」

「三郎にございます。故あって生まれた頃より存在を秘匿されておりました。」

 

 頭を下げる。

 自分の息子に頭を下げるとは中々に面白い事もある。

 

「そうか……まぁ、いずれ話してくれ、今は徳川を討ち滅ぼす事に集中しなくてはならないからな!」

「信吉兄上、そろそろ参りましょう。」

 

 信吉は頷く。

 

「うむ、そうだな。では大谷殿。我等は石田殿に挨拶してきまする。」

「わかり申した。私もすぐにまいると治部に伝えておいて下され。」

 

 その言葉を聞くと二人はその場を後にした。

 

「さて、織田様、此度の着陣、誠にありがとうございまする。これで、勝ちの目が見えてきました。」

「……やはり、大谷殿は元より負けると?」

 

 秀信が聞くと大谷吉継は頷いた。

 

「まぁ、絶対に負けるとは思っておりませぬ。が、そう簡単に勝てるとは思っておりませぬ。この戦、細い細い勝ちに繋がる糸をどれほど集められるかが重要。ここに集められたこの太くなった糸ならば、必ずや内府の首を取れましょう。」

 

 内府。

 内大臣のことをそう呼ぶ。

 そういう事もあり、徳川家康は内府殿とよく呼ばれている。

 

「ええ、必ずや。」

 

 秀信と大谷吉継は握手を交わした。

 豊臣秀吉に百万の軍を指揮させたいと言わしめるほどの智将。

 その智謀とこの状況ならば、勝てるかもしれない。

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― 新着の感想 ―
[一言] 勝手な妄想です。平八郎さんは大隊規模。宗茂公は連隊規模の隊を率いると無双‼︎「たられば関ヶ原に間に合えば」楽しみです。
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